未来へ紡ぐストーリー

October 07 2016

星を介して人と人をつなぎ、病院や被災地に星空を届ける|星つむぎの村

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誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第19回目は星つむぎの村共同代表、高橋真理子さんにお話を聞きました。

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病院にてプラネタリウム上映

星つむぎの村の活動内容を教えてください。

「星を介して、人と人をつなぎ、ともに幸せをつくろう」をミッションに、星空を見たくてもなかなか見ることができない方々にプラネタリウムの星を届けたり、山梨県の八ヶ岳南麓を拠点に星の下に人が集う場づくりをしたりしています。具体的には、「病院がプラネタリウム」プロジェクト、「被災地支援」「ユニバーサルデザイン活動」、そして「星の郷ミュージアム」プロジェクトなどがあります

なぜ、このような活動をされようと思ったのか、きっかけを教えてください。

私は、もともと山梨県立科学館のプラネタリウムに20年近く勤めていました。そのときに、市民に愛される参加性の高いプラネタリウムを目指して、プラネタリウム・ワークショップというものをはじめました。そこで市民のみなさんと一緒に、一般の方たちに見ていただくプラネタリウム作品づくりをするようになりました。メンバーである視覚障がい者の方から、「この50年間、ぼくに星の話をしてくれた人はいなかった」という言葉も聴き、それは、ユニバーサルデザインを意識するきっかけにもなりました。

また、2007年に「星つむぎの歌」というプロジェクトを行いました。「みんなで星を見上げ、そこで感じることを言葉にし、ともに歌を作ろう」と全国に呼びかけた企画でした。歌のフレーズを1行ずつ、満月と新月の日に募集と選定を繰り返し、半年かけて歌ができあがり、財津和夫さんが曲をつけて、平原綾香さんが歌いました。2000人以上が関わってできたこの歌は、今もあちこちで歌い継がれています。この企画を通して、星をキーワードに人が表現しあってそれを共有することのすばらしさを教えてもらいました。

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星つむぎ村の仲間たち。

それ以外にも、「星が人をつなぐ」事例をたくさん経験し、確実に、星空を見上げることが人々の生きる力になっていくことを感じてきました。一方で、星を見上げることを忘れてしまっていたり、その大切さに気づいてなかったりする人たちが数多くいます。また、見たいと思っても見られない人たちも数多くいます。そういった人たちに「星を届ける」「星の下に集う場をつくる」ことをしたいと思い、「星つむぎの村」を運営しています。

活動の中の 「病院がプラネタリウム」プロジェクトのプラネタリウムは、どのような場所に来ていただけるのでしょうか。また、どんなスタイルがありますか。

求めていただけるところはどこでも行きます、と言いたいところですが、機材も人材も限られているので、まずは、長期入院をしている子どもたち、難病の方たちを優先しています。「病院がプラネタリウム」は、企業や一般の方々からの寄付などによって事業を展開しており、病院側のご負担なくできるようにしていますが、それだけで持続していくのはなかなか大変です。費用をご負担いただける場合は、「長期入院の子どもや難病の方」に限らず、お声がけいただければと思います。

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病院のNICU(新生児特定集中治療室)にて。

病院などでは、エアドームを持ち込んでその中に入って観ていただくスタイル(定員10~20名)のほか、病室から出られない方々には、部屋を暗くして、天井に映し出す投影スタイルもあります。また、スクリーン、ピアノなどが置かれているホールがある場合には、そこで生演奏でのコンサートのような感じで、Space Fantasy LIVEという語りと映像と音楽が一体となったライブもできます。

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ドームの外観

「病院がプラネタリウム」や被災地支援でのプラネタリウムに参加された方々の反応などはいかがでしょうか。

人間はちっぽけだ、と気づき、だからこそ生きていることが奇跡と気づいた、知らないうちに涙が流れて心が浄化されたという声をよく聴きます。病気でとても調子の悪かった子が、「めっちゃ元気でた!」といって意気揚々としたこともありますし、それまで院内学級に顔を出さなかった子が、プラネタリウムではじめて出てきたという例もあります。

また、上映前にはまったく無関心な表情をしていた難病の高校生が、プラネタリウムを観ているうちに、顔そのものが素晴らしく輝いてきたのを忘れることができません。その表情をみて、隣にいたお母さんも号泣していました。何か言葉にできないものが、宇宙や星空にはあるのだと思っています。

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星は人々を笑顔にする。

活動をして嬉しいことや大変なことはありますか。

みなさんが喜んでくださるのでその反応こそが、この活動のエネルギーのすべてです。多いときには、1日10回以上も投影することがあり、とにかく体力勝負という面もありますね。その中で、おそらくそのときにしか会えないであろう人たちに、なるべく寄り添い、その時間を精一杯幸せなものにしたいと思っています。

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星を届けるだけでなく、対話も大切にする高橋さん。

今後の展望やご活動を通して、どんな社会にしていきたいですか。

病院や被災地などに星を届ける活動は、たいていの場合、ボランティアというくくりにされてしまいがちですが、社会が求める活動は、きちんと仕事にしていかないと持続可能なものにならないと考えていますので、今の活動を持続可能なものにしていくことが私のチャレンジです。 

また、星空を見上げる、それは、一人ひとりが他者に頼らずとも自浄できる力を取り戻すためにも大事なことだと感じています。星空を見上げ、広大な宇宙から地球を眺める視点は、この世界の平和や環境のことに思いをはせることでもあります。けれど、このように奥深い力を持つ星空そのものが、失われつつあるのも現実です。美しい星空を守っていける、そしてそれを見上げて、自分や家族や仲間、そして、社会や地球全体に想いを寄せられる世界であってほしいと切実に願っています。

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前回の「未来へ紡ぐストーリー」に登場したクラウンの金本麻理子さんともコラボレーション。

もっと高橋さんの想いやご活動を知りたいという方は、以下の著書にて詳しく語られていますので、是非、ご一読ください。

<take action-いま私たちにできること->

「星空を眺め、癒される」そんな時間が人間には必要なのですよね。だからこそ、なかなか空を眺めることができない方々に星空を届ける高橋さんたちの活動は大切。そして、素晴らしい。さて、今宵は星を眺めて、自分のこと、家族のこと、友人のこと、そしてまだ見ぬ誰かに想いを馳せてみませんか。(林)

星つむぎの村
ホームページ: http://hoshitsumugi.main.jp/web/
Facebook: https://www.facebook.com/hoshitsumuginomura/
星空工房 アルリシャ:http://alricha.net/
病院がプラネタリウム:http://alricha.net/index.php?hospital

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