地方フリーランス生活

March 29 2017

地域密着型でデザイン・イベント企画運営に取り組むグラフィックデザイナー@埼玉県

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地方で働くってどんな感じ? 地域ならではのフリーランス事情を知りたい!
「地方フリーランス生活」では、自分らしいスタイルで働く地方フリーランサーに、地方で活動することのメリットやデメリットのほか、日頃心がけていることなどを伺います。今回は地元密着型のグラフィックデザイナーを本業にしながら、地域でさまざまなイベントを企画、運営している佐藤真実さんからお話を伺いました。

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プロフィール

活動地域 埼玉県
フリーランス歴 5年
職種 グラフィックデザイナー
経歴

千葉県出身。2010年の結婚を機に、夫の実家がある埼玉県南区鹿手袋に移住。グラフィックデザインを本業としながら、自分が住む地域でさまざまなイベントを企画・運営し、人と人をつなげる活動をしている。主な活動は、地域交流を目的としたフリマイベント「シカテ一畳マーケット」、自治会館の和室を借りたお茶会「鹿手袋シカテカフェ」、地域活動団体の広報を支援するnear designなど。

グラニューデザインのウェブサイトはこちらから>>
near designのウェブサイトはこちらから>>
シカテ一畳マーケットのウェブサイトはこちらから>>

フリーランスになる前は、どのような仕事をされていましたか?

駅ビルの販売促進部にて折り込みチラシや館内装飾、イベント企画運営などを担当していました。独立のきっかけは、その仕事で、たまたま地域の人たちと関わる機会に恵まれたことです。社会には本当にさまざまな生き方をしている人たちがいることを知り「会社の中で閉じこもっているのはもったいない」と思い、独立しました。

現在のお仕事内容を教えてください。

現在の肩書は、granew design(グラニューデザイン)の代表/デザイナーです。埼玉県内の商店や商業施設のチラシやポスター等のグラフィックデザインをしています。移住先でたまたま地域の企業、店舗や団体の販促物制作の仕事を見つけ、現在は、さいたま市にあるさまざまな商店や個人事業主、行政の販促物の制作などをおこなっています。前職で携わっていた駅ビル関係のお仕事も、フリーランスの立場として請け負っています。

また、独立前から市民活動やNPOの方々を対象に、デザインの仕事を受託するクリエイターグループ「near design」を立ち上げ、地域の方々の支援活動をおこなっています。このグループは2014年にNPO法人化しました。

こうしたグラフィックデザイナーとしての仕事に加え、現在は、様々な地域に根差したイベントを企画・運営しています。

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near designが発行した市民活動を紹介するフリーペーパーを手に。

どんなイベントを企画・運営しているのですか?

最初に始めたのが、鹿手袋シカテカフェ。きっかけは、ある社会福祉法人の仕事をお手伝いしていた際に「イベントでコーヒーを出したいのだけど、佐藤さんできない?」と声をかけられたこと。コーヒーはそんなに好きではなかったのですが、知り合いのカフェオーナーが開催していたコーヒー教室に参加したらコーヒーの魅力にはまってしまって。コーヒーを淹れてみんなで飲むと、場の雰囲気が良くなることも実感し、イベントの手伝いの後もコーヒーを出し続けたくて始めました。地域の人たちとつながりを作りたかった、というのも大きな理由です。

具体的なやり方としては、自治会館の和室を月に一度借りて、お茶会を開いています。今まで20回おこないました。今では地域の恒例イベントになり、老若男女問わず、いろんな人が集まり、つながる場となっています。

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シカテカフェの1コマ。左奥でコーヒーを淹れているのが佐藤さんです。

その後、2015年に始めたのがシカテ一畳マーケットです。鹿手袋の住宅街にある倉庫を使い、1人1畳分のスペースで好きなお店を開けるという地域交流を目的としたフリマベントで、家庭の不用品から、手作り小物やアート作品などを販売しています。

また、2016年からは自宅の一部を週に数回オープンにして、地域のコミュニティスペースとして提供する「さとうさんち」という「住み開き」の取り組みをしています。

「住み開き」とは何ですか?

「住み開き」とは、自宅をちょっとだけ開かれた活動の場にすることです。ちょっとしたイベントの会場にしたり、近所の人が集まれる拠点にしたりすることで、ゆるやかなコミュニティを作っていくことで、全国に広がっています。我が家では、ものづくりのワークショプを開催したり、お料理教室を開いたり、近所の方の集まりに自宅の一室を活用いただいたりしています。

働く土地を変えたことで、働き方やライフスタイル等の変化はありましたか?

さいたま市は地域活動をしている元気な中高年の方が多いです。それに加え、これから面白いことを始めていこうとしている若年層ともつながることができました。さまざまなつながりを持つことで、自分のやりたいことやできることの幅、世界が広がりました

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シカテ一畳マーケットの仲間たちと記念撮影。

現在の土地で仕事をはじめるにあたって、苦労したことはありますか?また、軌道に乗るまでに、どのくらいの期間かかりましたか?

独立前から個人で仕事の請負を少ししていたので、ありがたいことに最初から食べるのに困ることはありませんでした。
苦労したのは、お客様との契約内容の確認やイメージ等の共有です。もともと信頼関係があるから大丈夫だと思って、うやむやな部分を残して進めてしまうのではなく、事前の打ち合わせの段階から入念に確認すること、契約を交わしておくことの大事さを痛感しました。現在は、ご依頼を頂いた際は「直接対面でヒアリング(最短でも1時間)」をし、「お客様とイメージを共有する」ことを徹底しています。

地元と地元以外のクライアントの割合をお聞かせください。

さいたま市:それ以外=9:1

現在、仕事はどのように取ってきますか? 営業スタイルなど工夫はございますか?

営業はしていませんが、常に地域でイベントを企画し、地元の方々と顔を合わせるきっかけを作っているので、それを見たり参加したりして興味を持ってくださり、依頼していただけることが多いです。

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直接、対面でお客様の要望を聞いています。

現在の土地で働くことを選んでよかったこと、悪かったことは?

良かった点は、人口が多いことです。今住んでいる地域は人口が多いので、人と出会うきっかけが多いのが良いです。
ちょっと残念だな、と感じているのはギャラに対する価値観のギャップです。都内の方がデザインやサービスの対価の支払いが良いので、やはりこちらでデザインを生業にすると安価になりがちかもしれません。

埼玉を含む地方在住の方たちのデザインに対する価値観を高めること。企画に関してもきちんと対価を支払ってもらえるようにすること。これら2つが今後の課題です。

今お住まいの場所ならではの、仕事の合間のリフレッシュ方法は?

カフェがたくさんあるので、お茶やランチをしに行きます。埼玉ランチ情報局というランチ情報を交換するFacebookページを立ち上げているので、それを頼りに行くこともあります。

今後の目標をお聞かせください。

今後も様々な取り組みを進め、都内に遊びに行かなくても、もっと身近に地域で楽しめることを増やしていきたいです。

最後に、地方で働くことに興味のあるフリーランサーへ、メッセージをお願いします。

全く未知の場所で何かを始めることは、とても勇気がいることかもしれないけれど、助けてくれる人や応援してくれる人は、必ずいます。怖がらずにどんどんいろんなことにチャレンジして、いろいろな人とつながってみてください。
すべては人!狼煙を上げて、ここにいるっていうアピールを続けることが大事だと思います。

※この連載のバックナンバーはこちらからご覧ください。

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