第13回 「学資保険に入った方がいいか」の哲学

前回は「教育費はどれくらいかかるのか」について考えてみました。世に出回る、"子ども一人生むと何千万円かかる"とかのデータを鵜呑みにしないほうがいいですよー、とはいったものの、教育費が完全に無償ではない日本ですから、まったくかからないわけではありません。2012年の大学・短大進学率は58.7%と5割を超え、専修学校なども含めると80.9%が高卒後進学しています(*1)。うちは高学歴じゃなくても、人並みでいいんだけどといっても、人並み=平均が、今や大学進学になっています。大学は国公立でも4年間で約214万円かかりますから(*2)、まとまった教育費が必要になる家庭が半数以上ある、というわけですね。

*1 Gabagenews.com 「大学・短大進学率は58.7%」
http://www.garbagenews.net/archives/2051741.html
*2 Benesseマナビジョン「大学入学後にかかるお金」
http://manabi.benesse.ne.jp/parent/okane/hiyou/hiyou_02.html

そんなわけで、人並みに大学に行かせたい、それくらいの準備をしたい、という方がまず想像する教育資金対策が、「学資保険」だと思います。「学資」とついてるし、「保険」というくらいだから、これさえ入っていれば将来に備えて安心できる感じもしますしね。私も実際郵便局(現・かんぽ生命です)の学資保険にとりあえず入って、「これで教育費対策はクリア」って、達成感を持っていた気が......。実はそんな人も多いのではないでしょうか?

かつては学資保険というと、この郵便局→かんぽ生命が代名詞でしたが、今は民間の保険会社も同様の商品を出していて、その数も種類もどんどん増えています。あらためて「学資保険」とはどんな保険なのか、おおよその特徴をあげてみます。

  1. 定期保険である(保険期間が決まっている)
  2. 満期時に満期保険金を受け取ったり、契約期間内に入学祝い金を受け取ったりできる
  3. 契約者となっている親が亡くなると、それ以降の保険料が払込免除になる
  4. 元本割れの可能性もある

つまり、積み立てていれば途中でお祝い金や満期金はもらえて、万が一があったら保険料は払わなくても保険金は受け取れるけれど、払った分より多くもらえない場合もある、ということ。

え、元本割れ? 積み立てた額よりもらえる金額が減るってこと?と驚きますよね、ふつう。でも実際学資保険の払戻率のランキングをみると、100%未満、つまり元本割れの商品が少なくありません。(*3)

*3 最速資産運用「学資保険の払戻率ランキング」
http://ma-bank.net/word/61/

確かに学資保険は、将来の教育費を貯めるつもり、積立金のつもりで入るというのが普通の感覚だと思います。だけど、これ「保険」であって、「貯金」ではないんですよね。保険なので、契約者である自分に万一のことがあり保険料が払えなくなっても満期保険金は保障される、というわけです。保険料免除の他、毎年養育年金を支払うというものもあり、そういう手厚い保障を織り込んだ商品に、元本割れのものが多いようです。

逆に返戻率が高い商品は、途中で入学祝い金をもらわなかったり、保険契約期間が長かったりするようです。返戻率1位の保険は、大学入学の年齢から毎年1回計5回保険金を受け取るというもの。満期前に祝い金を受け取ったりすると、もらえる合計の金額は下がります。もちろん「祝い金」といっても、保険会社がお祝いしてくれるわけじゃなく、自分が保険料として支払った中から早く引き出すというだけですから、それは利息分は減りますよね。

長く保険会社に預けておけば将来もらえる金額は増えるけど、何かあったときのためを考えたり、子育て期間もまとまった額がほしいと思うと満期金は減る。そう考えると、早い段階での教育費に活かすためのものではなさそうです。小さいお子さんがいる若いママパパには、「将来の選択肢の幅を広げてあげたい」「そのために十分な教育を受けさせたい」と、習いごとや塾、私立小中高受験、留学などを視野に入れ、そのために学資保険、と思われる方も多いでしょうが、それはちょっとミスマッチ、といえそうです。

以前出会ったファイナンシャルプランナー氏は、「保険は哲学の世界」と言っていました。だから自分の価値観で判断するしかない、そのためには商品を理解することが必須、とのことですが、結構これも大変ですよね。保険って難しいし。それに、だいたいの人が生命保険に入ってますよね。働き盛りだと結構な保障額になっているかもしれず、さらに学資保険で保障を厚くする必要があるのか。その辺も総合的に考えた方がいいでしょうし、その時間と労力を考えて、いっそ教育費は保険ではなく積み立てで貯める、という考え方もあるかも。子どもがどう育つか、いつお金が必要になるのか、ほんと予測できないですから、保険入ってハイ安心、とはならない、というのが経験者の意見です(苦笑)。

Rhythmoon編集部

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