第11回 アベノミクスと子育て

いつのまにかTPP交渉が始まり、日銀総裁に金融緩和推進派の黒田氏の起用が固まって、経済界は期待感でウキウキしているようなこの頃です。そのウキウキ感は、お茶の間にも届くのでしょうか。前回予告したとおり、今回は安倍政権の子育て・教育政策について調べてみました。

ikiteiku_vol11_0.jpg
自民党政策パンフレット「女性向けマニフェスト1」より抜粋。

先の衆議院選挙で、自民党がマニフェストのなかで、子育て・教育の費用に関する政策として、以下の項目が掲げていました。

「幼児教育の無償化、義務教育での就学援助制度の拡充、高校・大学における給付型奨学金の創設に取り組みます。」
「高校授業料無償化については、所得制限を設け、真に「公助」が必要な方々のための政策に転換します。」

大きなところでは、「幼児教育無償化」「給付型奨学金」「高校無償化の所得制限」ですね。順番に見ていきましょう。

1)幼児教育の無償化
自公両党が連立政権合意に盛り込んだ政策で、政府・与党連絡協議会を設置し、3月に初会合、6月に議論の中間取りまとめ、という方針が発表されています。具体的には、3歳以上5歳未満の児童が対象で、幼稚園、保育所の費用を無償にするということ。日本は4歳児の97%と、ほとんどが幼稚園または保育所に通っているのに、その費用の多くは家計が負担。就学前教育への支出に占める家計支出の割合は38%と世界でも高い水準とか。実際保育園児2人時代なんて、一人分の給料ほぼつぎ込む事態になっていました。それが無償になれば、だいぶ生活が変わりますね。
ただし無償化の実現は「財源確保の上で進めること」というのが前提で、政府試算によると8200億円の財源が必要とされているそうですから、実現するとしても2014年度以降でしょうし、どこからお金が出てくるのか、気になるところです。こちらが無償になっても、他の子育て手当が削られたり増税になったりしたら、元も子もないですから。目を光らせておきたいものです。

2)高校・大学における給付型奨学金
「給付型奨学金」は、在学中にお金を借りて卒業後に返していくのではなく、返済しなくてもいい、つまりお金をもらう奨学金です。現状で奨学金といえば貸与型がほとんどで、給付型は、大学や財団などが優秀な学生のために独自に設けているものが若干あるのみでしょう。

この就職難で、今貸与型奨学金は大変問題になっています。最近は利用者が多く、現役大学生に聞いたらクラスの半分以上が借りている、と言っていましたが、その返済に苦しめられるケースも増えていると聞きます。奨学金というと無利子や、ついたとしてもすごい低金利なんじゃない?となんとなくイメージしてしまいそうですが、そんなことはありません。代表的な日本学生支援機構の、第二種奨学金の利子は、現在3%。今どきの住宅ローンより高いです。同機構ホームページでは返済シュミレーションがあるのでやってみましたが、大学入学時50万円、4年間毎月8万円借りると、貸与総額434万円で返済総額は約585万円、月々約2万4000円の20年払いとなりました。奨学金、という高尚な名前ですが、単なる借金。大学を出れば誰もが正社員で就職できた時代ならともかく、このご時世では危険なものといえないでしょうか。

その危ない貸与型ではなく、給付型を国が創設するというわけですが、まだ具体的な方針はほとんど見えていません。しかもこの計画、高校無償化や就学援助制度の所得制限とセットになっており......。

3)高校無償化の所得制限
ということで、高校無償化の所得制限です。高校無償化は民主党政権下で2010年に始まりましたが、公立高校などの授業料を無償化、私立高校などに就学支援金を支給して授業料を低減することを目的とした制度で、所得制限は原則ありませんでした(就学支援金は段階的にあり)。それを、無償化対象を世帯年収700万円以下とする案を軸に調整、2014年度以降に所得制限を導入する、下村博文文部科学相が昨年末発表しました。これによって確保できた財源を返済不要の奨学金にするということです。

この所得制限について以前から推奨している下村文科相は、ご自分のブログで以前こう書かれていました。
「私も教育にもっとお金を投入することは、必要なことだと考える。ただその時には、限られた税源の中でより有効にどう使うかが問われる。民主党の高校無償化のように、4000億円をただ均等にばらまくだけで、その教育内容のレベルアップも考えないようなやり方には反対だ」
あれ、教育の機会均等のための無償化なのでは? 税源内での効率を考えるってことは、教育も不均等が前提ってこと? と思ってしまったのは私だけでしょうか?

つっこみどころ満載の、アベノミクスなのでした!

<記事参考リンク>
・幼児教育無償化:政府・与党連絡協議会を設置へ
・日本総研「安倍新政権の子ども・子育て支援政策への期待」
・【第2次安倍内閣】2014年度以降に所得制限 高校無償化で下村文科相 世帯年収700万円以下?
・下村博文公式WEB「高校無償化の自民党の対案」

Rhythmoon編集部

Writer Rhythmoon編集部

Rhythmoonでは、フリーランスに役立つ記事を執筆してくださる女性フリーランサーを随時募集しています。詳細はこちらから問い合わせください。

Rhythmoon編集部さんの記事一覧はこちら