難病フリーランサーの「生きる知恵袋」

March 16 2017

【新連載】難病とともに生きるフリーランスマザー江口たまです

このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは。ライターの江口たま(@ta_mocha)です。リズムーンの編集長・オノリナさんとは女性向けWebメディアの会社で一緒に働いていたご縁もあって、このたびコラムを執筆させていただくことになりました。

私は2000年に大学卒業後、女性向けWebメディアや企業広報誌などの企画・編集を経て、2010年にフリーランスのライターになりました。とりあえず人並みに仕事も収入もある。ライフパートナーである夫も子どももいる。フツーな生活を送っていた私が、ある日突然、厚生労働省が指定する指定難病「高安動脈炎」と診断されました。医師からは「突然死もありうる」と告げられ緊急入院したのが35歳のとき、2013年の暮れのことです。

201703_eguchi_1.jpg

誰にでも起こりうる希少難病

この高安動脈炎という疾病は、免疫の異常によって血管に炎症が起きる自己免疫疾患の一つで、膠原病の一つでもあります。難治性血管炎と呼ばれる疾病にはさまざまな種類がありますが、高安動脈炎はおもに大動脈と、大動脈から最初に枝分かれした太い血管(総頸動脈、鎖骨下動脈、腎動脈など)に病変ができるのが特徴です。

1年間におよそ100万人に一人の割合で発症するとても稀な病気ですが、日本国内には約6,000人の高安病患者の方々がいて、発症年齢は20代から30代の女性が多いと言われています。症状は人によりさまざまですが、炎症が長く続いて発熱や、疲れやすいという症状がでます。頭のほうに行く血液の流れが悪くなってしまうと、首の痛みや頭痛、めまいなどの症状を訴える人も少なくありません。

フリーランスは体が資本なのに!!

私は診断される数年前から微熱が2ヶ月続いたり、体がだるかったり、耳鳴りやめまいがしたりなどなんとなく不調が続き、近所の内科や耳鼻咽喉科、呼吸器内科などにも通院していましたが、原因不明のまま時間だけが過ぎていきました。当時は私自身、「きっと、育児疲れのせいだろう」とそれほど深刻には受け止めていませんでした。

しかし、ある日、それまで体験したことがないほどの胸の痛みにおそわれました。そして、総合病院に半年間ほど通院し、検査を重ねた結果、ようやく一つの病名が浮かび上がりました。それが、高安動脈炎です。病名が判明したときには、かなり危険な状態で、大学病院への緊急入院を余儀なくされました。入院生活は1ヶ月におよび、体力がひどく落ちてしまったので、まともに歩いて家事をこなせるようになるまで約3ヶ月、自宅での仕事を少しずつ再開できるような状態になったのは退院してから約半年経ってからのことでした(もちろん、その間の収入はゼロです!この話はまた別の機会に)。

201703_eguchi_2.jpg

治療内容は、定期的に通院・検査をしながら、対処療法としてのステロイド薬や免疫抑制剤などを毎日服薬して体調をコントロールしています。治療費、薬代の負担も少なくありません。いまでも日によって体調変動があり、とくに低気圧や台風が接近してくると、体調が悪化傾向にあります。血圧が高くなったり逆に低くなったり、頻脈がおきると動悸や息苦しさ、手足の脱力感や全身の倦怠感で体が重だるくなって動けなくなるので、そういうときにはひたすら安静に過ごしています。

難病があっても働き方次第で働ける

この病気を患ってからは、体力的に通勤や移動を伴う仕事(取材やインタビューなど)は難しくなりましたが、いまでも在宅フリーランスとして、校正やライティングの仕事を細々と続けています。また、趣味と仕事を兼ねて個人のブログ「難病オトナ女子の生きる知恵袋」を立ち上げました。このブログでは、膠原病をはじめとする難病や障がい、健康のこと、子育て、仕事のことなど、難病のあるなしにかかわらず生き方のヒントになるような情報を幅広く発信しています。社会とのつながりを持てるので、ブログを書くことは、いまの私にとっての"生きがい"の一つと言ってもいいかもしれません。

さて、自己紹介が長くなりましたが、今後このコラムでは、在宅フリーランスとして働くメリットやデメリット、心得ておくべきこと、難病や障がいのある人の働き方などについて、難病ワーキングマザーの視点で考えていきたいと思います。

皆さまどうぞよろしくお願いします。

Pick Up!「ヘルプマーク」をご存知ですか?

helpmark.jpg難病のある私は、通院時など電車やバスに乗る際には、ヘルプマーク(写真参照)をつけて乗車しています。「ヘルプマーク」とは、内部障害や難病のある人のほかにも、義足や人工関節を使用している人、妊娠初期の人など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている人たちが、周囲の人たちに配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう東京都が作成したマークです(現在、全国に拡大中)。私自身も、このマークをカバンに付けて、30代の私が優先席に座っていても、「周囲の人から誤解を受けませんように!」という淡い期待を込めています。また、万が一、道端で倒れてしまったときや、事故にあったときに、「周囲に適切に処置してもらえますように!」との思いもあります。このマークを付けていて具合が悪そうなど困っている様子の人がいたら、ぜひ「何かお手伝いすることありますか?」と優しく声をかけてあげてくださいね。

●膠原病に関する参考文献
橋本 博史 (監修) 『改訂新版 図解 膠原病がよくわかる最新治療と正しい知識

フリーランス応援プログラム