スキルアップ

March 02 2017

冬の過眠・過食・倦怠感とどう付き合う? スイスから届いた「ウィンターブルー」対処法

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20170302_winterblue_1.jpgウィンターブルーをご存知でしょうか? 冬の期間に気持ちが沈んだり必要以上に落ち込んだり、眠くなったり、甘いものや炭水化物が食べたくなったりする「冬季うつ病」のことです。

ウィンターブルーは、日照時間が短くなることと深く関係があると考えられています。緯度が高く、日照時間がとても短いヨーロッパでは、ウィンターブルーにかかるのは珍しいことではありません。12月の日照時間を比較しても、スイス(ベルン)は62時間で、日本のおおよそ3分の1程度。どんよりとした天気が10月から4月ごろまで、半年ほど続きます。

日本でも、ウィンターブルーの情報が、あちこちで聞かれるようになってきたようですね。つねにベストなアウトプットを求められるフリーランスは、季節に左右されない体調・メンタル状態をキープしたいですよね。そこで、ウィンターブルーになるメカニズムや、薬に頼らずできる対策について、チューリヒにプラクシスを持つ精神分析家のブルーノ・リーネル博士にお聞きしてきました。

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スイスでは、ウィンターブルーの症状に効果があるとされている薬を毎日飲んでいる人も多い。写真は、「セイヨウオトギリ(セントジョーンズワート)」入りの錠剤。

体内のビタミンD量をどうキープするかがカギ

ウィンターブルーは、体内のビタミンD(D3)の量と深く関係していることがわかっています。ビタミンD自体が少ないと、気持ちが沈みます。冬、朝なかなか起きられないなどにエネルギーが湧かないのも、ビタミンD値が低い可能性が高いです。実際、倦怠感に悩まされている人のビタミンD値を医師のもとで調べてもらうと、ゼロに近いといったことがよくあるのです。

ビタミンDは、日光(紫外線B波)を浴びると皮膚で生成されます。5月から9月は晴れの日が多く、日照時間も長いため、ビタミンDが体内で盛んに作られますが、夏の終わりになると不足し始めます」

ビタミンDは、西洋医学ではあまり重視されていませんが、心の病気であるうつだけでなく、とても風邪をひきやすい、肺の病気、アレルギー、難病と言われる多発性硬化症(Multiple Sclerosis 略してMS)、骨粗鬆症、癌などいろいろな身体の病気とつながりがある可能性があるそうです(※1)。

※1 ビタミンDは肝臓で保存され、副腎で活性化ビタミンDになって、血液によって体内に運ばれると言われてきましたが、最近の研究で、副腎だけではなく 、脳、心臓、免疫系、乳腺、睾丸でもビタミンDが活性化されて、同じく血液によって体内に運ばれるとわかっているとのことです。つまり、ビタミンDが不足すると、そういう部分に疾患が起こりやすくなるそうです。

「サーカスのテントにたとえてみるとわかりやすいですね、テントが人間の体だとすると、内側にある何本もの支柱のうちの中心柱がビタミンDなのです。柱が錆びついたり壊れたりしたら、その程度によって、テントに支障が出ますね。ビタミンDは実はそれくらい大切なのです。

スイスや、スイスの北側のドイツでは、10人中9人がビタミンDの量が低めだと思います。ビタミンDは脂肪が多い魚に多く含まれているのですが、スイスは、肉食の国です。最近ではさまざまな魚が輸入されて、以前よりは魚を食べる人たちも多くなっているとはいえ、食品から十分に摂取するのはほぼ不可能でしょう」

最近は、皮膚癌やシミなどの予防のため、一般に日焼け止めクリームを塗ることが奨励されています。冬でも日焼け止めをと薦める人もいますが、「ビタミンDを体内で作るため、ちょっとした散歩などの短い時間でいいので日焼け止めなしで日光(紫外線B波)を浴びることは、日焼けを防ぐことの10倍といっても大げさではないくらい大切なことです。ビタミンD値が高いと肌も強くなりますよ」とリーネル博士は話していました。

薬に頼らないウィンターブルー対策

スイスの雑誌やWebサイトでも、下記のように薬剤に頼らないウィンターブルー対策が紹介されています。

●運動系:毎日、昼間15~30分散歩やジョギングする / 週に2~3回、30分間しっかりと運動する

●環境系:赤、オレンジ、黄色などの色調のインテリア用品を取り入れて、部屋を夏らしい雰囲気にしたり、軽快な音楽を聴いたりする / 毎日一定のリズムを作って過ごす / お風呂にゆっくりと入る / ライトセラピーをする(専用照明器具で光を浴びる) / 趣味の時間を持つ

●食事系:チョコレートを食べる / ドライフルーツを食べる / 緑茶を3杯以上飲む

これらにはすべて、気持ちが明るくなる効果があるとされています。ちなみに、チョコレートに関しては、カカオ含有量の高いブラックチョコがよいそうです(幸せホルモン「セロトニン」の成分であるトリプトファンが、カカオにたくさん含まれているため)。

私自身は雪国育ちで冬の天気も割合と好きなことが影響しているのか、スイスの冬の天気のせいでうつっぽくなることはありません。とにかく(日焼け止めを塗らずに)よく散歩したり、湯船につかっていることが予防になっているのかもしれません。

フリーランスのみなさんも、「なんだか仕事がはかどらない」「失敗ばかりしてしまう」など冬に気が滅入ることが続いたら、ひょっとするとウィンターブルーの可能性がないとは言い切れないかも。日本に住んでいても、どうぞ気をつけてください。

ブルーノ・リーネル博士のウェッブサイトはこちら。京都で研究・教授に携わっていたので、日本語も堪能です。  http://www.brunorhyner.ch/ 

写真/岩澤里美

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