病院や施設、被災地などに笑いとユーモアを届けるクラウン(道化師)|Clown One Japan

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第18回目はClown One Japan代表、金本麻理子さんにお話を聞きました。

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Clown One Japanの活動内容を教えてください

私たちの団体名にもある「クラウン」というのは、ご存知の通り、「ピエロ、道化師、おどけ者」という意味です。私たちは「赤い鼻のピエロ」の姿になって、病院で入院されている方々のところにお邪魔したり、高齢者施設、児童館、商店街などを訪問したりして、その場にいる方々に笑顔とユーモアを届ける「心のケアをする道化師(クラウン)」の活動をしています。

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なぜ、このような活動をされようと思ったのか、きっかけを教えてください

十数年前、大好きな祖母の介護や死をきっかけに憔悴、欝となり、なかなか話を聞いてくれないドクターに失望して症状が悪化してしまいました。ちょうどその頃、ユーモアあふれる療法で人々のこころとからだを癒す実在の精神科医の若き日を描いた映画、ロビン・ウィリアムズさんが主演の『パッチ・アダムス』を観たことがきっかけとなり、そのモデルとなったDr.パッチに会いにロシアまで行きました。

そして、彼を通してクラウンの活動を知り、2003年ロシアで行われたパッチ主宰のクラウンツアーに参加。その後、中国、チベット、イタリア、エクアドル、アメリカなどの施設や病院などをクラウンとして訪問し、2009年に国内でケアリングクラウンのグループClown one Japanを立ち上げました。パッチ・アダムスは米国大統領専用機エアフォース・ワンに因んで自らのクラウン使節団を「クラウン・ワン」と名付けました。私たちの「Clown One Japan(クラウンワンジャパン)」はその日本支部です。

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ケアリングクラウンは具体的にどんな活動をするのでしょうか。

クラウンは劇場やサーカスなどで主にパフォーマンスをみせる道化師のことをいいますが、ケアリングクラウンは、特別な準備や特別なパフォーマンスはしません。アコーディオンや笛を鳴らしながら、バルーンやシャボン玉を持ってお伺いしますが、その日、その場の状況に応じて、常に即興で相手の方と共有できる世界をつくりだしています。時には相手のお話を聞くだけであったり、肩に手を置いたり、手を握っているだけのこともあります。昔のお話に耳を傾けたり、童謡を一緒に歌ったり......。ただそこにいて、同じ空間で同じ体験をすることで言葉を超えたコミュニケーションが生まれます。

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クラウンには誰でもなれますか?

誰でもクラウンになれます! そのベースは変わりませんが、よりスキル的な内容を学んで多様な現場でいかせるように、2016年4月から「クラウンアンバサダーベーシック講座」を開始しました。パッチや世界中のクラウンから学んだクラウン的コミュニケーションとアドラー流コーチングを使ったコミュニケーションを融合させた独自のスタイルがクラウンアンバサダーです。

現在2期が終了して、北海道や長崎などから、30名ほどの方が3日間の講座を受講してくださっています。

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活動をしてうれしいことや大変なことはありますか

活動していてうれしいことは数えきれません。なんといっても10数年前に欝で苦しんで、家族と過ごすのさえ辛かった私が"人を好きになれた"こと。世界中のクラウンの仲間ができたことです。そして、自分と同じように辛かった人が求めてきてくれて、クラウンをやっていくうちに元気になっていくのを目の辺りにしていることがうれしいです。

大変だと思ったことはあまりありません。クラウニングの時には、認知症や障がいを持っている方の過去や未来に敬意を払うことはもちろん、かかわる自分たちが元気で、幸せで楽しいことが一番だと思っています。自分自身の電池を満タンにしていることにもフォーカスしています。

今後の展望やご活動を通して、どんな社会にしていきたいですか

便利な世の中になった今こそ、人と人との繋がりを大切にしたいです。人と人が触れ合う中で、傍らに寄り添うことで、癒されることが多いはず。隣にいる人に関心をもつこと、声をかけること、おせっかいをすること。それをクラウンは笑いを通してつなげる存在でありたいと思っています。

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読者の方へのメッセージをお願いします

「クラウンは友達になるいちばんの近道」とパッチが教えてくれました。

映画『パッチ・アダムス』の中で、学生だった頃のパッチが仲間たちと病院に忍び込んで高齢の男性患者さんの夢であったサファリのシーンを一緒に描いて空想の中で遊びます。まるで子どもの頃にもどったような生き生きとした表情をみせた患者さんの「ありがとう、パッチ。死ぬ前に行きたかったんだ」と言って充実しきった患者さんの笑顔がずっと印象に残っています。
たとえどんなからだでも、いくつになっても夢を描くことも、やりたいこともきっとある。そこを一緒に引き出し、少しでも豊かな時間を持てるような関わりができる「クラウン」を一緒に創っていきたいと思います。

ぜひ、みなさんもクラウンアンバサダーとなって人と人を繋ぐ架け橋になってください!

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<take action-いま私たちにできること->

一瞬で誰かを幸せにすることはできる!どのような状況でも、そこに「笑い」と「ユーモア」があれば、「活き活きと生きる力」につながるのかもしれません。みなさんのキラキラした笑顔が印象的でした。隣にいる人、知らない人、きっと私たちにも誰かを笑顔にする力があるんですね!(林)

Clown One Japan
ホームページ: http://www.marikokanemoto.com/
Facebook: https://www.facebook.com/clownonejapan/
ブログ: http://ameblo.jp/ureshiina3/

林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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