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フリーランスになる前に知っておきたいお金の話

法人化の目安を3つのポイントで解説

Update: 2011.05.28 10:06:15

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の氏家です。

「好き」を仕事にしようと思ったときに、個人事業で始めるか、株式会社など法人を設立するかは、迷うところですよね。また、すでにフリーランスとして個人で活動をしている人のなかには、これから「法人化」をすべきかどうかで迷っている方もいることでしょう。
そこで今回は、法人化について3つのポイントからお話していきたいとおもいます。

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c chris - Fotolia.com

信用力

法人化をするメリットとして、第一に挙げられるのが信用力です。企業相手の事業を展開していくのなら、「法人設立」をした方が信用力を得やすいでしょう。企業のなかには取引先を法人に限定しているところもありますし、法人化した方が銀行からの融資も受けやくなります


それに対して、出張マッサージやネイリストのように、個人のお客様を対象にクチコミで仕事を広げていくようなビジネスや、すでに決まった会社から定期的に仕事を下請けし、在宅で作業をするような働き方であれば、信用力を高めるためにわざわざ法人化する必要はありません。

税金対策

個人事業主の税金は、住民税、個人事業税、所得税の3つです。

住民税は一律10%、個人事業税は課税所得が290万円を超えたときに3~5%の税率でかかります(税率は職種によって違います/表1参照)。日本では、たくさん稼ぐほどに税率が高くなる超過累進課税制度をとっているため、所得税率は段階的に5%~40%と上がっていきます(表2参照)。従って、個人事業主の場合、課税所得が1800万円を超えると3つの税金をあわせた税率が最大55%にもなります。

表1 個人事業税の職種別税率一覧

職種 内容 税率
第1種 物販業、飲食業、出版業など 5%
第2種 畜産業、水産業、林業など 4%
第3種 歯科医業、クリーニング業など 5%
第3種 あんま・マッサージ、指圧、鍼灸、その他の医業に類する事業など 3%

表2 所得税の税率一覧

課税所得 所得税 住民税 事業税 合計税率
195万円以下 5% 10% 15%
195万円~290万円以下 10% 10% 20%
290万円~330万円以下 10% 10% 5% 25%
330万円~695万円以下 20% 10% 5% 35%
695万円~900万円以下 23% 10% 5% 38%
900万円~1800万円以下 33% 10% 5% 48%
1800万円~ 40% 10% 5% 55%


一方、法人にかかる税金は、法人税(法人所得税)、法人住民税、法人事業税、地方法人特別税の4つです。

法人税率は30%(課税所得が800万までなら18%)です。法人住民税の税率は、法人税率×17.3%(標準税率の場合。法人の所在地や資本金、法人税の額などによって異なる)。つまり、課税所得×30%×17.3%=5.19%となります(課税所得800万円までの部分は、課税所得×18%×17.3%=3.12%)。法人事業税の税率は、下記表のとおりです。地方法人特別税は、法人事業税額の81%となります。

これら4つの税金を合算してみると、資本金1億円以下の法人にかかる合計税率は、26.007%、28.360%、44.783%の3段階となります。


表3 法人所得にかかる合計税率

課税所得 法人税 住民税 事業税 地方法人特別税 合計税率
400万円以下 18% 3.12% 2.70% 2.187% 26.007%
400万円~800万円以下 18% 3.12% 4.00% 3.240% 28.360%
800万円~ 30% 5.19% 5.30% 4.293% 44.783%


従って、個人事業と法人を合計適用税率で比較すると、このような結果となります。

課税所得 個人事業と法人の適用税額比較
~330万円 個人が有利
330万円超~800万円まで 法人が有利
800万円超~900万円まで 個人が有利
900万円超~ 法人が有利

税率上では、所得が330万円以下の時には個人事業の方が有利です。330万円から800万円までは。法人の方が有利になり、800万円を超えると再び個人事業が逆転、900万円を超えたあとは、法人を設立した方が有利になることがわかります。

コスト

法人にもいろいろありますが、たとえば株式会社を設立する場合には、最初に25~30万円程度のコストがかかります。継続的なコストとしては、売上に関係なく毎年、法人住民税(東京23区内の場合7万円~)がかかるようになります。また、法人化すると経理や税務申告が煩雑になるため、税理士さんに報酬を払ってお願いするようになるのが一般的です。 そのほか、個人事業主では経費として認められている交際費が、法人になると一定の範囲内に制限されるようになります。つまり、個人事業から法人になったときには、ある程度コストが余計にかかると思った方がいいでしょう。


以上の3点を考えてみると、法人化するかどうかの損益分岐点は、課税所得が900万円を継続的に超えるかどうかがひとつのポイントとなります。最初は個人事業主としてスタートして、事業が軌道に乗ったら法人化するというのも一つの方法です。

誰を対象に、どれくらいの事業規模で行っていくのか、5年後、10年後をイメージしながら事業計画を立ててみましょう。

今回の3つのポイント

  • 信用力をつけたいなら法人が有利
  • 課税所得900万円超えるなら法人化の検討を
  • コストにも注目して事業計画を立てよう

法人化について、今後の事業計画について、節税についてなど、自分の事業について真剣に考えたくなったら、プロに相談をするのが早道。私も所属する女性の起業をサポートする女性専門家集団「キャリア35」では、さまざまな情報提供、相談、セミナーを開催しています。ぜひチェックしてみてくださいね。


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Profile

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ハートマネー代表
ファイナンシャルプランナー
氏家祥美(ウジイエヨシミ)

働く女性、働きたい女性に向けて、お金の基礎知識をわかりやすく伝えている。女性誌にも多数登場。オールアバウト「女性のためのお金の知識」ガイド。『貯める!貯金0円からのお金持ち入門』(主婦の友社)監修ほか。
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