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November 22 2014

Vol.95 studio LaMOMO group CEO 土屋ひろさん

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Profile

studio LaMOMO group CEO。高校時代にカメラ雑誌のコンテストに入賞したことをきっかけにフォトグラファーを目指す。20歳の時に日本大学芸術学部を中退、会社設立。翌年には自由が丘に事務所兼スタジオを構える。現在はレンタルスタジオの経営を中心に、維持の難しい古い建物のスタジオマネージメント・撮影支援やアンティーク家具・雑貨の販売・リース、各種デザインも手がける。プライベートでは昨年お子さんが誕生、仕事に子育てにと奮闘中。

studio LaMOMO(レンタルスタジオ、マネージメントスペースのサイト)
http://studiolamomo.com/

Nuu brocante antiques(リース&アンティークショップのサイト) http://nuu.la/

sutudio Nuu(子ども写真館のサイト)http://studionuu.com/

フォトグラファー志望からスタジオ経営へ

なにか思い立ったときの土屋さんの行動力は並大抵のものではない。優しそうな雰囲気とは裏腹に、やりたいことを形になるまでやり遂げるガッツがある。

フォトグラファーになりたかった高校時代には、進路を認めてくれない親の理解を得ようと、カメラ雑誌のコンテストに応募した。見事賞をとったが、「まぐれだと親には認められないと思って、もう一度だしたら連続で入賞しました。親もそれならがんばってみる?と」

進路に迷って大学に進むものの、その時すでに始めていた撮影の仕事がおもしろくなり中退。二十歳のときに、付き合っていた彼(今の夫)と会社を設立した。業務の中心になったのはカタログ制作の仕事。フェアトレード事業を営む両親の会社から受注した。そこから撮影やデザインの仕事を増やしていき、経験を積んだ。

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いまも、母親の立ち上げたフェアトレード製品を開発・販売する「ネパリ・バザーロ」のカタログ制作を請け負っている。撮影はすべてstudio LaMOMOのスタジオで。自然素材だけを扱ったネパリの商品とスタジオのアンティークな雰囲気がよく合う。

スタジオを借りて撮影の仕事をするうち、二人は自前のスタジオを持ちたいと思うようになる。改装できる物件を探して事務所兼スタジオを2年かけてつくった。「当時はアンティークな雰囲気のスタジオがなかったので、自分の好きな家具などをひたすら集めてシャビーな感じに仕上げました。それが珍しかったのか、通りがかりの人から貸してほしいとお声がけいただくこともありました。でも、事務所と隣合わせなので、そのまま貸すのはためらわれて」。

そんなとき、両親の会社を継ぐ話が急に持ち上がる。両親からは、もし継ぐ気があるならば会社をたたんでから来てほしいと言われた。「せっかくつくった会社をすぐにたたむ気にはなれなくて。自分たちで何かやってみてダメだったら、スッキリ親の会社を手伝おうと考えました。それで、がんばって投資をしてスタジオレンタルを始めたんです。最初のうちは数件しか入らず、ヒヤヒヤしたこともありましたが、広告や口コミでお客さまも増えていき、なんとか軌道にのせることができました」。

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スタジオの家具はフランスで買い付けてくることが多い。毎年、少しずつ入れ替えて、変化をつけている。

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1歳に満たない娘とフランスへ買い付け旅行に行くことも両親に反対されながら去年断行。日本にいては細切れになりがちな家族の時間を堪能できたのだとか。伺うほどに、やんちゃな経験談が出てくる。

ふたりだけの会社から12名の大所帯へ

フォトグラファーからスタジオ経営への転身に続き、土屋さんはもう一つ大きな決断をした。それは人を雇うということだ。「人を入れると自由にやれなくなるよと親から言われた記憶はあります。でも、好奇心旺盛な方なので、やってみたい気持ちの方が強くて」。最初はデザイナーを募集し、スタジオの開け閉めも頼むことにした。しかし、実際に始めてみると2つの仕事の両立は難しいことが分かり、その後はスタジオ専門のスタッフを入れることに。スタッフの人数も仕事内容も試行錯誤をかさねた。「スタッフが少ないと私たち二人との関係性が近すぎるので、もう一人、二人増えるといいんじゃないか、関係性も変わるし、チームという試みもできそうだ、なんて話し合って」。スタジオが増えるにしたがってスタッフも増え、今では総勢12名が働く会社に成長した。

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「人数が少ないうちは何となく通じ合っていても、だいたい5名を超えてくると会社の理念の共有が必要になってくるんですよね。最近それに気付いて、みんながLaMOMOでどう働くことができるか、LaMOMOはどう成長していくかを共有するための取り組みを始めました。自分は今、LaMOMOという組織の中のどこにいて、将来どれがやりたい、そのためにどんな仕事があるか、そのときお給料はどう変わるか、そういう見通しを立てられるシートも用意しました」

どうやって会社のビジョンをみんなに伝えるかを考えるのも楽しいと、土屋さんは、いろいろと下書きしたノートを見せてくれた。

仕事は人を輝かせるもの

土屋さんは、フェアトレードの仕事をしている母親の仕事を小さな頃から身近で見て育ってきた。母親に連れられてネパールにも度々訪れた。「年に一度は現地の生産者を訪ねるのですが、会うたびに目が輝き、身なりも良くなってくる。子どもの目にも『仕事で人が変わる』ことは明らかでした。仕事は人をイキイキさせてくれる大事なものなんだなと思うようになりましたね」。家では夜中まで働くご両親の姿を見て、それが大人だと思っていた。初めての仕事では三日三晩ほぼ徹夜で働き、大人になった実感をかみしめたのだとか。「休みなく働くのが大人だというのは勘違いだと後になって気付いて、今ではそんなことをしようとは思いませんけど(笑)」。

仕事を楽しむ土屋さん、今まで特に楽しかった仕事や達成感があったのは、どんな仕事だろう。「二人でやっていた頃は、今日よりも明日もっと良い仕事をしようと日々成長していくおもしろさがあった。今はスタッフのみんなが喜んでくれるのがうれしい。おもしろさの種類は変わってきたけれど、いつも今やっている仕事が一番楽しいです」。

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ネパリ・バザーロの商品開発にも一部、関わっている。手にとっているのは震災後に開発した化粧品「Kune」。被災地で生産される素材を使っている。こうした仕事を通じた人との出会いもおもしろいのだそう。

土屋さんがいま取り組んでいるのは、各スタジオの質を高めていくこと、そして、スタジオを活用して新しい事業を展開していくこと。「これからやってみたいことはたくさんあります。細々と営業しているWebのアンティークショップにも力を入れていきたいし、中断していた記念写真館もやりたい。スタジオの活用法もウェディングやパーティーなどにも広げていけないかなと」。目の前のことに全力投球し、どんどん新しいことにチャレンジする土屋さん。これからの土屋さんとLaMOMOの変化が楽しみだ。

土屋さんのお仕事道具を拝見!

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土屋さんの"どこでも事務所セット"。「こうしたら利益が出るな」など数字を計算するのが好きなので、電卓をよく叩いています(笑)。ノートパソコンはWi-Fiがとんでいるところで、iPadは移動中のメールチェックに使います。デザインの仕事なんかも全てノートパソコンです。ノートには思いついたことをいろいろと書いています。計算したこととか、洋服のスケッチもありますよ。

ある一日のスケジュール

07:30 起床
08:30 娘を保育園に送る
09:00 スタジオの事務仕事
時間があれば合間に自分のデザインの仕事などをはさむ
14:00 打ち合わせや撮影など
日によって、仕事の内容は異なる
17:00 保育園にお迎え
帰ってきたら、一緒に遊んだりもする
18:30 子どもとご飯
ご飯を食べた後は、お風呂に入れ、寝かせる
21:00 自分の仕事と家事
24:00 就寝

ピンチもこれがあればOK!私の最終兵器はコレ

体調が悪くなった時に頼りにしているのは葛根湯。気分が落ち込んだ時に頼りにしているのは、夫です。夫を相手にワーッと話しているうちに、解決策も見えてきてスッキリすることが多いんです。彼は、めんどうくさそうにしていますけどね(笑)。

Q&A - 自分スタイルの働き方を実現するための5つの質問

スタジオの運営を始めた時は、どのように集客しましたか?

スタジオ情報のポータルサイトに広告をだしましたが口コミも多いです。スタジオをつくったばかりの頃は月に数件しか入らずヒヤヒヤしたこともありますが、当時は珍しい内装のスタジオだったので、口コミで増えていきました。

オンオフの切り替えはどのようにしていますか?

仕事がすごく好きなので、切り替えを考えるというよりは隙あらば仕事をするという感じです。たまに面倒くさく感じる仕事がでてきたら、好きな仕事は夜に好きなお酒でも飲みながらやるようにとっておいて、面倒なことはさっさと片付けるようにしています。子どもが生まれてからは、子どもがいる時には自動的にオフになりますね。もう少し大きくなったら一緒に仕事ができたらいいなと思っています。

仕事をしながらの出産、子育てはどのようにしたのですか?

出産当日まで事務所で働いていました。産休をとることも生まれるまでは想像がつきませんでした。さすがに2ヶ月は休みましたが、徐々にスタッフとメールでやり取りするようになり、3ヶ月目には事務所に復帰しました。よく眠る子だったので抱っこ紐のまま仕事をしたり、事務所の空き机に座布団をしいて寝かせたりしました。ハイハイするようになってからは事務所ではスタッフの邪魔になるので、保育園に預けることにしました。公立の認可保育園は入るのが大変だと聞いて初めから無認可の保育所を探しました。この春から保育園に通っていますが、だいぶ楽になりました。

仕事をしていて女性で良かったと思うことはありますか?

撮影の仕事では、被写体に近寄りやすいのが良かったですね。ネパールに撮影に行くこともありましたが、フォトグラファーが女性だと、普通はなかなか入れない台所に入れてもらえたり、子どもや村の女性たちが話しかけてくれやすかったりします。フェアトレードの業界は女性が多いので、話が盛り上がるなんてこともあります。

土屋さんのように自由に働くための秘訣は何ですか?

目の前のことを必死になってやっていれば、自然といい出会いがあったり、助けてくれる人が出てきたりして、上手くつながっていくように思います。今できることをがんばっているうちに何か良い出会いがあるのではないでしょうか。

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