第7回「増税カレンダーと私のお金」その3

いつまで、暑い暑い言っていればいいんでしょうか。9月も半ばだというのに、タンクトップにビーサンで仕事場に行くのは、天気のせいですからね。ズボラなだけじゃないから!エコですから!さて、増税カレンダーの先を急ぎましょう。

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年内は、10月に厚生年金保険料の増額と、地球温暖化対策税(環境税)の導入がありますね。

まずは厚生年金ですが、カレンダーには、2013年と2014年の10月にも増額となっています。また、同様に国民年金保険料も、2013年4月から毎年増額になっています。年1回の増額はすでに決まっていたことで、毎年お知らせも来るのですが、そんなの気づかないですよね。知らぬ間にそんなことを!と憤慨する前に、値上げの経緯を見てみましょう。

今行われている年金保険料の引き上げは、平成16年、2004年の制度改正で決定したものです。「厚生労働省の年金制度改革の概要」によると、改正の趣旨は(1)社会経済と調和した持続可能な制度の構築と制度に対する信頼の確保、(2)多様な生き方、働き方に対応した制度の構築、とあります。なにそれ、わかんない、ですよねー。解読してみると、「少子高齢化で、保険料集まらないのに払う年金ばっかり増えるし、予想以上に景気が悪くなって運用も失敗しそう、このままだと財源が足りなくなっちゃう、だからみんな働いて、ちょっとずつ保険料値上げさせてね、将来ちゃんと払うから(たぶん)」といったところでしょうか。
この概要には「年金情報をわかりやすい形で定期的に通知」という項目もありますが、これ「ねんきん定期便」ですよね。それで消えた年金問題が発覚したりしました。データ化、見える化が進んだのがやっとこの頃、というアバウトなシステムですよね。

さて肝心の保険料増額ですが、厚生年金の保険料率が、2005年の13.58%から、毎年0.354%ずつ上がり、2017年に18.3%で固定になります。でも厚生年金は事業主と折半だから、本人分の値上がり率は0.177%、最終9.15%です。国民年金はフリーランスはおなじみですが、額面は固定で、2005年までの1ヶ月13300円から280円ずつ上がり、2017年に16900円になります。今年10月からは、厚生年金が16.766%、国民年金は、来年4月に15820円となります。

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※上の図は、クリックで拡大表示します。

厚生年金は所得によって違いますが、国民年金は年に3360円の値上げ。その上げ幅は云々言うほどではないかもしれませんが、年金制度自体が古い旅館に無理矢理増改築したみたいで、ちっとも持続可能じゃなさそうなのが怖いです。

そもそも値上げに憤慨するのは、今払っている人ですよね。しかし、月15000円の年金保険料を快く払える1号被保険者って、どれだけいるでしょう。国民年金のパンフレットなどで「1号」を表す絵に、魚屋さんとか農家の人が描かれていますけど、今多くを占めるのは派遣やパートやフリーターなど非正規雇用者、あるいは無職の人たちじゃないでしょうか。自分で年金や健康保険料払ったら生活できない、という無年金層は、わざわざ自分で手続きして払いません。この人たちって、図らずも「多様な生き方、働き方」になってるわけだけど、とても制度が対応しているように思えませんし。一方、いつまでも3号被保険者(つまり専業主婦)は残してあり、保険料払ってなくてもサラリーマンの妻なら年金がもらえる、この不思議。夫が安定した正規雇用ならではの特権、例えば住宅取得、教育費への支出、貯蓄や資産運用などができる上に、さらにキャッシュバック、てなもんですよ。社会保障と税の一体改革を躍起にやってますけど、この辺りを解消しないと、いつまでたっても年金不安はつきまとうし、未納者も増えると思います。と、文句は言いますけど、入らないと損だし、将来人に迷惑かけるから、年金は活用したい派なんですけどね!

■さらに詳しくしりたい方は、こちらもチェック!
・金融広報中央委員会 平成16年の制度改正Q&A
・厚生労働省 今回の社会保障・税一体改革


さて、年金に熱くなりすぎましたが、もうひとつの「地球温暖化対策税」についてです。これは石油など二酸化炭素を出す化石燃料にかかる石油石炭税に上乗せするもので、CO2排出量に応じた税率(289円/CO2トン)が加算されるそうです。実際に収めるのは業者ですが、ガソリン代値上げなどで消費者に反映して、その負担は月100円くらいと試算されています。100円って、なんかテキトーだな。しかも、環境省のサイトで「ライフスタイルをエコなものに見直していただくことで、税によるご負担は軽減されます」だって。エネルギーも電気も使わなければ環境にもお財布にも負担がかからない、というわけですね。よく見たらこの税の導入目的が、「税制による地球温暖化対策を強化」ということなので、つまりはたばこ税をどんどん上げて値段を高くして、喫煙による健康被害を減らし、医療費も抑える、という財政引き締めタイプの増税ということですね。お財布と環境は、今や密接に結びついているわけですね。

■さらに詳しくしりたい方は、こちらもチェック!
・環境省「地球温暖化対策のための税」について

独断的「わたしとお金」本棚-6

『ポトスライムの舟』津村記久子 (講談社/2009年)

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29歳のナガセは前職をモラハラで辞め、今は化粧品工場の契約社員、友人のカフェの店番、老人相手のパソコンスクール講師を掛け持ち、「時間を金で売っている」ような日々を淡々と送る。ある日、工場で見かけたポスターの世界一周旅行費用が、工場勤務の手取り年収と同じ163万円だった。ナガセは年金払ってるのかな、とふと思いました。なかなかそう思わせる小説はない、という意味で貴重。第140回芥川賞受賞作品。

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