クリエイター

October 15 2015

Vol.100 SWATiデザイナー 中田真由美さん〜後編

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趣味で始めたキャンドルづくりからスタートし、会社員、フリーランスを経て、株式会社を設立した中田さん。好調な展開をみせる背景には、どんなご苦労があったのでしょうか。
SWATiデザイナー 中田真由美さん〜前編はこちら>>

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Profile

中田真由美(なかだまゆみ)
1976年、東京都生まれ。短大の服飾造形学科を卒業後、アパレル会社に就職。退職後の1998年、「SWATi」(ヒンズー語で「星」の意)のブランド名でキャンドル制作を始める。2008年、株式会社SWATiを設立。オーダーメードのウェディングキャンドル制作や、ウインドウディスプレーなども手がける。

横のつながりから、新しい仕事が生まれる

小野:法人化されたあとも、昔と変わらず、SWATiのデザイナーとして第一線で活躍されているのですね。SWATiは、ファンをあっと驚かせる楽しい商品や企画をつねに仕掛けていらっしゃいますが、そうしたアイディアはどこから生まれてくるのですか。

中田:新しい商品の案は、友だちと話しているときや街で買い物をしているときに、ポッと浮かびますね。いろいろ見ていて、「こういうのないよな、なんでだろうな、つくっちゃおうかなー」って感じで生まれることも多いです。キャンドル以外の雑貨たちも、ただかわいいだけじゃなくて、「これ、面白い!」という驚きをポイントに選んでいますね。

小野:いろいろなブランドともコラボレーションされていますよね。

中田:はい。これは、横のつながりが生きています。友だちの多くがアパレル関係に勤めているので、ちょっとお店に置いてもらうところから始まって、口コミで広がっていくという感じで。だから、友だちからの「ご飯食べに行かない?」というお誘いは、できるだけ受けて、いろいろな方とのつながりを大切にしています。営業活動とはいえないかもしれませんが、自分流のお付き合いの仕方を見つけてやっているつもりです。

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"心の師匠"は一休さん!

小野:中田さんは、仕事と向き合う中で、どんなことを大切にされているのですか。

中田:そうですね......。まずは、自分におごらないことです。何か新しい案件がきたときに、これは以前によく似た感じのものをつくったなと思っても、必ずゼロベースで考えています。デザイナーですから、引き出しがいっぱいなければダメですよね。つまらないものをつくっていたら、スタッフだってがっかりしてついてきてくれませんから。あと、共感してくれる仲間を増やすためには、嘘をつかないことも重要です。
実は、"心の師匠" は一休さんなんです。「このはしを渡るな」といわれて、ぐっと考え、端っこを渡らずに真ん中を通りましたよね。私も、一休さんを見習って、「何か困難があってもひるんじゃいけない。考えるんだ!」と、自分に言い聞かせています。

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小野:一休さんですかー(笑)。なんだか、中田さんらしいです。落ち込んだり、ピンチ!というときには、どうやって切り抜けるタイプですか。

中田:どんなピンチのときにも、自分のなかに原因があると思うので、考えを掘り下げて、そこから直します。人のせいにしないというのも大事です。それをしたら、成長しませんからね。第三者の目線で自分を見つめて、今、どうなんだと考える。でも、人と比べることもしない。人を妬ましく思うのは、自分にアイディアがないときです。

小野:落ち込んでいるときって、ついまわりと比較してさらに落ち込むという、負のスパイラルに陥るということもありますよね。

独自のブランド性求め、新たな展開へ

小野:これからSWATiというブランドをどのように育て、発展していきたいと考えていますか。

中田:SWATiに "かわいい" "ポップ" という世界観が固定化したことは、大きな成功である半面、失敗でもあると思っているんです。"かわいい" ものとは異なる路線の商品を出そうと思っても、取引先から「これまで通りのテイストのものが欲しい」と言われることがあります。クライアントの要望なので、もちろんそれに応えるべきだとは思うのですが、「それはできない、もっとこういう方がよいんじゃないか」というアピールをもう少ししておけばよかった、と今になって思うこともあります。商品としても、自分の意見としても表現力不足だったなって。

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SWATiのキュートなアイテムたちは、オフィス内にある工房から生まれる。

そのようなことが転機になって、「何々っぽい」という潜在意識が生まれない、独自のブランド性や価値を出すためにはどうしたらいいのか、ということをずっと模索してきました。店頭に立ってお客さんの声を聞いたり、いろいろな人に意見を聞いたりして、どういうものが求められているのか、価格はいくらぐらいがいいのか、マーケティングしたんです。最近やっと、何となくこれかな、というものが見えてきました。

小野:それが、新たな展開、「Pharmacie de SWATi」なんですね。どういった品ぞろえになるのですか。

中田:ハンドメイドにこだわったラグジュアリーなオーガニックボディケアアイテムです。石鹸やバスソルトなど、スキンケアや体のメンテナンスに関わるものをそろえました。私自身、年齢を重ねてきたなかで、疲れや肌荒れといった体の不調や変化に関心が向くようになったんです。自分用としても使えるし、ギフトにもなる。もちろん、パッケージはとびきりオシャレにしますよ。

あと最近は、食べ物にも興味があります。並んででも食べたい、ちょっと価格が高くても食べたいと、人の心を動かせるものって何だろう、といつも考えています。これまで、菓子メーカーとコラボした商品開発もありましたが、身近なもので、もっともっと考えていきたいですね。健康に関心が向いているので、「薬膳」について猛勉強して、検定に合格したんです。

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中田さんのバッグの中身。通勤時間に「薬膳・漢方検定」の猛勉強をして、見事合格されたとのこと。

自分の勘を信じて、前へ進んで

小野:SWATiのこれからの展開がますます楽しみです。中田さんご自身の目標や野望はありますか。

中田:30代はいろいろな方にも会えて、とても充実していたのですが、とにかく忙しかったので、40代はゆとりが欲しいですね。作品においても働き方においても、少し「わがままに」生きたいです。
そして、いくつになっても、ものをつくっていたいです。ただかわいいものじゃなくて、ちょっと面白いもの。店舗を増やすというよりも、常に商品を開発して世の中に出していくのが理想です。「誰かがこう言っているから、これが売れる」というのではなく、「自分は絶対これを推す」というデザインを見極めるのが、デザイナーとしての宿命だと思っています。そういう感性や考え方を老けさせないためにも、ストレスをためず、睡眠をしっかりとることを心がけていきたいです。

悩みやストレスを抱えた人も、何か買うと、気持ちが晴れるお店。高いものじゃなくても、何これ!? って思う商品があるお店。SWATiがそんな "オトナ女子のたまり場" みたいな感じになったらうれしいです。

小野:素敵ですね、"オトナのたまり場" 。聞いただけでワクワクしてきます。最後に、業種はさまざまですが、多くのフリーランサーが、このままでいいのかと悩んだり、自分の名前で売れるようになりたい、事業を大きくしていきたいという夢を持ったりして日々奮闘しています。そんなリズムーン読者へのメッセージをお願いします。

中田:これだ!と思ったものに関しては、自分の勘を信じて、成功させるために行動する。突っ走ればいいと思います。前に進めば必ず出会いがあったり、人とつながったりできます。「私なんて......」とか、「今、忙しいから......」という言い訳をせずに、とにかくやるというのが、成功の秘訣です。
クリエイターでいえば、作品をつくる技術だけがあっても、事業としてはうまくいきません。センスに加え、横のつながり、礼儀も含め、すべてが仕事だと思います。私は、まわりの友だちや売り込みにいった先のショップのオーナーさんなど、たくさんの人に助けてもらい、成長してこれました。そういう出会いの一つ一つも大切にしてほしいです。

小野:楽しいお時間をありがとうございました。

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Writer 室井佳子

ライター。地方紙の新聞記者を経て、2007年よりフリーランスに。取材、記事執筆、講演要旨の作成、校正などを請け負っている。関心ごとは、生き方・働き方、生活、教育。学生時代にかじった心理学が心の支え。好きなものは漢字とクジラ! 日本語検定1級。2003年、2009年生まれの2人の男児と夫とともに、富山県に在住。

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Photographer 小林友美

静岡県生まれ。スタジオ勤務を経て上京。2004年よりフリーランスとして活動開始。東京都在住。雑誌、書籍、Webを中心に活動中
http://www.tomomi-kobayashi.net/

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