特集

April 25 2017

【フリーランスと社会保障②】病気・ケガでの収入ストップにどう備える?

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"フリーランスと社会保障制度"について考えるこちらの特集。前回は、「なぜフリーランスの社会保障が手薄いのか」について、現在の社会保障制度の基盤ができた時代背景から紐解いてみました。

第2回目である今回は、「病気やケガで働けなくなった場合」に注目します。
会社員と比較して、病気やケガで働けなくなった場合の生活保障は、本当に手薄いのでしょうか。ここでは、民間企業に勤める"会社員"の社会保障制度と比較しながら、フリーランスが取るべき対策について、ファイナンシャル・プランナーの氏家祥美先生に教えて頂きます。

Profile / 氏家 祥美さん

prof_ujiie.jpgハートマネー代表 ファイナンシャルプランナー
女性活躍応援FPとして、働き方や夫婦・親子関係も含めたマネーアドバイスが好評。お金・仕事・時間のバランスのとれた幸福度の高い家計を追及する。『いちばんよくわかる!結婚一年生のお金』(学研パブリッシング)ほか、著書・監修本多数。
https://www.heart-money.net/

会社員なら、"労災"や"傷病手当金"がある!

まずはじめに、国の社会保障制度を確認しておきましょう。

病気やケガで仕事を休まなければいけなくなった場合、休業中の収入を補うお金として、会社員は、仕事や通勤が原因の場合は「労災保険」から、仕事以外が原因の場合は「健康保険」から給付金が支払われます。

★仕事が原因で働けず、収入がストップした場合★

会社員フリーランス
休業中の収入を補う給付金 労災保険より「休業給付」または「休業補償給付」+「休業特別支給金」

なし

そもそもフリーランスは労働者ではないので、労災保険には加入していません(できません)!

いくら出るの? 休業4日目から、休業1日につき、給付基礎日額の80%(休業(補償)給付60%+休業特別支給金20%)
いつまでもらえるの? 1年6ヶ月まで
保険料 労災保険の保険料は、労働者(会社員)の個人負担なし。会社員は、会社が負担する労災保険のおかげで、万が一病気・けが・障害・死亡時にも手厚く保護されている!

※詳しくは、「労災保険給付の一覧」(厚生労働省・東京労働局)「労働保険制度(制度紹介・手続き案内)」(厚生労働省)でご確認ください。

★仕事以外が原因で働けず、収入がストップした場合★

会社員フリーランス
休業中の収入を補う給付金 健康保険より「傷病手当金

なし

いくら出るの? 休業4日目から、休業1日につき、標準報酬日額の2/3を給付
いつまでもらえるの? 1年6ヶ月まで
保険料 会社員が加入する健康保険の保険料は、事業主と個人が半分ずつ負担(組合管掌健康保険では、事業主負担割合を半分以上とすることができる)。会社員は、事業主が半分負担している「健康保険」のおかげで、「傷病手当金」を受け取ることができます。 全額自己負担。フリーランスの多くが加入している「国民健康保険」「健康保険の任意継続」(会社を退職後に病気になった場合)では「傷病手当金」は実施されていません。そもそも会社員とフリーランスでは、加入できる健康保険の種類も内容も違います。

※詳しくは、それぞれご加入の健康保険のHPでご確認ください。

このように、会社員であれば、病気やケガで4日以上仕事を休み、収入がストップしても、「労災保険」や「健康保険」から、最大1年半に渡って休業中の収入を補う給付金が支給されます。しかし、フリーランスにはそれがありません

医療費がかかる上に、収入もストップすれば、生活がままならなくなる可能性もあります。フリーランスは、会社員に比べて社会保障が手薄い分、しっかりと民間の保険や預貯金などの自助努力で補っていく必要があるのです。

「医療保険」・「所得補償保険」を利用して収入ストップに備える

では、具体的にどのように備えていけばよいのでしょうか。

1)医療保険を手厚くする

「例えば、労災や傷病手当金で生活費を補える会社員ならば、医療保険については"給付日額5000円"が目安と言われています。しかしフリーランスには労災も傷病手当金もありませんから、医療費に加え、生活費の分も備えていかなければいけません。そこで、医療保険ならば給付日額を、会社員の倍額の1万円にするなど多めに設定することで、収入がストップした際の生活費をもカバーすることができます」

医療保険というと、純粋に"医療費だけを補う"というイメージがあるかも知れませんが、給付日額を手厚くすることで、ストップする収入をも補うことができるというわけですね。みなさんも、まずはご自分の医療保険の内容を、確認してみてはいかがでしょうか。

2)所得補償保険を検討してみる

そしてもうひとつが「所得補償保険」に加入する方法です。

「所得補償保険とは、病気やケガで働けなくなった際の収入を補うことが目的の保険で、もともとは損害保険会社の商品でしたが、最近では"就業不能保険"など異なる名称で、生命保険会社からも特徴的な商品が出てきています」

医療保険に比べると、まだまだ認知度が低いように思いますが、生保が販売を開始したことで、注目されつつあるのだそう。所得補償保険の特徴は何と言っても、就業不能状態になったときに毎月あらかじめ決めた金額の給付金が振り込まれること。働かなければ収入がまったくストップしてしまうフリーランスにとっては、毎月一定の給付金が振り込まれることは、とても魅力的に映るかも知れませんね。

意外と長い免責期間。所得補償保険を選ぶ際の注意点

ただし、「所得補償保険を検討する際は、免責期間に注意してください」と氏家先生。

「例えば保険期間が長いものは、就業不能になってから保険金がもらえるようになるまでの免責期間も60日や180日などと長いものが多く、その間は給付金を受取ることができません。ですので、数ヶ月に渡って仕事ができない場合など大きなダメージには有効ですが、1ヶ月程度の入院など、短期の療養についてはカバーできないので注意が必要です

保険期間が長期のものは、長期間カバーできるというメリットがある一方で、免責期間が長いため、すぐに生活費の補填が必要な人には不向きと言えそうです。

また、実際にいくつかの商品を比較してみたところ、「うつ病など精神疾患を対象としているものが少ない」、療養に対応していても、「就業不能の認定が思いのほか厳しい」といった特徴も見えてきました。

「所得補償保険は、保険会社によって特徴も考え方も異なるので、加入の際はいくつか比較してみるとよいでしょう。また、就業不能状態になって1年半を超えると、一定の要件を満たせば、障害基礎年金の対象になる可能性もありますので、これも覚えておくとよいかも知れません」

加入の際は、自分が必要としている部分(期間、内容)をしっかりカバーしてくれるのか。どのような状態になったら給付金がおりるのか等支給条件もしっかり確認しておくことが必要と言えそうです。

<まとめ>

病気・ケガでの収入ストップにどう備える?

・医療保険の給付日額を手厚くすることで、医療費だけではなく生活費にも備えることができる。
・長期の収入ストップに備えるには、所得補償保険を検討してみるのも手。

さて、次回は、「妊娠・出産」にまつわるお金に注目します!

<目次>
第1回 【時代背景編】 なぜフリーランスの社会保障は手薄いのか
第2回 【病気・ケガ編】 病気・ケガでの収入ストップにどう備える?
第3回 【妊娠・出産編】 会社員とここまで違う!フリーランスの産前・産後
第4回 【老後資金編】

1階部分しかもらえない!老後にどう備える?

第5回 【遺族年金編】 家族のために考えたい、フリーランスの遺族保障
第6回 【信用力編】 フリーランスが信用力を高めるには?

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