【新連載】答えのない社会。子どもの教育はどうなるの?

20150928_semba_1.jpeg最近、「教育が変わる」と盛んに言われています。これを社会や家庭ではどう捉えたらいいのでしょうか。その現状と背景、そして、子どものための選択について、連載でご紹介していきます。

教育が変わるというけれど......?

センター試験の廃止や、小学校英語の必須化。「ゆとり教育の反省」で教科書が厚くなったかと思えば、今度は「つめ込み教育の限界」という話も。教育関係の情報は日々飛びかい、子どもを育てる保護者は、混乱してしまうこともあるかもしれません。

この状況を冷静に捉えるために、まず、国が進めている教育改革の意味を知ることをおすすめします。

というのも、現在は新しい教育を作り出している段階にあるので、表面的な情報に惑わされないことが重要です。また、実は、今回の改革は、学校現場だけでなく日本の社会全体、各界の大人がともに進めて実現するもの。遠回りのようですが、改革の本質を知っておくことが有効だと言えます。

「これからの日本に何が起きるか」を知っていますか

安倍内閣は教育再生実行会議を立ち上げ、「高大接続システム改革」などを進めています。この改革は、大学入試の話題が取り沙汰されがちですが、実際は、大学と高校の学習内容も一体的に変えるもの。それにより小学生や中学生の学びも変わっていくことになります。

知っておきたいのはこの背景。9月15日に文部科学省が出した「中間まとめ」を見ると、これが、次のような「大きな社会変動」に備えての改革であることがわかります。

これからの社会変動
《国際的》
・ グローバル化・多極化の進展 ・ 新興国や地域の勃興
《国内》
・ 生産年齢人口の急減 ・ 労働生産性の低迷 ・ 産業構造や就業構造の転換 ・ 地方創生への対応
《国内外》
・情報化社会への転換の進展

また、昨年12月に出された答申にも

2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの 65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く

というキャシー・デビッドソン氏(ニューヨーク市立大学大学院センター教授)の予測が引用されています。

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PHOTO BY Brad Flickinger

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日本の子どもたちが、これからの社会で生きていくには? PHOTO BY Department of Foreign Affairs and Trade

社会全体で本質を捉えた動きを

これらは、もともと経済界で話題にされていた問題です。

20〜30年後には、日本人に職がなくなったり、極度な高齢化で社会の質が保たれなくなったりするかもしれない。大人にも予想がつかないような、その社会を生きることになるのが、今の子ども達です。だから、これまでのような「ゆとり」や「つめ込み」に偏るのではない新しい教育を、というのは、省庁だけでなく、保護者をはじめとする社会全体の切実な思いではないでしょうか。

実際に、民間企業も最新の技術やノウハウを提供するなど、社会全体での動きが起きています。行政、学校、企業、メディア、保護者までの、立場を越えた参加者によるシンポジウムなどが開かれ始めたのも教育界では画期的。東京では、時代に対応できる新しい教育を求めて偏差値にもとらわれない中学校受験が増えている徴候もあり、今一般企業も保護者も共に教育を変えているという意識を持ってよいと思います。

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学校関係者、企業、保護者などパネリストも聴講者も様々な立場の人が集まったシンポジウム。改革の真意や最先端の動きがわかりやすく伝えられました。(「いまなぜ高校が変わるのか〜学校改革の真のねらいを問う〜」NPO学校支援協議会主催・文部科学省/森上教育研究所後援。8月に開催。内容は10月3日にNHK(Eテレ)で放送予定。

一方、これほどの大規模な改革。教育現場には、懸念や戸惑いの声もあります。アクティブラーニングや活用的な英語教育、ICT活用などのキーワードも出されていますが、しばらく模索が続きそう。巷には、この機に乗じた耳あたりのよい宣伝広告さえ出てきています。

親が生き方を模索することで、教育の姿も見えてくる

それでは保護者は翻弄されそうで複雑な思いにもなりますが、本質は、子どもたちの差し迫った未来への対応です。この時に、もし、私利私欲に走ったり、しがらみなどから改革を拒んだりという教育環境があるとしたら、そこに子どもを置かないことは、保護者のできる無難な選択のひとつのように思います。

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PHOTO BY storebukkebruse

また、子どもたちに授けたい力は、今を生きる大人に必要な力と同じ。「答えがひとつでない」ことだらけの社会で、個を活かし多様性を実現しながら助けあって歩む力です。

たとえば、女性が、自分の生き方を模索し、子育てしながらフリーランスで仕事をしていくとします。その際にぶつかる壁や見つかる答え、生まれる絆や成果。これを身をもって知る女性やそのパートナーは、子ども時代に受けたい教育の内容を、なんらかの形で想像できるのではないでしょうか。

この教育改革の本質を念頭に置いた上で、さらに状況の見極めや選択もできるよう、詳しい情報や先進的なとりくみを次回からお伝えしていきます。

自分らしい生き方を模索しながら、子どもたちの未来も拓いていけると素敵です。

仙波 千恵子

Writer 仙波 千恵子

ライター・Rhythmoon編集部メンバー
大学時代に編集プロダクションでライターを始め、フリーランスに。結婚後、知的障がいの息子を含む3人の育児が少し落ち着いた時期に、新しい教育を追求して学習塾に勤務。その後再び独立し、教育、働き方、女性の生き方、地域などの取材記事の執筆や、教育コンテンツの開発、講師などをしています。東京郊外の高尾に在住。
http://fwook.net/

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