未来へ紡ぐストーリー

January 06 2016

働きたいけど働けない人と後継者不足の農業界を結ぶ|NPO法人農スクール

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誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんを紹介していきます。第10回目は、NPO法人農スクールの代表の小島希世子さんにお話を聞きました。
※リズムーンで過去に掲載した小島希世子さんのインタビューはこちらから>>

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「農スクール」の活動について教えてください。

年々増え続ける生活保護受給者は現在全国に215万人、また、ニートと呼ばれる働く意欲の湧かない若者は全国で63万人を超えていると言われています。一方で、農業界は人手不足で、戦前は550万戸あった農家は、後継者不足などで現在は250万戸までに減っているといわれています。そんな状況から、働きたい人と農業界をつなぐことができれば、お互いにハッピーなのではないかと考え、ホームレス、生活保護受給者やニートの若者たちなど「働きたくても働けない」「働きたくても意欲をもてない」方と農業界をつなぐ取り組みを行っています。

「土が人を育てる畑の学校」をキャッチコピーに、農を通じたさまざまなプログラムを体験することで、「やりがい」「仕事観」「自己肯定感」を得ながら農業のイロハを学び、農業界への就労機会を生み出していく取り組みを行っています。また、食べ物を自分の手で生み出すことができると、食べることには困らないので、そのような技術を身につけることも大切だと考えています。

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具体的には、どのような取り組みなのでしょうか。

漠然と農体験をするのではなく、農作業とワークノートを連動させた活動をしています。達成感を得やすいように、週1回2時間✕10回を1学期(3ヶ月)とし、約1年かけて就農を目指すプログラムを展開しています。

具体的には、神奈川県藤沢市にある農園で、受講生たちが協力し合い農作業を行います。土と自然に触れ、仲間たちと一緒に汗を流しながら作業をすることで、心と身体のバランスをつくりながら、農業スキルの習得や働く喜びを体感してもらいます。その後、ワークノートを使って、その日の作業などを振り返ります。作業内容の把握や記録を蓄積して達成感を感じてもらうと同時に、自己観察を行うことで、他の人とのコミュニケーションや仕事観を見つめなおしたり、事務局スタッフとの交流なども行ったりもしています。

その中で農業への就職を希望する人と人材募集中の農業法人・農家とのマッチングも行っています。就農希望者には、3ヶ月を1クールとして約1年のプログラムを経て、就農を目指すプログラムを提供しています。

いままで、実際にどれくらいの方が就農されたのでしょうか。

2013年からスタートしたプログラムなので、まだ数としては多くありませんが、60名ほど受け入れをして、そのうち就職した方々は20名ほど。就農した方は5名です。

農スクールでは、就農だけがゴールではなく「農」を通じて、そのスキルを学んだり、人とコミュニケーションを取ったり、自分を見つめなおす「社会復帰プログラム」としても機能しており、さまざまな職種や形での「働く」を実現しています。

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活動をしてうれしいこと、反対に大変なことはありますか。

うれしいことは、参加者がご本人の力で見違えるように変わっていき、困難を乗り越えていく様子を間近で見ることができるところですね。また、畑で作った野菜は、あとでバーベキューをして食べるのですが、みんなが自分たちでつくった野菜であるという自信を持ち、おいしそうに笑顔で食べている姿を見ると、とてもうれしくなります。大変なことは、つらい話を聞くこともあるのですが、気を張っていないと、感情移入しすぎて客観的な視点を失いそうになることです。

農スクールが未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

働ける状態であり働く意欲があるけど「ホームレスだから」という理由で雇ってもらえないという外的要因によるものや、「働きたいけど、どうせ自分は○○だから・・・という境遇、環境のせいだ」と自分で自分に制限をかけている心理状態の内的要因など、「仕事をしない」「仕事をできない」理由はさまざまだと思います。でも、環境に左右されるのではなく、本人の意思があれば、それぞれの問題を解決しながら、就労することができるチャンスがある世の中になっていくとよいと思います。

現在必要としている支援、参加してほしいことなどありますか?

ホームページの更新などを手伝ってくれる方、大歓迎です。そして、就農や社会復帰に向けて準備をしている方、その他日常的な内容も含めて、参加者の方の悩みを聞いてくれるような方がいるといいなと思います。また、当園の野菜を食べることを通じて、支えていただけるのもありがたいです。

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読者へのメッセージがありましたら、お願いします。

私たちは、ご家族連れからご年配の方までが集い、種まきから収穫まで楽しんでいただくことができる無農薬菜園体験コトモファームも運営しています。「畑」は多くの人たちにとって、学び、癒され、元気や健康をもたらす場だと思います。農業体験などを通じて、「農」が持つパワーにぜひ触れていただけるとうれしいです。

また、食は身体を作るもの、食が仕事や家事、学校などで活動するエネルギー源となります。その生産の現場である畑に目を向けると新しい価値観が生まれるかもしれません。そして、日本の農業の未来、働きたい人たちの未来を一緒に考えてくださるとうれしいです!

<take action-いま私たちにできること->

食と職、つまり、働きたい人と農業をつなぐことで、そこから1歩踏み出すためのお手伝いをしているのが、農スクール。

お話を伺っていると、農業というスキルを身に着けることはもちろん、仲間と力を合わせて協力すること、何かをやり遂げることなどを体験することが意欲につながることがわかりました。

必要なところに必要な人を。
これからも、畑を通して、たくさんの人が育まれていくのかもしれません。

NPO法人農スクール

ホームページ:http://know-school.org/

Facebook:https://www.facebook.com/knowschool/?fref=nf
コトモファームホームページ :http://www.eto-na-en.com/cotomo-farm/index.html

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