「障がい者」のイメージを豊かに

November 11 2016

障がいをもつ女性の笑顔があふれる雑誌『Co-Co Life☆女子部』(後半)

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障がいをもつ女性向けフリーマガジン『Co-Co Life☆女子部』。同誌の編集長を務める元山文菜さん(36歳)も、見た目でその障がいはわかりませんが、23歳のときに臼蓋形成不全症という骨盤の骨が育たない病気と診断され、中途障がい者となりました。後半の今回は、ご自身の障がいについて、そしてこれからの『Co-Co Life☆女子部』について聞いてきました。前編はこちらから>>

キラキラ輝くCo-Co Life☆女子たち

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NHKの人気番組「バリバラ」が企画したファッションショー「バリコレ2016」に出演

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「赤」×「星」をテーマに、既製服を読者モデル20人の体型、身体の可動域に合わせて補正した。「バリコレ後編」が、11月13日(日)19:00からEテレで放送予定

――元山さんは、障がい者になってから10年以上になるわけですが、最近まで自分が障がい者であることを誰にもいえなかったと聞きました。それが編集長となり、こうして社会に発信できるまでに変わったきっかけは?

『Co-Co Life☆女子部』との出会いがすごく大きいです。私は今、普通のIT企業で働いているんですが、まわりに障がい者が1人もいなくて。杖をついて出歩くこともすごく自分の中で特別なことだったんですけど、2年前に『Co-Co Life☆女子部』と出会って、「障がいは恥ずかしがることではない」と教えてもらいました。

『Co-Co Life☆女子部』の制作の現場って、みんなが違って当たり前という空気が流れてて。車いすや杖の子もいるし、視覚障がいや聴覚障がい、精神障がい、発達障がいの子もいて本当にさまざま。
そして、Co-Co Life☆女子たちがとてもキラキラしている子が多くて。もちろん悩みや生きづらさを抱えてはいるけど、みんなすごくしなやかで強いんです。本当、尊敬しています。

――いろいろなことに積極的で人生に対して前向きなCo-Co Life☆女子たち。一方では、障がいを理由に消極的な人がいる。その違いをどう思いますか?

私は「障がい受容」がすごく大切なことのひとつだと思っています。障がいの受容ができている人とできていない人には、すごく太い線を引くところがあるのではないかなと。心が揺れ動いたりして、「完璧な障がい受容」というのは不可能だと思いますが。障がい受容というのは、「自分は障がい者なんだ」ということを受け入れて、それを周りや社会に発信できることだと思います。それが「自分らしく生きる」ことにつながるんじゃないかな。

障がいがあるからこそ見える世界がある

――元山さんご自身は「障がい受容」できたことで、生活は変わりましたか?

以前に比べると生きやすくなりましたね。受容したことによってある程度自分の障がいをネタにもできますし。昔は、たとえば「太ってきたね。ダイエットのために走ったほうがいいよ」なんて一言言われただけで、「私、走れないんだけど~」と心の中で泣きそうになっちゃって(笑)。家に帰ってもその一言を引きずってたり。すごく生きづらかったですね。

でも今は「走れないから~」とその場で言える。その強さをCo-Co Life☆女子たちに教えてもらいました。幸せを手に入れるために一歩進めた気がします。それはきっと障がいのあるなしに関係なく、コンプレックスを抱えるすべての人にいえると思います。

――障がいのある前の自分に戻りたいという気持ちはないですか?

それは戻りたいですよ。「障がい者になってよかった」とは、私は言えない。この先も言える日は来ないんじゃないかな。でも、障がいを受け入れたからこそ見える世界もあって、そういう豊かさはある。Co-Co Life☆女子たちを見てて、そして自分の経験から、それはプライドをもって言えますね。そして、その豊かさは、きっと本誌を読んでいただければ、健常者の人たちにも伝えられると思います。

「生きづらさ」を価値に変えて社会に発信したい

――ママでもあり、会社員でもある元山さん。編集長との両立は大変だと思いますが、そのパワーの源は?

私は、手術などで入院することも多かったんですが、仲良くなった同室の同年代の子が亡くなるという経験を何度かして......。そのときに自分が生かされている意味はなんだろう、障がい者になった意味はなんだろうってすごく考えました。生かされているなら、障がい者になったなら、そんな自分ができることをしようという思いが大きいですね。

あとは、娘の存在です。重いものが持てないので赤ちゃんのときから抱っこをしてあげられないなど、他のママと比べて申し訳ないと思うことも多かったんです。でも、頑張っている姿を見てもらって、娘にとって誇りに思ってもらえるようなママになれたらうれしいですね。

――これから『Co-Co Life☆女子部』でやりたいことは?

「障がい」を社会の価値に変えていくことです。今までの『Co-Co Life☆女子部』は、当事者から当事者に向けた発信が多かったけれど、これからは、Co-Co Life☆女子の声をもっと社会に発信していきたいです。

今年4月から障害者差別解消法が施行され、2020年には東京パラリンピックが開催されます。そして、高齢化はますます進んでいます。私たちが普段感じてきた生きづらさや社会に対しての怒り、悲しみ、逆に喜びや幸せの見つけ方がこれからスキルとして社会に必要とされる時代がきていると感じています。

たとえば、vol.17の、腕に障がいのある女性が企画した簡単ヘアアレンジ特集。これはぶきっちょさんにもできるヘアアレンジでもありますよね。障がい者の生きづらさを変えることは、誰もが生きやすい社会に変えることにもつながるはずです。
画一的な人たちだけでやっていると何も新しいものはできない。いろんな人たちが混ざり合う多様性がすごく大切だと感じています。

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