廃棄される食品と生活困窮者をつなぐ日本初のフードバンク│NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第25回目はNPO法人セカンドハーベスト・ジャパンの田中入馬さんにお話を聞きました。

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セカンドハーベスト・ジャパンの活動内容を教えてください。

当団体の代表、マクジルトン・チャールズが日本の生活困窮者と食品廃棄の現状を知り、2000年頃に台東区で始めた活動で、主にフードバンク活動という取り組みをしています。フードバンクは食品メーカーや農家、個人などから寄贈を受けた、まだ十分に食べられるにもかかわらず廃棄される運命の食品を、食べるものが必要な福祉施設や個人世帯へ橋渡しをすることで、食品ロスを減らすことができる取り組みです。

その他にも炊き出しをするハーベストキッチンや直接食品を提供するハーベストパントリー、フードバンク発展のための啓発活動や講演なども行っています。

「食べることができるのに破棄される運命の食品」とは具体的にどのようなものでしょうか。

平成28年に発表された政府広報によると、日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の3割にあたる約2,800万トンといわれています。このうち、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなどの「食品ロス」は約632万トンにものぼります。毎日「食べられるのに捨てられる食品」が発生しているのです。

具体的には、賞味期限が近づいて店頭で販売できる期限を過ぎた食品や、中身は問題ないけれど外装が破損してしまった商品のことです。その他にもサンプル品やキャンペーン商品の残り、一般企業で社員用に備蓄している防災備蓄品、ご家庭でお歳暮などでもらって食べきれない食品などもあります。

ハーベストパントリー、ハーベストキッチンとはそれぞれどのような取り組みでしょうか。

ハーベストパントリーは、地域の食料庫として、生活に困った個人世帯の方が直接食品を受け取ることができる場所です。個人や家族へ宅配便で食品パッケージを届ける活動、浅草橋のセカンドハーベスト・ジャパンの倉庫で直接食料品を手渡す活動、隅田川沿いのモバイル・パントリーで食品を配布する方法などで、日本に住む難民の方々、ひとり親世帯、失業または不安定雇用で十分な収入の得られない人たちなどを支援しています。

ハーベストキッチンは、寄贈された食品を調理し、塾に通うことができない子どもたちが集まる学習支援施設に届けたり、生活困窮者や路上生活者にお弁当を配布したりする取り組みです。

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個人でハーベストパントリーを利用したい場合、どのような手続きが必要でしょうか。

2017年4月現在、毎週木曜日と土曜日の午後に、浅草橋のオフィスでパントリー活動を行なっています。その他にも大久保や国立にも食品を受け取れる場所がありますし、お近くの生活相談窓口経由で受け取ることができる地域もありますので、まずは私たちの団体にお問い合わせいただくか、ホームページをご覧ください。

新しい取り組みの一つとして、2017年3月に、子ども食堂「Kids Café」がオープンしたそうですが、どんな場所なのでしょうか。

このカフェでは、食の支援が必要な子どもたちに食事を提供するだけでなく、学習支援や体験・交流プログラムを実施します。営業時間中は、お惣菜、おにぎり、果物、セカンドハーベスト・ジャパンのセントラルキッチンで作るお弁当など、食事やおやつを提供するとともに、宿題のサポートや英語など外国語に触れるプログラムなど学習支援を行います。また、毎月1回程度の頻度で、土曜日に、子ども向け料理教室、食の大切さを学ぶプログラム、外国人ボランティアによる異文化体験など、遊びを交えながら子どもたちの視野が広がるようなイベントを実施しています。利用はすべて無料です。

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セカンドハーベスト・ジャパンが未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはどんなことでしょうか。

誰も食べることに困らない社会になってほしいと思います。食料は十分にあるのだから、破棄せず、必要な人たちに届けることのできる社会にしたいです。また、パントリーなど緊急時に食糧を受け取れる場所が地域に十分にあり、食べることには困らない環境を築く「フードセーフティネット」は私たちだけでは構築できません。貧困を解消することは難しくても、誰もが食べることに困らない社会を築くことは、みんなで取り組めば可能だと考えていますので、ぜひみなさんもご参加ください。

Take Action! 〜いま私たちにできること〜

食べられるのに捨てられてしまう食品は年間632万トン。セカンドハーベスト・ジャパンの取り組みは、食品ロスも減らすことができ、在庫を抱える企業やお店も、食品を受け取る側も誰もが幸せになれる仕組みです。同時に私たちも、もしもの時のため「フードセイフティーネット」の構築について考えていかなくてはならないと思いました。

NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン
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林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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