未来へ紡ぐストーリー

August 06 2015

「仏様へのおそなえ」をひとり親家庭に「おすそわけ」|おてらおやつクラブ

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誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

第5回目は、お寺の「おそなえもの」を仏さまからの「おさがり」として頂戴し、経済的に困難な状況にあるひとり親家庭へ「おすそわけ」する活動を広めている「おてらおやつクラブ」代表で、奈良県の浄土宗安養寺住職の松島靖朗さんにお話を聞きました。

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右から2番目が「おてらおやつクラブ」代表の松島靖朗さん


「おてらおやつクラブ」の活動について教えてください。

「おてらおやつクラブ」は、お寺におそなえされるお菓子や果物などを、仏さまから私たちへの「おさがり」として頂戴し、さまざまな事情で経済的に困難な状況にあるひとり親家庭へ「おすそわけ」する活動です。ひとり親家庭を支援する団体を通じて、全国各地のお寺からお菓子や食品などを、ひとり親家庭にお届けしています。2015年7月時点で、活動に賛同いただいているお寺さんは150を超え、毎月1,000人ほどの子どもたちがお寺からの「おすそわけ」を楽しみにしています

毎月1,000人もの子どもたちがお寺からのおやつを楽しみにしているのですね。なぜ、このようなご活動、支援をはじめようと思われたのでしょうか。

2013年5月24日、大阪北区で母子家庭がマンションで餓死状態で発見されるという痛ましい事件が起こりました。その翌日に「二度と悲劇を繰り返さない」という思いのもと立ち上がった「大阪子どもの貧困アクショングループ CPAO」の代表・徳丸ゆき子さんと出会い、意気投合したのがきっかけです。

ひとり親家庭の実情について教えていただけますか。

現在、全国には140万世帯を超えるひとり親家庭があり、その約6割が経済的に困難な状態にあるといわれてます。そのような環境で育つ子どもにとって、食の問題は深刻であり、おやつや果物をなかなか食べることができない子どもたちもいます。

一方、全国のお寺では熱心な檀信徒さまのお参りとともに、たくさんのお菓子や果物が日々お供えされます。お寺で修行する僧侶やそれを支える家族、また檀信徒さまのお茶菓子などで食される「おそなえもの」ですが、食べきれずにダメにしてしまう場合も少なくありません。そんな全国のお寺とひとり親家庭をつなぐことができないかと考え、貧困問題などの課題解決を目指す「おてらおやつクラブ」がはじまりました。

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今までどのようなものが「おすそわけ」として贈られているのでしょうか。

ご法事などでご本尊さまにおそなえいただくお菓子や果物などが中心です。これまで「おすそわけ」させていただいたものの一例として、おまんじゅう、おせんべい、スナック菓子、チョコレート、ゼリー、バレンタインチョコ、雛あられなどのお菓子類、お米、インスタント食品、レトルト食品、海苔、醤油、砂糖、塩、ふりかけ、ハム、ウインナー、ホットケーキミックス、ジュース、野菜(大根・ほうれん草など)、果物(リンゴ・ミカン・バナナ・柿など)の食料品をお送りしています。

20150806_otera_3.jpg食品以外でも、この活動を知ったお檀家さんや個人さまが、なにか協力できることはないかと「ひとり親家庭」に必要と思われるお品物をご寄付いただくことも増えてきました。そんな温かいご寄付(おそなえもの)の中から、文房具、おもちゃ、ハンカチ、タオル、毛布、電気カーペット、洗剤、サラダ油、スポンジ、バッグ、お面、クリスマスカード、仏像カードなどもお届けしています。

お菓子だけでなく、いろいろとバラエティに富んでいるんですね。ところで、この活動をしていて嬉しいこと、反対にちょっと大変なことはありますか。

親御さんや子どもたちからのお礼のお手紙や私たち自身が励まされるメッセージをいただくとうれしいですね。実際に届いたメッセージの一部を抜粋して紹介します。

「あけてビックリ!! うれしくて! うれしくて! 勉強してた娘を呼んで、2人で大騒ぎ♪ サッカーから息子が帰宅したら、 またまた3人で大騒ぎ♬ 我が家に、お年玉が届いた気持ちです♡ また、明日からがんばろ!と思いました」

「子どもの数だけ小袋にお菓子を詰めてくださって、果物やタオル、入浴剤等も入っていました。見ず知らずの方が、私たちのことを思って考えてくれたのだと思うと、どう言葉にすればいいのかわかりませんが有難い限りです」

「お米やおやつを頂戴しました。海苔や、子どもたちの好きなお菓子やフルーツゼリーもあり、また栄養ドリンクも入っていて(間違いなく私宛)、本当にありがたかったです。応援してくれている人がいる、そう感じてあたたかな気持ちになりました」

また、活動を知った全国のお寺さんが貧困問題の現状を知り、なんとかしなければ!と活動に参加し、奮闘してくださっています。支援団体さんからは、お菓子があることで支援先のご家庭とお会いする機会が増えた、受け取り後に生活状況などの近況を聞き、相談を受ける機会となっているとお言葉をいただくこともあります。ひとりでは、そしてひとつのお寺や支援団体ではできないことでも、みんなが協力することで大きな力になり、支援の輪がどんどん広がっていることも嬉しいことです。

一方で、支援先のご家庭が様々な事情により、急に引っ越されて「おすそわけ」をお届けすることができなくなることもあり、そういったことに直面すると、安定した生活を送っていただくためにはまだまだやるべきことがたくさんあると感じます。

「おてらおやつクラブ」として、未来へ望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

子どもの貧困問題を解消していくために、全国のお寺を起点に経済的に困難な状況にある ひとり親家庭を支援するセイフティネットを構築したいです。現在のおてらおやつクラブの活動を全国に広げていくとともに、それぞれの地域でつながるお寺・支援団体・ひとり親家庭という地域密着型の支援関係をどんどんつくっていき、最終的には全国のお寺で、お寺が苦しむ人にとっての駆け込み寺として機能する社会を作っていきたいです。

最後にリズムーンの読者にメッセージがありましたら、お願いします。

「おてらおやつクラブ」は、ひとり親家庭を支援する団体さんが重要なパートナーとなります。ぜひ、普段の支援活動を充実させるために、私たち「おてらおやつクラブ」もお手伝いさせていただければと思います。また、賛同していただけるお寺さま、ひとり親家庭や貧困状態で暮らす子どもたちのために何かしたいと思われる方がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡ください。そして、活動が大きくなるにつれ、広報や問い合わせ対応、支援団体とお寺さんをマッチングする事務局業務が拡大しています。活動に必要な資金のご提供、ご寄付を頂ける個人サポーターさまも募集しています。

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仏さまへの「おそなえ」には、多くの人から託された思いが込められています。それらを「おさがり」としてあずかり、苦の現場へ「おすそわけ」することで 仏縁を育むことが孤立状態にある人々への安らぎにつながっていくと考えています。

お寺やお坊さんが伝える仏教の教えはこの世の苦しみから逃れるための教え。まさに現代人に一番必要なものだと思います。お寺が人々にとって心地よい居場所の一つになれるように活動を続けていきたいと思います。

<take action−いま私たちにできること−>

「貧困問題」は、どこか遠くの国で起こっているのではなく、日本でも取り組むべき課題のひとつ。

「おてらおやつクラブ」の活動のように、少しずつの「おすそわけ」を集め、必要なものを必要な方々に届けることができるシステムは、社会のいろいろなところで真似することができるのではないでしょうか。大切なものをムダにしない社会をつくっていくことが、貧困問題の解決方法のひとつになるのではないかと、お話を伺っていて思いました。

人々の大切な思いを繋ぐ活動、これからも全国の子どもたちに「おすそわけ」と喜びを届けてくださるに違いありません。

さあ、このストーリーを未来へ紡いでいこう。

【おてらおやつクラブ】

ホームページ:http://oyatsu.higan.net
Facebook:https://www.facebook.com/oteraoyatsu


※活動にご協力いただける団体さまやお寺さまはこちらまでお問い合わせください。

事務局メールアドレス:oyatsu@higan.net

※ご寄付いただける場合は以下の口座まで。お振込後に事務局にご連絡を。

【郵便振替】
口座番号 00170-3-450190
口座名  おてらおやつクラブ


【他行からお振込】

振込口座 ゆうちょ銀行
店番   019(ゼロイチキユウ)
預金種目 当座
口座番号 0450190
口座名  おてらおやつクラブ

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