世界の課題を子どもたちが解決するシミュレーションゲーム|ワールドピースゲーム・プロジェクト

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第16 回目はワールドピースゲーム・プロジェクトの代表で、ワールドピースゲーム認定ファシリテーターでもある谷口 真里佳さんにお話を聞きました。

※2016年12月にリズムーンで、ワールドピースゲームを開催します。詳細&申込はこちらから>>

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「ワールドピースゲーム・プロジェクト」の活動について、教えてください。

「ワールドピースゲーム」の実施、普及活動を行っています。ワールドピースゲーム自体、日本で初めての活動なので、どのようなゲームなのかという内容をお話したり、アメリカでこれまで行われてきた歴史や背景なども合わせてお伝えしています。今年は夏にかけて、第2回、第3回と学校や教育機関で実施することになっています。

2016年3月に日本で初めて開催したワールドピースゲームの事後報告ムービー

ワールドピースゲームとの出合い、日本に導入しようと思った理由やきっかけを教えてください。

私がゲームのことを知ったのは、Coursera(オンライン大学)の課題として、ジョン・ハンターのTEDトークを観たことがきっかけです。同じタイミングで、メンバーの望月もNHKスーパープレゼンテーションで観ており、「これ日本でできたら面白いよね!」「これからの社会に必要なのはこのゲームなのではないか」と意気投合し、勉強会をはじめました。これが2015年の春頃のことです。

世界の情勢を丸ごと学べること、子どもたちの能力に委ねる部分が多く考えさせるプログラムであることを魅力に感じました。

そして、"ワールドピースゲームを運営できるのはマスターコースを修了した者だけ"と聞き、2015年8月、アメリカのオレゴン州で開催されたWorld Peace Game Foundation主催のマスターコースに望月と2名で参加後、このプロジェクトを立ち上げました。

マスターコースの冒頭、創始者のジョン・ハンターが言ったのは、「Game is Nothing」という言葉でした。「何を教えるかではない。何も教えないのだ。子どもたちが、固定観念や前提、余計な情報など全てから解き放たれて、全く何もない状態、つまり『エンプティースペース』を与えることが一番大事。その中で、答えは子どもたちが見つける」ということ。これを聞いたときに、日本の子どもたちにも届けたいと強く思いました。

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2015年にマスターコースを修了したときの写真

実は、望月と私は、1990年に国際交流団体の活動を通じて知り合っています。私はこの団体の代表をし、その後、この団体の立ち上げを行った望月と再会して意気投合、そして、この学びの場の提供に取り組みはじめたのです。

ワールドピースゲームの概要、簡単なルールを教えてください。

米国の小学校教師だったジョン・ハンターが1978年に考案し、改良を続けている世界の課題解決型シミュレーションゲームです。

世界が実際に直面しているような、政治的、経済的、社会的、環境的などさまざまな問題が、危機として提示され、参加者はなんとか自分たちの手で問題を解決するよう試みます。

このゲームは、世界を表す4層のタワー(120cm×120cm×150cm)を使って行います。仮想の4か国と、国連、世界銀行などの機関に分かれ、子どもたちがそれぞれに役割を持ち、各機関のリーダーとなり、世界で起こっている50以上の課題を「交渉タイム」→「宣言」を繰り返して解決することを目指します。

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チームメンバーで作戦会議中

勝利の条件は終了時刻までに、全ての国の資産増加と、全ての課題の解決を実現することの2つです。15時間~20時間をかけ、25人~35人の子どもたちが参加します。

答えのない問いに向き合い解決を目指す姿勢、深い思考力、交渉力、決断力、協働する力など、これからの社会に必要とされる大切なスキルを身につけることができます。

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必要だと思えば、200億円の小切手も発行します

ゲームでは世界を表す4層のタワーを使うとの事ですが、実際にはどのように使うのでしょうか。

タワーは、上から宇宙、空、地上と海面、海底を示しています。コマは、「宣言」によって何か物事が動くことが決まると移動されます。人の意思決定によって動かされる場合だけでなく、例えば、台風などで海岸にある工場がなくなってしまうなど、気候変動、天災によっても影響を受けることがあります。目の前で展開される世界の状況や変化を、自分たちが作り出しているんだという実感に、一気にゲームに引き込まれていくんです。

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ゲームの舞台となる4層のタワー

ワールドピースゲームに参加する人の対象年齢はありますか?

小学校高学年~中学生が適性とされています。この年齢の子どもたちは大人とほぼ同レベルの語学力がありますが、固定観念が少ないので、自由な発想を用いて「世界の課題を解決する」ということに取り組めるからです。世界各国ではこれまでに高校生を対象にしているところもあります。

活動をしていてうれしいことはありますか。

ワールドピースゲームでは、それぞれ首相や大臣として、国の行動方針を「宣言」として発表したり、他国と「交渉」したり、リーダーシップを発揮してゲームの展開に貢献していく必要があるので、子どもたちが真剣に悩んだり、考えたり、みんなで協力して、答えを出したり、また、ゲームの中での課題を解決したとき、その成長や喜ぶ姿を見るのはうれしいことです。5日間のゲームをしている子どもたちを見ていると、初日には「難しいな」「わかんないな」と表情に出ていた子どもたちが、5日目には、「自分がやるべきこと」をしっかりつかみとり動いていると感じる瞬間があり、そんな姿を見てると頼もしく嬉しい気持ちになります。

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問題解決に夢中になっている子どもたち

「未来へ紡ぐストーリー」ということで未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

ワールドピースゲームの普及を通じて、子どもたちがたくさん悩み考える時間を提供し続けたいと思っています。体験した子どもたちの中から、世界をあっと言わせる作戦を実社会に生かせる人が生まれて......そして、いつか本当に世界が平和になってくれたら、そう信じて活動しています。

読者の方へのメッセージをお願いします。

子どもたちの可能性は本当に素晴らしいです。

ワールドピースゲームでは、「子どもたちが主体的に活動する」「子どもたちの創造力を信じて委ねる」「子どもたちが答えのないような困難な課題に向き合う時間を大切にする」ことが最も尊重されます。固定観念に縛られず、子どもたちが自分の頭で考え、自由な発想で課題解決に取り組むゲームです。

子どもたちが、このゲームを通じて自らの限りない可能性に気づき、その能力を現実の世界で存分に発揮するための力をつける。それこそが、今、数々の複雑な難題を抱える世界の未来を救うことになる、と私は信じています。

ぜひ、みなさんのお子さんやお知り合いのお子さんなどに、ワールドピースゲームのことを教えてください。そして、より多くの子どもたちに、世界のことを考え、問題を解決していく面白いゲームに参加して欲しいです。

take action-いま私たちにできること-

世界が直面している問題、未来に起こる問題。それらの問題に立ち向かっていかなくてはいけないのは、子どもたちです。ワールドピースゲームを通じて、課題に取り組んだり、解決策を考えたり、みんなで協力する力を身に着ける経験ができるのはいいですね。何よりも、大人が思いつかないアイデアが浮かんできそうで、大人も勉強になりそうです。

ワールドピースゲーム・プロジェクト

ホームページ: http://worldpeacegame.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/wpgJP/
Twitter:https://twitter.com/hashtag/ワールドピースゲーム 
(2016年3月27日~3月31日に行われた日本初のワールドピースゲーム「第1回ワールドピースゲーム」の模様が分かるハッシュタグ)
ブログ: http://worldpeacegame.jp/2016/05/23/new15/

林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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