候補者とコーヒーを飲みながら対話!? 初参政で見たフィンランドの意外な選挙活動

移住して5年目にあたる今年。初めてフィンランドの地方選挙に参政しました。今回は選挙のあれこれについてお伝えします。

外国人参政権、それにどう対応する?

日本では外国人の参政権は認められていませんが、フィンランドでは外国人に地方参政権が与えられています。条件としては、滞在許可が下りてから居住区に連続2年間住んでいること。条件が揃えば、選挙の半年前に住民登録所から通知が届きます。
前回2012年の投票率6割のうち、外国人投票率はたったの2割。あまりにも投票率が低いので、言語への障壁と情報欠如をなくすことを目的として、今回は英語やロシア語など外国語での選挙キャンペーンを展開していました。さらに国営放送では、約1時間半にわたる英語でのディベートを放送。フィンランド語で政治についてまだ十分に理解できない私にとっては、非常に有効なツールでした。

候補者選びサイトとは?

有効なツールといえば、フィンランドの選挙の特徴ともいえる候補者選びサイト(Vaalikone= ヴァーリコネ)。どの政党の誰に投票するかの判断材料の一つとなるサイトです。教育、福祉などの6分野の質問事項に答えると、自分の意見に近いまたは類似の候補者が選定されます。フィンランド全国共通の質問事項から各居住地限定の項目もあるので、具体的に日々の生活に密着した課題解決などを考えることができます。

このようなサイトは、最近、日本でも選挙前に作成されていますが、異なっていると感じた点としては、日本の場合、選択肢は「賛成」「反対」「どちらでもない」の3段階のところが多いですが、フィンランドでは「思わない」から「思う」の5段階と幅が広くなっていたところでしょうか。 便利なサイトではありますが、メディアによって結果が異なって判断しにくいのは、やはり残念ですよね。

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例えば、小学校卒業後に継続的な教育または職業訓練を受ける必要があるか?自治体はすべての未就学児童に無料の保育を提供させる必要があるか?など。それに対して5段階の回答を行い、候補者の回答と見比べることができます。Photo by Vaalikone Yle.fi

候補者とコーヒーを共に

投票日までの選挙期間中、候補者の選挙活動は日本と比べて非常に静か。選挙カーはなく、主にSNSで日々投稿したり地域の無料新聞に宣伝したり、候補者自身の車の窓に写真を貼って走っていたりと。気づかないと、あれ?今って選挙中だったっけ?と思うくらいとても静かです。

その代わり、各党のブースがスーパーや街頭などに設置され、コーヒーやソーセージなどを配りながら有権者と対話する機会が設けられています。また投票後には、VaaliKahvi(ヴァーリカフィヴィ)と呼ばれるコーヒーとお茶菓子がサービスされ、「民主主義の選挙に参政し良い選挙結果でありますように」と国民の選挙の権利を確認するとともに投票が問題なく反映されることを願う場があります。これは民主主義国家であるフィンランドの歴史の中で、大切な選挙活動のひとつとして認識されています。

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各党のブースではマニフェストなども配布しながら、政治家というより地域の代表者と話しをする雰囲気がありました。Photo by SDP

男女比まで公表される開票結果

開票結果は、日本と同じく同日午後8時から発表。テレビではもちろん速報番組が放送されていましたが、各メディアのSNS、特にツィッターで速報を流していました。私の地元の国営放送局は、8時20分には事前投票結果が投稿され、テレビよりSNSの方が早く結果がわかりました。深夜には全国の開票結果が発表され、選挙サイトからは各地の開票結果が詳しくわかります。今回の全国の投票率は58.8%で前回とほぼ同じ(外国人投票率は未発表)。この他に各党の投票率、獲得数から、当確の男女比(6:4)、平均年齢(50歳)なども公表され、フィンランドらしさが垣間みれます。

初の投票を終えて

候補者選びのサイトを活用したおかげで、自分が納得した参政になりました。特に起業家や個人事業について、各候補者がどう考えているのか。例えば地方自治体の活性化には、起業家が経済政策指針や地域経済開発プログラムに携わることが重要である、などの意見を聞き、個人事業主としての意見を反映することもできました。

日本と異なり小国家で各自治体にほぼ権限が与えられているフィンランドの政治。移民や難民が多く、小国家を支えるために外国人参政権を導入していることから、誰にでもわかりやすい選挙活動を心がけていること。そして有権者だけでなく立候補者としても外国人の参政が認められているなど、民主主義のあり方をめざす姿が印象的でした。

今回初めて選挙に参加してみて、フィンランドの人たちは、「自分たちが政治に関心を持つことは国民として当たり前のこと」と捉え、選挙にのぞんでいるのを感じました。自分の意見を常にもち、何かあればそれを発信し、伝えていくことは、おそらく教育を受ける過程で培われているものだと思います。

外国人としての大事な1票を無駄にせず、次回も参政したいと思います。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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