税務申告をしなければならない基準とは?(後編)

前回に引き続き、税務申告についてみていきましょう。今回は、「いつも所得税が源泉された金額で振り込まれているから、確定申告は関係ない」と思っているユウさんのケースからみていきましょう。

【ケース1】
フリーランスカメラマンのユウさん(32歳)の場合

ユウはフリーランスのカメラマン。もっぱら納品先は出版社で、出版社からはいつも源泉徴収された金額で振り込まれ、その都度「支払調書」という小さな紙が送られてきます。

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先月の振込金額は、100,000円。ですが「支払調書」には「支払金額:111,111円」「源泉徴収税額:11,111円(※1) 」と書いてあります。
前職のサラリーマンだった時も、いつも所得税が引かれた金額で支払われていて、確定申告はしたことがないので今もしていません。ユウは確定申告をする必要があるのでしょうか。

答え:
確定申告が必要かどうかは、前回でご紹介したフローチャートで判断します。源泉所得税を払っているかどうかは関係ありません。

ユウさんのように源泉徴収されていて、他に給与所得があるなどで確定申告が必要でない場合には、確定申告をすることで、源泉所得税が還付されるケースが多いと思います。還付は確定申告をしないと戻りませんので、還付を受けたい場合には確定申告をしてください。

次は、夫の扶養の範囲内で仕事をしているケイさんのケースです。

【ケース2】
土日のみフリーランスをしているケイ(37歳)の場合

ケイのさん場合、問題となるのは「確定申告をすることで扶養から外れてしまうのではないか?」ということでしょう。
「扶養」という言葉には「税務上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
よく103万円の壁とか130万円の壁といった言葉が使われますが、

103万円の方は、パートで働く人にとっての「夫の税額計算上、配偶者控除を受けるためのお給料の額面金額
130万円の方は、パートで働く人にとっての「社会保険上、夫の健康保険と厚生年金に入るためのお給料の額面金額

です。

フリーランスで働く人の場合、パートの人たちのお給料の額面金額の103万円とか130万円という金額をそのまま当てはめることはできません。フリーランスの人の場合、「利益」の金額で判断します。

税務上、夫の配偶者控除を受けられるかどうかは、「利益」(青色申告特別控除 (※2)を控除した残りの金額)が38万円を超えるかどうか。そして夫の社会保険に加入できるかどうかは、「利益」(青色申告特別控除は関係ありません)が130万円を超えるかどうか、で決まります。
つまり確定申告をすると、即扶養から外れるということではないのです。確定申告で「利益」の金額を計算し、その結果が関係するということです。

利益が38万円を超えるかどうかを気にしていては、フリーランスとしての仕事は成り立たないと思います。フリーランスを始めたばかりの人ならば、まずは夫の社会保険に加入できるぎりぎりの金額(つまり利益130万円)までは猪突猛進!とう気持ちで頑張ってみていはいかがでしょうか。

※1 平成24年12月までは10%の源泉徴収のため、111,111円×10%=11,111円です。平成25年1月以降は、復興特別所得税が課せられるため10.21%になり11,344円になります。
※2 青色申告特別控除についてはこちらの記事を参照してください。

市川 恭子

Writer 市川 恭子

大手監査法人、資産税特化税理士法人、メガバンク本部を経て、公認会計士・税理士としてフリーランスに。
企業の上場支援、内部統制構築支援、NPO法人の設立運営から、中小企業の事業承継対策、個人の相続対策まで総合的に対応。いきいきと自分らしく生きていこうとされる方々が「親友」と話すように相談できる相手でいられるよう日々精進中。2児の母。

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