難病フリーランサーの「生きる知恵袋」

April 06 2017

難病のある人でも力を発揮できる。在宅フリーランスのメリットとデメリット

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体力がない、低気圧・気温の変化に弱い、感染症が命とり......な難病のある人にとって、フルタイムの仕事で通勤するというのはなかなかハードルが高いことだと思います。

しかし、時間や場所に制約のないフリーランスの仕事や、一般企業での自宅利用型テレワーク(在宅勤務)ほか、ちょっとした配慮(合理的配慮)を得られる環境があれば、難病のある人でも十分力を発揮できる人も少なくないと思います。

私はフリーランスという働き方を選択した

私は、母乳育児を終えてまたどこかの会社に就職して働きはじめようかなぁ、と考えていた矢先、2013年の冬、当時35歳(子3歳)のときに指定難病のひとつである「高安動脈炎」と診断されました。

闘病生活も約3年経ちましたが、いまだに体力がなく、長時間作業をすると血圧や脈拍数が上がってすぐに疲れてしまうので、通勤が必要なフルタイムの就労に就くことは、これから先、可能性としてはほぼないだろうなと思っています。

とはいえ、在宅ワークであれば働くことができる、成果を出せる、企業や社会に貢献できる、と考えています。働くことが難しければ、ボランティアでもいいですし、なにかしら社会とつながっていたいと思いました。

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退院してから仕事の感覚を取り戻していくまで

幸い、私の場合、出産後はフリーランスのライターとして週に2回ほど、子ども(当時2歳)を保育園に預けるなどしながら自宅で働いていたので、病気で1ヶ月入院したのちも、退院して半年後には自宅での仕事を再開していました。

仕事内容は、週に一回、企業から請け負った数時間程度でできるボリュームの校正作業と企業サイトの更新作業などです。薬の副作用で、はじめはパソコン画面で作業をするのも光が眩しくて、長時間の作業は困難でした。しかし、ちょっとした作業でも、クライアント担当者とのビジネスメールや、作業報告、請求書の作成・発送、入金確認などのやりとりを行なうことは、身体への負担もかかりすぎず、自分の体調と相談しながらできるので、仕事の感覚を取り戻すにはちょうどよいリハビリとなりました。なにより、難病を患ってからも仕事ができるという喜びを感じ、失っていた自信や誇りも取り戻していきました。

この3年間、在宅フリーランスという働き方をしてきましたが、あらためて在宅ワークが可能なフリーランスのメリットとデメリットについて考えてみます。

在宅フリーランスのメリット

  • 自宅で働ける。通勤がない
  • 仕事を選べる。条件(納期やギャラ)が合わない仕事は断れる
  • 時間帯や曜日など関係なく、いつ働いてもよい
  • 仕事を入れなければいつでも休める
  • すべては完成物で評価される。障がいがあるなし関係ない
  • 基本、ひとりで仕事をするので、上司や同僚など人間関係で悩まされることがない
  • 部屋着・パジャマで仕事ができる
  • 締切り間際のときに体調が悪くても、布団のなかで仕事ができる
  • 自分が好きなラジオや音楽を聴きながらリラックスして仕事ができる

在宅フリーランスのデメリット

一方、さまざまなデメリットもあります。

  • 固定給がないので、収入が不安定(働かなければ収入はゼロ)
  • 有給休暇や福利厚生がない
  • 自分で営業から経理・総務・庶務まで一人何役もこなさなければならない
  • 契約や税金、保険などの知識が必要
  • 確定申告をしなくてはならない(会社員などであれば、年末調整で会社がやってくれる)
  • すべての失敗の責任は自分にある
  • 正社員と比較して、認可保育園に入りにくい

などなどです。これらのデメリットが受け入れられるようなら、在宅フリーランスという働き方は、私のような難病のある者にとってはとても働きやすいワーキングスタイルだと思います。

テレワーク(在宅勤務)が最も理想的!?

理想的な働き方を言えば、リズムーンで連載中のコラム「とあるリモートワーカーのつぶやき」を連載されているクラタイクツさんのように、会社組織に所属しながら、常時在宅勤務が主体となるテレワークができるのであれば、収入も安定して、かつある程度自由が担保されるので魅力的に思います。

私は年齢的にすでに40近いですし、働き方の自由度が高いフリーランスが性に合っていると思っているので、いまさらどこかの会社に所属してテレワークするということもないでしょうが、20~30代の皆さんは、こういう働き方があるのだな、ということは知っておいて損はないと思います。

実績も何もないのに新卒学生でいきなりフリーランスという道はなかなか難しいかもしれませんが、最初は組織に所属して経験を積み、人脈づくりに励み、ゆくゆくは独立することを考えて会社選びをするのも一つの手かもしれません。

いま政府では「働き方改革」が進められていますが、残業規制や「在宅勤務」というワークスタイルがもっともっと社会に広がってほしいですね。そして、難病をかかえ体力のない人や障がいのある人、子育てや介護などの理由で働くことができない人などにも就労の機会がますます増えていくことを願います。

Pick Up! 『在宅勤務が会社を救う』(田澤由利著)

在宅勤務(テレワーク)が企業にどんなメリットをもたらし、また、どのように企業の課題を解決し、より強い会社にしていくかを企業経営者にむけて説いている本です。著者の田澤由利さんは「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰」を受賞されるなど、テレワークの普及・推進に貢献されている有名なお方ですので、テレワークに興味がある人は読んでみてはいかが?

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Writer 江口 たま

1978年生まれ。東京都内在住。
上智大学卒業後、女性向けWebメディアや企業広報誌などの企画・編集を経て、2010年よりフリーランスのライターに。夫と息子の3人暮らし。2013年、35歳のときに高安動脈炎(大動脈炎症候群)と診断され、自宅療養中。著書に1年間の療養生活を振り返った『高安動脈炎と生きる
』(Kindle版)。
Blog:https://tamastyle.com/
Twitter:@ta_mocha

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