旅するファッションコラム

November 24 2015

想像力が磨かれる旅行のパッキング術(実践例)

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前回は、旅行のパッキングのポイントをご紹介しましたが、「実際はどのようにパッキングしているのか?」が気になるところだと思います。そこで今回は、具体的に私の実践例を紹介していきます。

旅用のカプセルワードローブを構築する7つのステップ

旅行では、持っていける服の量が制限されるからこそ、カプセルワードローブの考え方が有効です。基本的な考え方である
・ほぼどのようにでも組み合わせができる
・レイヤード(重ね着)がしやすい
・少ないアイテムでも印象を変えることができる
を実現するため、旅行のパッキング時に、私は以下の7つのステップを踏んでいます。

1)カラーパレットを決める
2)ベースコーディネートを作る
3)エクスプレッシブコーディネートを作る
4)テーマコーディネートを作る
5)ドレスアップアイテムを選ぶ
6)アクセントアイテムを選ぶ
7)検証する

以下、各ステップについて詳しく紹介していきます。

1. カラーパレットを決める

色数を絞ることは、組み合わせのしやすさに直結します。基本的なカプセルワードローブの考え方では、ダークなニュートラルカラー、ライトなニュートラルカラー、キーカラーといった分類で色を揃えるのですが、私の場合はそれらも踏まえつつ、旅先の街の印象や旅行の種類(ビジネスかリラックスしたラグジュアリーかなど)から想像を膨らませてカラーパレットを決めています

◎ ローマでの休暇のカラーパレット例(黒、キャメル、アイボリー、ピンクベージュ、ボルドー)

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◎ ハワイでの休暇のカラーパレット例(白、グレー、鮮やかなブルーやピンク、ゴールド)

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◎ ニューヨーク出張のカラーパレット例(黒、ネイビー、白、グレー、ブルー)

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多彩なカラーパレットを作れるほどの服を持っていない場合には、基本的なカプセルワードローブのカラーの考え方に従い、各グループの色がバランスよく含まれるようにしましょう。

・ダークニュートラルカラーを1〜2色
(黒、ネイビー、ダークブラウン、チャコールグレーなど)
・ライトニュートラルカラーを1〜2色
(白、オフホワイト、ライトブラウン、ベージュ、ライトグレーなど)
・キーカラーを1色
(赤、ピンク、ターコイズ、イエロー、グリーンなどなど)

2〜4では基本的に、ここで決めたカラーパレットに基づくカラーアイテムを選んでいきます。

2. ベースコーディネートをつくる

奇をてらわないシンプルでオーソドックスなもので「ひと揃い」つくれるようにします。「ひと揃い」とは、少なくともアウター(羽織)、トップス、ボトムス、靴が揃っている状態のことです。私の場合、このベースコーディネートは、出張でも休暇でもどちらにも対応可能なようにテイストも季節感もできるだけニュートラルであるようにしています(テイストがニュートラルとは、例えば、極端にエレガントであったりスポーティであったりしないという意味)。

また、「ひと揃い」は、できればダークカラーで揃えるのが理想です。ガシガシ使えることを前提としたいので、素材やテクスチャーもハードワーキングに耐えられる繊細すぎないものを選びます。この基本形を揃えた上で、旅行期間が長いときや雰囲気の異なる旅行地を複数訪ねるようなケースでは、ライトニュートラルカラーでもう「ひと揃い」つくってもよいでしょう。

20151126_kawachi_5.jpg

年間通して、旅行の種類を問わず、ここ数年ほぼ鉄板になっているベースコーディネート。

3. エクスプレッシブコーディネートをつくる

基本的な考え方は2と同じですが、2の単なる色違いでは奥行きが表現しづらい場合があります。そこで、ある程度のシンプルさやニュートラルさは維持しながらも素材感がリッチだったり、2とはシルエットやテクスチャーの異なる表情が豊かなアイテムを使ったりしながら「ひと揃い」つくれるようにします。エクスプレッシブとは「表現力がある」「表情豊かな」という意味ですが、アーティスティックな表現というよりは2と相対的にエクスプレッシブであればよく、私の場合、この3はリラックスできるコーディネートも兼ねるようにしています。

◎とある旅行の時の私の場合の例

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左から、タンクトップ、堅苦しくなりすぎないドレスシャツ、織り加工のスウェットシャツ、スキニーデニム、レースアップシューズ

4. テーマコーディネートをつくる

出張と休暇では、旅行の性質も必要となる機能も違います。旅程のなかで多くの時間を占めるものにふさわしい、その旅行の趣旨にあった全身アイテムを揃えます。期間によって、また同行メンバーや洗濯状況、スケジュールのタイトさなどを考え、セット数を増やす場合もあります。あるいは、3を4のテーマに多少寄せて選択する場合もあります。

◎出張時の例

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左から、ネイビーのトレンチコート、ネイビーに黒レザーのベルトディテールが施されたペプラムテーラードジャケット、白Tシャツ、揃いのスーツのパンツ、黒のレースアップシューズ、黒のビジネスバックパック

5. ドレスアップアイテムを選ぶ

ちょっといいレストランに食事に出かける、観劇に行く、現地で久しぶりに友達に会う...など、ドレスアップした方が気分が上がるシーンが旅先ではたくさんあることでしょう。そんな時に焦らずに済むよう、ドレスアップの手段も揃えておきます。

例)
・エレガントなワンピースやドレス ・光沢やビジューのついたトップス
・ドレープのあるブラウス ・ステートメントジュエリー ・シルクのスカーフ
・ブレザーなど

もちろん、それらに合わせるエレガントなバッグや靴も必要です。「そこまでかしこまったところに行く予定はない!」という場合は、新たに服を追加せず、例えば2〜4のベースコーディネートにちょっとしたアクセサリーを加えたり、ゴージャスな装飾のクラッチバッグを持ったりするだけでもドレスアップは可能です。

6. アクセントアイテムを選ぶ

ニュートラルなトーンで全身を揃えるのは、化粧でいうファンデーションのようなもの。ベースとしては必要ですが、やはりポイントメイクのようにどこか色や雰囲気を加える方が、コーディネートがイキイキとしてきます。それに、旅先では写真を撮る機会も多いはず。違う服を着ているのに、写真でいつも同じ服を着ているように見えてしまうのは残念です。着回しだけで考えれば優先順位の上位にはこないかもしれないけれど、それがあると途端に全く違う服に見えるような、スタイリングに抑揚をつけるアクセサリーや洋服を何点か用意しておきましょう。夏など薄着の季節にはベルトやジュエリーなどの小物類で、冬は防寒も兼ねてアウターや防寒小物でこうしたアクセントアイテムをもってくると便利です。

◎同じトップスとボトムスでもアクセントアイテムを使って雰囲気を変えた例

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左)コントラストをつけすぎず、ニュアンスのあるアイテムでリラックス感。右)アクセントカラーでコントラストをきかせてキリッと。

7. パーソナルアイテムを選ぶ

以前の記事でも提案したように、「これがあると私っぽい」「これを身につけているとなんとなく落ち着く」というアイテムや色・柄は積極的に取り入れましょう。私の場合、ケープや帽子のほか、旅では特にターコイズのアクセサリーを身につけることが多いです(ターコイズは好きな色で誕生石でもあるほか、旅のお守りとしても知られている石なので)。

8. 検証してみる

最後に、揃えたアイテムでどれくらいの組み合わせができるかを試してみます。おかしな組み合わせはないか、シチュエーションに対して適切かを検証するほかに、旅行で重要なのは天候への対応です。急激な温度変化や大雨になった場合にも、用意したアイテムである程度吸収できるかを考えます。かなりの確率で悪天候が予想されている場合には、初期段階からそれを念頭において準備するとよいでしょう。

想像力を豊かにして、自分らしいワードローブを育てよう!

旅行のパッキングが、なぜワードローブを育てる力を養うのに役立つのかといえば、ひとえに「想像力が磨かれるから」に尽きます。状況を想像しながら服を選んだり、「この1枚でどこまで対応できるだろうか」と服の活躍度を想像したりすることにつながるのです。これができるようになると、旅行のパッキングにかぎらず、そもそも服の買い方も変わってくるはずですよ。今お持ちの服について、今回ご紹介した7つのステップに沿って検証してみてはいかがですか。

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