税理士がアドバイス!法人化を単なる箱作りにしないために具体的に準備すべきこと

こんにちは。公認会計士・税理士の矢野裕紀です。 前回の「法人化を考える始めるべきタイミング」に続き、第2回目は、「法人化の前に具体的に準備すべきこと」をお伝えしたいと思います。

法人化は、単なる"箱作り"ではない

起業ブームの昨今、意外と簡単に自力で法人が作れてしまうので、法人化と言うと、「株式会社」や「合同会社」といった名前が付いた程度で、個人事業主時代とさほど変わりはない、という誤解を持たれる方も少なくありません。

以下では、法人化を、単なる"箱作り"としないために、法人化の前に具体的に準備すべきことについて、「相談できる専門家を見つける」、「"お金の流れ"をデザインする」、「"経理の流れ"をデザインする」という3つの点に絞ってお伝えしていきたいと思います。

相談できる専門家を見つける

法人化の準備として、相談できる専門家、例えば、税理士を見つけることは非常に重要だと思います。すぐに契約をするか否かは別として、法人化した際の留意点を相談できる税理士とのつながりはあった方が良いです。

個人事業主時代に、ご自身で確定申告をされていた方は、その流れで、法人化後の帳簿付けなどもできてしまう方が多いと思います。そのため、ひとまずは自分で経理をしておき、1年目の決算間際になった段階で税理士を探し始める、というパターンも少なくないようです。

ただ、税理士仲間の間でもよく話題に上がるのですが、決算直前に税理士と契約する方は、税務上の抜け漏れが多いです。

例えば、税金的に損をするような社長への報酬を支払っていたり(利益が出すぎちゃったから社長にボーナスを出そう、は税金的に損するパターンが多いです)、社長の報酬を支給するときに、天引きすべきだった所得税が天引きされていなかったり......。

ひとりで考え、そのときは対処できたとしても、知らず知らずのうちに損や抜け漏れが発生してしまう場合もあります。こういったケースは、税理士に相談できていれば防げるケースがほとんどですので、"法人経営の防御力UP"という意味で、法人化の準備段階で、相談できる税理士を見つけるメリットは大きいと思います。

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逆に、"法人経営の攻撃力UP"という意味でも、税理士の存在はプラスになります。

例えば、目の前の仕事に手いっぱいで、将来計画をつくる余裕がない方、もしくは、そもそも将来計画の立て方がわからない方は意外と多いようです。計画の立て方次第では、お仕事の単価アップが実現できたり、今よりもたくさん集客できたりと、何気なくかぶせてしまっていた収入のキャップを取り除くことができるケースもあります。また、法人活用も含めたライフプランの立て方についても相談できます。そんな、将来計画作りのサポートができる税理士がいると心強いはずです。

今回は税理士について書きましたが、税理士以外にも法人経営をサポートしてくれる各分野の専門家を見つけることは、法人化を成功させるために必要な準備の一つ、と言うことができます。

"お金の流れ"をデザインする

法人設立をすると、個人事業主時代とは明確に違うことが一つあります。それは、法人という、自分とは別人格の存在ができることです。

個人事業主時代は、仕事のお金と、プライベートのお金、とくに色分けすることなくやってきた方も多いはず。でも、法人化した後は、仕事(法人)のお金と、プライベート(個人)のお金は、明確に分けるべきです。

法人化後の経理で大混乱してしまう方は、この"お金の流れ"がうまく整理できていない方が多いです。

「法人に現金を持たせるか」、「個人の預金口座から法人の経費支払が発生しないようにしているか」、「法人のクレジットカードと、個人のクレジットカードは分けて管理しているか」などなど、"お金の流れ"のデザインが後回しになると、法人と個人との間のお金のやり取りがごちゃごちゃになり、わけがわからなくなってしまいます。

「"(法人?個人?)"の"(現金?預金?)"に"どんな(売上?それ以外?)"収入を受け入れるか」、「""の""から"どんな"支出をするか」、このルールを、法人設立の準備段階からあらかじめデザインしておくことをおすすめします。

【"お金の流れ"イメージ図】

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【例】
通常のお金の流れ

 ①法人の「預金口座」に法人の「売上金」を受け入れる
 ②法人の「現金」から法人の「経費」を支払う
 ③法人の「預金口座」に社長個人からの「借入金」を受け入れる
 ④法人の「預金口座」から社長に「役員報酬」を支払う

イレギュラーなお金の流れ
 ②法人の「クレジットカード」でプライベートな「飲食代」を支払う
   →法人から見ると、社長への「貸付金」となる
 ③法人の「預金口座」に②の分を個人口座から受け入れる
   →法人から見ると、社長への「貸付金」の返済となる
 ⑤個人の「預金口座」に誤って法人の「売上」が入金される
   →法人から見ると、社長への「貸付金」となる
 ⑥個人の「クレジットカード」で法人の「経費」を支払う
   →法人から見ると、社長に立替えてもらっていることになる

"経理の流れ"をデザインする

①ツールを選ぶ

お金の流れが整理できると、面倒な経理作業もスムーズになります。個人事業主としても利用されている方がいらっしゃるかもしれませんが、ひとり社長の法人の経理にはクラウド会計システムを活用することをおすすめします。

とりわけ、私も認定アドバイザーとして活用させていただいているfreee(フリー)は、ネットバンクの入出金履歴や、クレジットカードの使用履歴を自動で帳簿付けしてくれたり、システム内で請求書が作成できて、自動で売上の記帳ができ、さらには後の預金口座への入金とマッチングができたりと、事務作業が効率的に行える点でかなりおすすめです。

②事務処理のタイミングを決める

ツールが決まったら、次に決めるのは、事務処理のタイミングです。例えば、以下のような形です。

・請求書は、サービス提供前に事前に準備しておき、サービス提供をしたその日のうちに発行してしまう。
・預金口座はネットバンクと自動連動しているので、リアルタイムに入金が確認できる。毎日○時に入金確認を行い、確認ができたお客さまにはお礼のメッセージを送る。
・現金支出は、毎晩所定の場所にレシートを保管し、週末に1週間分の帳簿付けを行う。
・請求書は到着後、決まった場所に保管し、緊急に支払が必要なものを除き、月末日に振込作業をまとめる。

事務スケジュールを決めておかないと、その場その場の対応になってしまったり、後回しにしたことによって、年間分を1週間かけて整理する、その期間一切営業活動ができない、なんてことにもなりかねません。事務作業量によって頻度などは変わってくるものですが、法人化準備の段階で、ある程度は事務処理のタイミングを決めておくことをおすすめします。

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③資料の保管ルールを決める

これもひとり社長あるあるですが、資料の保管まで気を回す余裕がある方は多くないと思います。経理は、帳簿をつけたら終わり、支払処理が完了したら終わり、というものではなく、諸々の根拠資料の保管までを含めて経理作業です。

例えば、こちらから発行した請求書を保管するためのファイルを用意したり、逆に受け取った請求書を保管するファイルを用意したり。用意するだけでなく、発行月ごとにまとめるとか、支払日順にまとめるとか、保管ルールを決めておくだけで、作業のスピードが早まります。

ぜひ、法人設立準備段階で、経理資料の保管方法まで、ルールを決めておきましょう。

まとめ

法人化の準備は、ついつい手続的な事だけで頭がいっぱいになってしまいがちです。ただ、法人化について相談できる専門家を見つけたり、事務処理も含めて、自分の仕事をどのように回していくかをデザインすることも重要な準備の一つです。わからないことを放置しておいたり、事務の仕組み化を後回しにしてしまうことによって、喉元に小骨がささっているような感覚に陥り、稼ぎのパフォーマンスに悪影響を与えてしまう場合もあります。

法人化は、単なる"箱作り"ではない」という意識を出発点に、準備段階から法人化について相談できる専門家を見つけるとともに、事前に"お金の流れ"と"経理の流れ"をうまくデザインし、法人化のスタートダッシュを成功させましょう!

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矢野 裕紀

Writer 矢野 裕紀

有限責任あずさ監査法人に6年間勤務後、埼玉県の津島会計事務所に勤務。現在は、矢野会計事務所を開設し、主に、個人事業主や一人社長の法人の顧問税理士、経理・確定申告の代行サービスを提供。クライアントの要望に応じ、フットワーク軽く様々なサポートを行っている。特に、クラウド会計ソフトfreee認定アドバイザーとして、日常の事務作業と個人・法人の確定申告をリンクさせた作業の効率化サービスである"経理デザイン"を得意とする。

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