未来へ紡ぐストーリー

April 06 2016

性的マイノリティの子どももありのままでオトナになれる社会に|特定非営利活動法人ReBit

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誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第13回目は特定非営利活動法人ReBitの代表・藥師実芳(やくし みか)さんにお話を聞きました。

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藥師さんと子どもたち

活動の根幹にある「LGBT」の意味を、具体的に教えてください。

「LGBT」とは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(からだの性とこころの性が一致しない人、性同一性障がい者を含む)の頭文字からなる言葉です。また、LGBTを含む、性自認(自身が認識する性別)や性的指向(恋愛対象となる性別)などが非典型である人をいわゆる「性的マイノリティ」と呼ぶ場合があります。

「LGBT」の方は、実際にはどれくらいいるのでしょうか。

LGBTは国内人口の約7.6%[i]を占めるとの調査結果もあり、約13人に1人が「LGBT」であると考えられています。日本の多い苗字トップ6である佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん、渡辺さん、伊藤さんといった日本の六大苗字の合算値より多いともいわれる、実はすごく多い「身近なマイノリティ」のひとつなのです。

[i]電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」より

「ReBit」の活動について教えてください。

正しい知識や周りの理解不足などから、性同一性障がい者の約3人に2人が一度は自殺を考えるという深刻な事態を招いています[i]。ReBitはLGBTであってもなくても、すべての子どもがありのままでオトナになれる社会を目指し、教育現場でのLGBTの理解普及のため、約350回の授業/研修や約3万部の教材提供、自治体などと連携して日本最大級のLGBT若者向けイベント「LGBT成人式」を開催したりしています。また、LGBTも自分らしくはたらくことを応援するために、さまざまな企業と連携したイベントなどを通じて約400名の就活生を応援。また、約100社の人事担当者への研修提供や、全国大学キャリアセンターへの資材提供など、就労支援機関への情報提供なども行っています。

[i]新井不二美・中塚幹也ほか(2008)「性同一性障害の思春期危機について」「日本産科婦人科学会雑誌」60(2): 827, 第 60 回日本産科婦人科学会学術 講演会

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LGBについてのセミナー

なぜ、このようなご活動、支援を始めようと思われたのですか。

僕は、現在は男性として生活をしていますが、体の性は女性として生まれ、小さい頃から自分の性別に違和感をもっていました。小学校4年生から自身がトランスジェンダーであることを誰にも相談できず、しばらくは「バレたら嫌われる」と思い、女の子らしく過ごしていました。でも、そうすればそうするほど、本当の自分とどんどん離れてしまい、高校2年生で自殺未遂を経験。その後、20歳でさまざまなLGBTの大人に出会う中で、自分らしく生きられることを実感すると同時に、もっと幼い時期から「あなたのままで大人になれる」と言ってくれる身近な大人がいたらよかったのにと思いました。当時の僕のように、「あなたのままで大丈夫」という言葉を待っている子どもは各学校の各クラスにいるのでは? その子たちに届けたい、届けられる大人が増えてほしいとの思いから大学2年時に学生団体としてReBitを発足しました。

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特定非営利活動法人ReBitの代表・藥師実芳(やくし みか)さん

「LGBT」の方々が直面する困難はどんなことでしょうか。

セクシュアリティ(人の性のあり方)は、自らの意思で選択可能なものではなく、アイデンティティのひとつです。でも、自他共に受け入れられない場合、人間関係構築の困難、自尊心の低下など、さまざまな困難に繋がる場合があります。また学校では、トイレや制服などが男女で分けられたり、心と体が一致している前提での生活は、性的マイノリティの子どもに、自己否定や不安感を与えるものにもなります。また、68%のLGBTの人たちがいじめや暴力を受けた経験があるというデータもあります[i]。保護者や先生をはじめ、なかなか相談することができる人がいないことも悩みを抱え込んでしまう原因になります。そして、就職してもトイレ、更衣室などのハード面、呼称や役割などのソフト面における区分に困ってしまうこと、差別的言動を受けることもあります。

[i] いのちリスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン 平成 25 年度東京都地域 自殺対策緊急強化補助事業 「LGBTの学校生活に関する実態調査(2013)」

LGBTの方がまわりにいた場合、力になれること、何かできることはありますか

LGBTであるかどうかは見た目では判断できません。私の経験では、高校2年生のときイチかバチかである友人にカミングアウトしたところ、「藥師は藥師だからいいじゃん」と言ってくれ、自分でも受け入れられなかった自分を受け入れてくれる人がいる、ということが分かったらとても気が楽になりました。その時の経験があって、今があるといっても過言ではありません。LGBTの存在が、義務教育の中であたりまえに伝えられ、すべての青少年や、教職員や保護者など子どもに接する大人が多様な性について知ることができる環境が整えば、それがLGBTへの理解につながると思います。

活動をしてうれしいこと、反対にちょっと大変なことはありますか。

うれしいことは「人が変わっていくこと」です。一緒にReBitをやってくれている約300名の大学生から20代を中心としたメンバーがどんどん自分らしくいられるようになったり、LGBTについて伝えた先生が自身の学校で取り組みを始めてくれたりしています。「早く行くならひとりで行け、遠くへ行くならみんなで行け」という言葉がありますが、これからも「みんなで」進んでいける団体でありたいと思います。

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ReBitの活動メンバー

もし、自分の子どもがLGBTだと気がついた場合、親としてはどのようなことができるでしょうか。またはしてほしいでしょうか。

LGBTのニュースや映画について肯定的に話すなど、LGBTのことを知っているよ、受け入れているよというポジティブメッセージを発信し、相談しやすい環境をつくってほしいと思います。また、保護者自身もLGBTの家族会(NPO法人の家族と友人をつなぐ会)につながるなど必要に応じてピアサポートを受けることができます。

ReBitが未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

僕には夢があります。10年後を生きる子どもが、誰かと違うことをあたりまえに言えたらいいなあ、と。一人ひとり違うことがあたりまえで、かつ、それがとても素敵だと認識されたらいい。

きっとその社会では、誰かと違うことで、自己否定することはないでしょうし、誰かと違うことで、「拒絶されるかも」と心配しないでしょう。
どんな特性を持つ子どもも、ありのままでオトナになれていると信じ、少しずつ(Bit)を何度でも(Re)繰り返し、実現していきたいと思います。

また、ReBitの活動を一緒にしていただける仲間も増えるといいなと思います。web作成(デザイン/プログラミング)、団体パンフレットデザイン、コピーライティング、動画製作/教材製作、ファンドレイジング、団体プロモーション、法律/会計相談などなどお力貸していただきたいことがたくさんありますので、プロボノとしてぜひ力を貸してください。

<take action-いま私たちにできること->

「LGBT」という言葉を知り、あまりにも知識も理解も乏しいこと、また、自分や多くの人の中に間違った認識があるのではないかと思い、今回、お話を伺いたいと思いました。個性や性格がそれぞれのように、「性」についてもそれぞれ違う。そんな当たり前のことが本当の意味で当たり前の社会になるといいな、と切に思いました。

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