第12回 「子どもはお金がかかる」の罠

卒業・入学シーズンですね。晴れ晴れとした笑顔のママとキッズを見かけると、思わずおめでとう!と言いたくなっちゃいますね。希望に満ちあふれた春ではありますが、学費や新生活に向けて出費の増える季節でもあります。前回取り上げた教育費について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

「子どもを生むと、いくらかかるのか」「教育費ってどれくらい貯めればいいの?」というのは、子どもがいてもいなくても常にホットな話題です。「一人生むと最低2000万円必要」「オール公立でも1000万はかかるらしいわよ」なんて会話を、何度してきたことでしょう。
多くは、発表されている子育て費用データを参考にしているわけですが、最近これが「子どもはお金がかかるトラップ」を作っちゃってるんじゃないかな、と思うのです。統計によって、どこまでを子育て費用にしているか、実は結構違いがあるんですよね。でも将来のこととして考えるときって、だいたい多めの額で試算しがち。そこに「子どもの妊娠・出産から子どもが大学を卒業するまでの子育てコストは、合計で 2,360 万である」(財団法人こども未来財団「平成 17 年度 児童関連サービス調査研究等事業報告書」)とか書かれると、うわ大変、お金ないから子どもなんてムリとなったり、奨学金や教育ローンに走ったり、となってしまうのではないかと思うのです。

この子ども未来財団の統計、よく引用されてますけど、公共民間さまざまな統計から算出した、あくまでも「推計」です。よく見ると、学費や塾代などのほか、食費や衣服、レジャーなど生活費、さらに子どものための預貯金や保険まで入っています。例えば小学校低学年の1年間の費用は170万4867円ですが、学校教育費15万1547円、家庭教育費55万3774円、食費等の生活費47万3,154円で、預貯金が40万9,788円です。食費は「国民生活白書」から子育て世帯を抽出して試算てことだから、家族全員の食費ってことですよね。貯蓄まで全部まとめて子育て費って言う?乱暴だなー(笑)。

さらに世の中最新のデータばかりが出回っているわけではなく、新しい制度を反映していないものもみられます。ここ数年、児童手当や高校無償化など子育て費に変化がありますから、古いデータを丸呑みしない方がいい気もしてます。ちなみに文部科学省「平成22年度子どもの学習費調査」では、2010年導入の高校授業料無償化が反映していて、2008年に35万7000円だった公立高校の学校教育費が2010年に23万8000円に減少、私立高校も就学支援金や授業料軽減助成のため、78万3000円から68万5000円と下がっています。

わりと信頼できそうな文科省統計ですが、これも学費や教材費など学校に必ずかかる「学校教育費」と「給食費」、塾や課外活動などの「学校外活動費」の項目があり、これらの合計を「学習費」としています。「教育費」として引用されるのはだいたいこの学習費ですね。学校外活動費はあくまで任意の費用だけど、かかる割合としては相当高い。幼稚園から高校までオール公立の場合、学校教育費と給食費で223万円だけど、学校外活動費が入ると504万円と倍以上。オール私立だと1150万円が1702万円と、活動費だけで公立の学習費くらいかかっちゃってます。私立に行くということは、学費だけじゃなく習いごとを存分にさせる財力が必要、ということですね。

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※幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学校教育費と給食費の合計(文部科学省「平成22年度子どもの学習費調査」より)


「教育費にお金がかかる」トラップ、いやトリック?にはまると、冒頭に述べた通り過剰な教育費捻出対策につながってしまうのでは、とみているわけです。前回ふれた奨学金もそうですし、くせ者なのが教育ローン、と聞きます。代表的な日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、融資限度額300万円、返済期間最長15年で現在の金利2.45%(母子家庭など優遇制度あり)。「国の」とあるだけに比較的負担が少なそうですが、収入証明が必要など審査も厳しいらしく、民間機関の「教育ローンの審査に落ちた方へ」なんてサイトを見つけました。民間の教育ローンは返済期間が10年程度と短いものが多く、そのわりに限度額500万円など多く、金利も高め。子育て世代は住宅ローンを支払っている世帯も多いでしょうから、二重ローンになってしまいます。厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査」によると、調査全世帯の平均借入金額が441万7000円なのに対し、児童のいる世帯は867万4000円と倍近いのが、それを物語っているのではないでしょうか。

暗い話になっちゃいましたが、子どもは意外と早く育ってしまい、教育費がかかるのも永遠じゃないんですよね。いつかは巣立っていくと思えば、過剰な期待や借金より、別な視点で子どもと接した方がいいのかなー、なんて子育ても中盤すぎになって感じてるのでした!

<参考文献>
財団法人こども未来財団「平成 17 年度 児童関連サービス調査研究等事業報告書」
文部科学省「平成22年度子どもの学習費調査」
国の教育ローン

Rhythmoon編集部

Writer Rhythmoon編集部

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