家事はみんなでやるもの。フィンランドの家事分担事情

冬時間が始まり本格的な冬の到来が訪れたフィンランド。スーパーやデパートの店頭にはクリスマス商品が並べられ、この時期の暗闇の憂鬱さを拭うようにフィンランド人たちはクリスマスを今か今かと待ちわびています。

さて今月は、先日のリズムーンの記事にあった「日本で外国人家事労働者の受け入れを解禁し、家事代行サービスの普及が見込まれる」という話を受けて、フィンランドの各家庭では家事はどのように行っているのか、事例を紹介しながら日本の家事分担について考えてみたいと思います。

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同棲から始まるフィンランドカップルは、住み始めたときからどちらが何の家事をやるか、という話し合いがあるとか。数年後にそれで別れたり離婚する原因になることも少なくないのが現状のようです。Photo by mtv.fi

家事はみんなで分担してやるもの

フィンランドにも家事代行サービスのようなものはありますが、あまり一般的ではありません。子持ちで共働きの我が家をはじめ、まわりのフィンランド人家族や日フィン家族なども利用したことはないと言います。出産直後にネウボラから、育児が大変になったらシッターや家事代行サービスを利用するように勧められましたが、とくに利用することなく今までやってきています。

ではどうやって家事を行っているのでしょうか。フィンランドは昔から共働き社会であるため、家事分担は共働き家族の要素だと言われています。とくに子どもがいる家庭では、推して知るべしです。ここで共働き我が家の日常の家事・育児分担をみてみますと、

夫:買い物、料理(和食以外)、育児(着替え、寝かしつけ、おむつ替え、お風呂、歯ブラシや爪切りなどの身体のケアなど)

私:料理(和食)、掃除、洗濯、後片付け全般(水回り、ゴミ出しなど)、育児(主に食事、着替え、おむつ替えなど)、買い物(夫が買い忘れたものなど)

育児は、臨機応変でお互いの仕事などの都合でやりくりしています。あとは突発的に車や家の修理や部屋のレイアウト替えなど、力仕事が必要なものはすべて夫任せ。レイアウトなどはアイディアを出し合いますが、実際動くのは夫です。

家事代行サービスを利用しないのは、フィンランドでは家事は家族みんなで分担してやるもの、という風習があるから。義家族も昔から共働きだったため、その環境下で育った夫も昔から家のことを手伝っていたと言います。共働き家族の知人の家に週末訪れた際には、みんな揃って掃除をしていました。そのため、家事は女性がやるものということはなく、家族みんなでやるという意識が多かれ少なかれあるようです。また、DIY文化(Do It Yourself)も浸透しているので、お金を払って家事をやってもらう、という意識も薄いようです。

各家庭によってそれぞれ

ただし、みんなでやるといっても、各家庭によっていろいろ問題はあるようです。たとえば、母親が家事の中心となって夫や子どもに指示をするけれども、母親が家事のやり方などに口出しするので夫や子どもが家事をやりたがらない、といった結果を招くそう。さらに、もともと家事をまったくやらないフィンランド人男性も。一度も包丁を握ったことのない知人家族の旦那さんや、また仕事一筋で家事や育児はすべて奥さん任せ、という人もいます。風習ではあっても、各家庭によって異なるのは、何も日本だけではなくフィンランドでも同じですね。

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スーパーで子ども用の買い物カートを押す息子。この調子で他の家事も率先して手伝ってくれるといいのですが。。

家事に対する考え方を変えよう

サラリーマン家庭がほぼ大多数を占める日本において、昔から「男は台所に入るな」「外で働くのは男、家を守るのは女」などの性別で役割分担が決められてしまった価値観があります。時代が変わり、女性が働きやすい社会へと向かうには、古い価値観を捨て、同じ社会の一員である男性や子ども、さらには年配層の方々の家事に対する意識改革が必要でしょう。

また労働時間の長さも家事を行う労力と時間に影響していると思われ、この視点からも勤務時間の早期改革が必要だと思います。家事分担ができていない家庭は、一度すべての家事をリストアップし、誰が何を担当するか?お手伝いできる子どもがいれば、子どもも話し合いに参加させ家族全員で家事分担の役割を決める、などのアドバイスがあります。

家事代行サービスを導入することで、育児と同様に選択肢が増え多様性につながり、経済が活性するなどの部分もあります。しかし、フィンランドからみると、労働時間の改革や家庭内で役割分担を行うことの方が本質的に人間らしい生活に近く、そして女性も心底働きやすいと感じるのではないでしょうか。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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