正しい性の知識と判断力を育む活動|NPO法人ピルコン

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。
「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。

第4回目の「未来へ紡ぐストーリー」は、正しい「性の知識と判断力」を通じ、性の健康に関する啓もう活動を行うNPO法人ピルコンの染矢明日香さんにお話を聞きました。

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ピルコンの活動について教えてください

日本では、授かった命の1/5の数が「産まない」という選択をされています。その一方で、晩婚化・晩産化を背景に、不妊に悩む人が増加しています。そして、自覚のないまま性感染症にかかる若者も少なくありません。

そこで、これからの世代が自分らしく生き、豊かな人間関係を築ける社会の実現を目指し、正しい性の知識と判断力を育む支援を行っています。医療従事者などの専門家の協力を得ながら、中高生向け、一般向け、思春期の子どもを持つ保護者向けの性教育・ライフプランニングプログラムやコンテンツの開発や普及など、性の健康に関する啓発活動を行っています。

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なぜ、そのようなご活動、支援を始めようと思われたのでしょうか。

私自身、大学生の頃、意図せず妊娠し、悩んだ末に中絶を選択しました。本当につらい経験でした。その後、日本の中絶件数を調べたところ、出生数の1/5に及ぶことに衝撃を受けました。「自分と同じような思いをする人を減らしたい」。その思いから、手術から1年後、大学内で学生向けに避妊啓発活動を始めました。大学生向けに避妊についてのフリーペーパーを作成して配布したり、産婦人科医を講師にお招きして勉強会を開催したりしていました。

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記念すべき、フリーペーパー創刊号

大学卒業後は民間企業に就職しましたが、途中で、本当にしたいことは何だろう?と自問自答していく中で、自分が世の中に必要と感じているけれどまだ広まっていない「性教育」を社会にもっと広げていくことを仕事にしていきたい、と思うようになりました。働く傍ら、週末にピルコンで勉強会やイベントを実施するようになりました。支援団体などからサポートを得ながら、2013年ピルコンをNPO法人化しました。

現在は約30名の大学生・若手社会人のボランティアスタッフと共に、のべ2000名を超える中高生に性教育✕キャリア教育プログラムを行う出張講座「LILY(リリー)<Link Life of Youth>」を届けています。

出張講座「LILY」では具体的にどのようなお話をされるのでしょうか。

研修を受けた大学生や社会人スタッフが中高生に向けて、これからのライフプランを考えるために必要な恋愛、妊娠、性感染症、ハッピーな関係性のつくり方などについてお話しします。生徒に近い立場だからこそ、身近に感じてもらい、伝わることもあると考えています。具体的には、学校側のニーズと生徒さんの発達段階に応じて、思春期の男女のこころやからだの変化、妊娠・中絶や性感染症など、性の健康リスクについてよくある事例とともにわかりやすく解説します。

20150702_pilkon_3.pngまた、性情報やネットとのかかわり方、望ましい恋愛関係のあり方などについて小グループに分かれてグループワークを行い、中高生には自分と相手のこころとからだを守る大切さを等身大の目線で伝えています。お兄さんやお姉さんという立場で中高生と性を考えているスタッフ、そして「LILY」に参加してくれた中高生たちがやがて親になり、子どもとオープンな関係をつくって、性について正しく伝える担い手になってくれることも目的としています

活動をして嬉しいこと、反対にちょっと大変なことはありますか。

中高生から講演後、「なかなか正しい情報が得る機会がない中で、今日話を聞けてよかった」「正しい性の知識を身につけることや、相手と話し合うことの大切さに気付いた」などというような声をいただくことが嬉しいです。また、事業に関わってくれている大学生・若手社会人のボランティアが生き生きと成長していく姿も頼もしく、嬉しく思います。

大変なことは、資金調達が不安定で、組織の運営体制やスケジュールも流動的なことです。せっかく関わってくれているスタッフに十分な活躍の機会や、対価を提供できるように経営の基盤をつくっていきたいです。

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ピルコンとして、未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

「性」を学ぶこと、伝えることのハードルがもっと下がり、まじめに、明るく、楽しく性に向き合い、大切な人と語れる社会になったらいいと思っています。

まずは性について若い人たちがきちんと知ることができ、自分やパートナーのからだや人生を守れること。そして、性について困った時や悩んだ時には頼れる専門家や友人がすぐ近くにいて、相談・解決できる社会を目指したいです。

リズムーン読者にメッセージがありましたらお願いします。

日本では正しい性の知識を子どもたちに伝える、人手、資金ともに不足している状況です。私たちと一緒に、子どもたちの未来をもっとハッピーに変えていく活動を支えていただけたら嬉しく思います。

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初めての書著『マンガでわかるオトコの子の「性 」』も合同出版より好評発売中。

また、ピルコンでは、正しい性の知識と判断力を育む機会を提供し、自分らしい人生と豊かな人間関係を築ける社会の実現を一緒に目指すメンバーを募集しています。現在、大学生・若手社会人ボランティアを中心に30名ほどで構成されており、多様なバックグラウンドと和気あいあいとした雰囲気が特徴です。

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<こんな方を募集しています!>
・中高生向けの講演を一緒に運営してくださる30歳くらいまでの方
・会社案内や各種パンフレット、教材を製作・デザインいただけるデザイナー
・イベントや講演の映像製作をしてくださるカメラマン・映像編集者
・広報やファンドレイジングの専門分野での業務経験を持つ方
・ピルコンWEBサイトの運営・管理担当者(2015年6月サイトリニューアル予定)
・各種問い合わせ対応、アンケート入力、経費入力、発送作業など、事務作業をサポートいただける方
その他、「自分のこんなスキルをピルコンの事業で活用できませんか?」というお問い合わせも大歓迎です!

take action-いま私たちにできること

日本では「性」に関する話題について、つい避けてしまったり、恥ずかしさから茶化してしまったりということもあるかもしれません。

でも、誰もが自分のこころとからだの変化を経験するものです。そして、正しい知識や判断力があることで、自分だけでなく、まわりの人も守ることができます。そのために、染矢さんの言葉にあるように「まじめに、明るく、楽しく性に向き合える」機会をつくっていくことが必要ですね。

さあ、このストーリーを未来へ紡いでいこう。

今回ご紹介した団体情報

NPO法人ピルコン

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林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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