未来へ紡ぐストーリー

February 09 2017

がんと闘うママと家族を母親目線で支援| びょうきのママをささえ隊

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誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第22回目はびょうきのママをささえ隊プロジェクトリーダーの金城舞さんにお話を聞きました。

びょうきのママをささえ隊の活動内容を教えてください。

私たちは、子育て中にがんという病気にかかってしまったママとそのお子さんを、母親目線で支援したい仲間が集まった非営利団体です。子育て中のお母さんは、親にも子にも心配をかけたくない、と不安を一人で抱えがちです。その不安はお子さんにも伝わり、小さな胸を痛めていることも多々あります。私たちは、今まさにがんと向き合い、完治を目指して治療中の方、標準治療が終了し経過観察中の方とその子どもたちに対して、少しでも不安を和らげ、ホッとできる場作りを目指しています。

具体的には、子育て支援スペシャリストによる心温まるお話し会、がんと向き合うママ同士が悩みや想いを共有できる交流会、ママががんになり、不安の中で生きている子どもたち同士が病気への正しい理解や対処の仕方を学んで安心できる会などを、毎月1回開催しています。

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なぜ、このような活動をしようと思ったのか、きっかけを教えてください。

私は、乳腺外科医として小さなお子さんをもつ患者さんや、お子さんを残して亡くなる患者さんをたくさん見てきました。そして、我が子を授かった時、自分がもし子どもを残して先立つようなことがあったらどうしよう......と真剣に考えるようになりました。そんなときに、私を慕ってくれていた後輩が0歳と2歳の男の子を残して乳がんで亡くなったことも大きなきっかけとなりました。

がんを患うと、再発や死などへの恐怖からいつも不安を抱えネガティブになる方、残された時間があまりないのに現実をうけとめることができず苦しみ、現実逃避をして大事な時間を使い果たされる方などがいらっしゃるのが現実です。そんな方々に対して、主治医でなくても関われる立場がないか、そういう活動団体をつくれないかという思いが私の中で大きくなってきていました。

そして、『はなちゃんのみそ汁』で亡くなっても愛する我が子と共に生き続ける理想のカタチがあることを見つけ、また、小林麻央さんが乳がんを公表、ブログをはじめられたことも重なり、「今でなくてはこの活動は成し得ない!」と思い立ち上がりました。

※乳がんのお母さんが幼い娘に生きていくためのすべを教えて亡くなっていく実話。レビューサプリで紹介した記事はこちらから>>

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2017年1月29日に開催された「味噌づくりワークショップ」

毎年、どれくらいの子育て中のママががんと診断されているのでしょうか。

国立がん研究センターがん対策情報センターが2015年に発表したデータによると、18歳未満の子どもをもつがん患者の発生数は推計で年間56,000人を超えており、その内母親の数は2万人以上、その子どもは年間8万7千人と発表されました。つまり毎年それだけの子育て中のがん患者さんが増えています。また、乳がんや子宮がんなど、若年女性のがん罹患数は増加の一途をたどっており、今後「がんになる子育て中のママ」の増加は避けられません。

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ママが、がんであると診断されたとき、まず何をすればよいでしょう。

『がん』という言葉は容易に『死』というイメージと結びつきますが、必ずしも『がん=死』『がん=抗がん剤=脱毛』ではないことを覚えていてほしいと思います。がんの種類、診断時の状態は人それぞれ。そのため、医師からちゃんと説明をうけるまで先走ってあれこれ調べたり心配しすぎたりするのはお勧めできません。

治療を円滑に進めるためには病院や医師との信頼関係が大切ですので、疑問に思うことはできるだけ医師に尋ねるとよいと思います。悩みや不安はそのままにせず、誰でもいいので相談相手を見つけましょう。湧き上がる感情を抑え込んでしまうと、次のことを冷静に考えるのが困難ですので、まずは悲しみでも怒りでも恐怖でもその感情を解放してあげてください。誰かに話したり、1人でとにかく泣いたりしてもよいと思います。

また、ママの不安や異常事態はお子さんに伝わりやすく、お子さんへの伝え方やその時期などいろいろ配慮すべきこともあると思います。家族、ママ友や職場や学校にも協力をお願いして、お子さんの日常ができるだけ保てるように調整できないか考えてみてください。

周囲にどのように伝えるべきでしょうか。また伝えない方がよいケースはありますか。

病気を家族で乗り越えてほしいので、パートナーには率直に伝えてほしいと思います。その際、自分の口で詳細を伝える自信がなければ外来に一緒に受診し、一緒に話を聞いてもらい、パートナーにもきちんと疑問や不安を解決する場を共有してもらいましょう。

お子さんにどう伝えるは本当にデリケートな問題です。それぞれの環境や状況にもよりますが、知りたがっているお子さんには偽らず、正直に向き合うことも大切。お子さんもわからないことからくる不安が膨らんでしまうことがありますので、想いを吐き出させ、安心させてあげましょう。

両親には、「心配をかけたくないから話したくない」という方がたくさんいらっしゃいます。言うことで、デメリットが大きいと思えば「言わない」というのも選択肢かもしれません。しかし、伝えることで、入院中や治療で辛いときにお子さんの面倒を見てくれたり、一緒に病気と闘ってくれたりすることも多いと思いますので、どちらがいいかはその都度考えてみてください。

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友人に「私はがんである」と伝えられたら、どうしたら心地よい関係をつくることができるでしょうか。

『何かあったら手伝うよ』『なんでも言ってね』というその一言だけで心強いと思います。例えば、保育園や学校での様子を伝えてあげる、最近大丈夫?と声かけをする、そんな些細な気遣いが大きな力になります。いつでも頼ってね、と協力可能なことを伝えて待つ姿勢でいていただくのが一番いいかもしれません。

今後の展望やご活動を通して、どんな社会にしていきたいかなどございましたら、お聞かせください。

2人に1人ががんになる時代だからこそ、困っている母親がいたら、母親同士が支え合って子どもの豊かな心の成長発達を見守らなければならないと思っています。そのためには、がんと向き合うママだけではなく、すべてのママたちに、ほんの少しの手助けが大きな力になることを知ってもらう活動もしていきたいです。

私たちが大切にしていることは「Holding(その人の全てを受容し、包み込むこと)」です。私たちの活動は、不安や悩みを抱えているママやお子さんたちに一方的に正解をお教えする場ではありませんし、そもそもその方のすべてをわかって差し上げることはできないと思います。ですが、不安であることも、悩んでいることも、うまくいかないことも、そのすべてがその方の精一杯であることをただただ受け止め、その思いに少しでも寄り添えたら、そして同じ母の目線で前を向く道を共に探せたらと思っています。

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<take action!いま私たちにできること>

2人に1人が「がん」になる時代と聞くと、子を持つ母ががんになることは決して珍しいことではないのかもしれません。それでも実際に自分がその立場になった時、うまく乗り越えられるでしょうか。「びょうきのママをささえ隊」の活動のように、誰かに相談したり、気持ちをシェアしたりできる場所づくりがどんどん広がりますように。

びょうきのママをささえ隊
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