美容師の世界にもフリーランスという働き方がある。スタッフを雇い、自分の店をもつというのではなく、お客さまから予約があった時だけ既存の店の一席を借り、そこで施術。終わり次第、その店に使用料を払い、自分も帰宅するというものだ。こうしたやり方は「ブースレンタル」と呼ばれ、欧米では広く知れ渡っているという。近年、日本でも増加の傾向にあり、これをいち早く取り入れたのが杉山美郁さんである。
「店に所属していると、どうしても時間に追われてしまいます。朝も早く、夜も遅い。休みの日も普通の人とは違う。それに、混み合ってくると、お客さまとのコミュニケーションもおざなりになってしまい、誰と何を話したのかも忘れてしまう。ですから、予約制の小さな店に勤めることにしました。ちょうど同じ店で働いていた先輩が独立することになり、一緒に付いていくことにしたんです」
だが、現実は甘くない。ある事件がきっかけで、杉山さんはその店で働くことに疑問を抱くようになる。
「14時に私のお客さまがお見えになるという日、13時55分頃に予約なしの新規の方がいらっしゃいました。他のスタッフはみな出払っていたので、手の空いていた私が担当するように店長は命じたのです。あと5分でお客さまがいらっしゃるというのに! 案の定、14時にいらしたご予約の方は待つ羽目に。でも、十分な待ちスペースもないほどのこぢんまりとした店でしたから、事情を説明し、頭を下げ、『もしよかったら30分後に来ていただけませんか?』とお願いしました。その方は状況を理解してくださいましたが、疲れているからカットは別の日にするとの返事。申し訳ない気持ちでいっぱいになると同時に、理不尽なやり方に腹立たしい思いもこみあげてきました。本来なら、ご予約の方を優先し、新規の方に待っていただくべきなのに……」
店を出す前は、「お客さまとの時間を大切にした予約制の店にしよう」と一緒に夢を語り合っていたのに……。新規獲得、利益優先? 納得のいかないモヤモヤとした思いが、杉山さんの胸の内にどんどんふくれあがっていくーーー。
「店に所属していると、どうしても時間に追われてしまいます。朝も早く、夜も遅い。休みの日も普通の人とは違う。それに、混み合ってくると、お客さまとのコミュニケーションもおざなりになってしまい、誰と何を話したのかも忘れてしまう。ですから、予約制の小さな店に勤めることにしました。ちょうど同じ店で働いていた先輩が独立することになり、一緒に付いていくことにしたんです」
だが、現実は甘くない。ある事件がきっかけで、杉山さんはその店で働くことに疑問を抱くようになる。
「14時に私のお客さまがお見えになるという日、13時55分頃に予約なしの新規の方がいらっしゃいました。他のスタッフはみな出払っていたので、手の空いていた私が担当するように店長は命じたのです。あと5分でお客さまがいらっしゃるというのに! 案の定、14時にいらしたご予約の方は待つ羽目に。でも、十分な待ちスペースもないほどのこぢんまりとした店でしたから、事情を説明し、頭を下げ、『もしよかったら30分後に来ていただけませんか?』とお願いしました。その方は状況を理解してくださいましたが、疲れているからカットは別の日にするとの返事。申し訳ない気持ちでいっぱいになると同時に、理不尽なやり方に腹立たしい思いもこみあげてきました。本来なら、ご予約の方を優先し、新規の方に待っていただくべきなのに……」
店を出す前は、「お客さまとの時間を大切にした予約制の店にしよう」と一緒に夢を語り合っていたのに……。新規獲得、利益優先? 納得のいかないモヤモヤとした思いが、杉山さんの胸の内にどんどんふくれあがっていくーーー。




