日本における子どもの貧困をなくし、夢や希望を持てる社会へ|特定非営利活動法人キッズドア

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第15 回目は、日本国内のすべての子どもが将来への夢や希望を持てる社会の実現に向けて活動する特定非営利活動法人キッズドアの理事長 渡辺由美子さんにお話を聞きました。

「特定非営利活動法人キッズドア」の活動について、教えてください。

経済的に苦しい家庭、ひとり親家庭、また、児童養護施設や被災地で暮らす子どもたち、さまざまな困難な状態にあって、学校の勉強についていけず、高校や大学への進学を諦める子どもが日本にもたくさんいます。「生まれ育つ環境によって、夢や希望を持てない子どもがいるのは成熟した社会とはいえない」「親の収入格差が子どもの教育格差であってはならない」という考えのもと、学習を中心に子どもたちを支援する活動を行っています。

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キッズドア学習支援

なぜ、このような活動をされようと思ったのでしょうか。

夫の仕事の関係で、二人の息子とともに英国で暮らした時、当時、小学一年生の長男は英語がわからず、小学校の授業が理解できませんでした。その時に、現地の同級生の保護者がボランティアで勉強をみてくれました。また、この学校では、教材費は寄付でまかなわれていました。外国人家庭や貧しい家庭の子どもたちも、分け隔てなく、地域と学校と父母が連携し、協力して育てる社会のしくみに感動しました。

日本に帰国すると、日本では給食、教材費、写真代、修学旅行など、さまざまな場面で集金されることに驚きました。日本にも子どもの貧困があるということが、メディアなどで取り上げられる前のことです。現実にこれらのお金を支払うことができない家庭があることを知り、そのような経済的に苦しい家庭が本当に望む事は何かを模索した結果、子どものための無料の学習指導に行き着きました。

日本における「子どもの貧困」について教えてください。

厚生労働省による「平成25年 国民生活基礎調査の概況」によると、日本の子どもの貧困率は16.3%という調査結果が発表されています。さらにひとり親家庭の子どもの貧困率は54.6%。つまり2人に1人は貧困の環境にあるといわれています。我が国のひとり親家庭の子どもの貧困率は、34ヶ国の先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)の中で最低となっています。

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キッズドアのホームページより

保険証がなくて病院に行けない子、親が仕事に追われて一日一食しか食べられない子、そばで見てくれる人がいないので勉強する習慣が身に付かない子、お金がなくて進学をあきらめなければならない子も多くいます。

「豊か」なはずの日本ですが、子どもの貧困は深刻です。

具体的に「貧困」の環境にいる子どもたちにはどのような影響があるのでしょうか。

日本では教育にお金がかかるために、保護者が裕福だと子どもの学力が高く、保護者の収入が低いと子どもの学力も低いという結果が出ています。勉強を続けたくても進学をあきらめなくてはいけない子どももいます。中学校や高校卒業とともに就職することで賃金が低くなる場合も多く、貧困な環境で育った子どもはまた貧困の中で暮らす、という「貧困」の負の連鎖となってしまう可能性が高くなります。

私たちにもできることはありますか。

学習会のボランティアで実際にお力を貸していただく以外にも、マンスリーサポーターなどでのご寄付、ブログやFacebook、Twitterなどで、私たちの活動や子どもの貧困についてシェアしていただくことなどでもご協力いただけます。

また、日本には国としての給付型奨学金制度がないため、大学進学を諦める子どもたちが多くいます。経済的困難をかかえているご家庭の子どもたちは、貸付型奨学金を借りること、つまり、かなりの額の「借金」をかかえることをためらい、進学そのものを諦めてしまうことがあるのです。キッズドアでは他の団体さんと一緒になって、給付型奨学金を実現して欲しいと国に要望する為の署名活動をこの5月から始めています。こちらの活動をシェアしていただいたり、ご賛同いただくこともとても大切なご支援です。

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学習支援、ある日の一コマ

活動をしてうれしいこと、反対にちょっと大変なことはありますか。

うれしいことは、学習会に通う子どもたちが笑顔で元気になってくれることです。子どもたちが元気になると、保護者の方も元気になります。今まで学習会に通った中学3年生は全員が高校に進学することができています。子どもたちはもちろん、学習会のボランティアやスタッフの日々の活動が実った時にはやはりうれしいです。

一方、勉強がよくでき、ご本人も大学進学を希望しているのに経済的理由で進学できないという現実に直面した時は辛いです。そのようなことがあり、給付型奨学金実現を求める署名活動をはじめました。

「未来へ紡ぐストーリー」ということで特定非営利活動法人キッズドアが未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

「豊か」だと思われている我が国にも、さまざまな理由で貧困の中で生活する子どもたちがいます。場合によっては、その活動は制限され、与えられるべきチャンスを得られないまま、大人になっていきます。キッズドアでは、すべての子どもが夢と希望を持てる社会が実現することを願い、活動していきます。

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スキンシップも大切!

読者の方へのメッセージをお願いします。

経済的困難をかかえているご家庭の子どもたちは、みなさんの近くにもいるのです。そうした子どもたちは、服装もきちんとしていますし、スマホを持っていたりもするので、見た目だけではわかりません。スマホを持っていないと子ども同士の世界から孤立してしまうので、食費を切り詰めてでもスマホを持たせるご家庭が多いのです。

実は必要なものが買えないので忘れ物をしたと先生に言う子ども、費用を出せないので部活や修学旅行に参加せず批判的になっている子ども......。そうした子どもに出会った時、その背後にあるのは何なのだろうと想像力を働かせてみてください。そうした子どもたちに社会が温かい目を注ぎ、社会で子どもたちを育てるという意識を持っていただけると嬉しいです。

<take action-いま私たちにできること->

近年、「子どもの貧困」について、クローズアップされる中、6.3人に1人が貧困の状況にあると聞き、実際に支援に携わっている方々のお話を聞いてみたいと思い、今回、キッズドア様をご紹介しました。子どもたちに学習のチャンスを。さて私たちにできることは?

特定非営利活動法人キッズドア
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ご支援はこちらから。 
給付型奨学金を実現して欲しいと国に要望するための署名活動はこちらから。

林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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