より指名されるライターになるためのカメラレッスン-前編

最近、ライター仲間の間で話題になるトピックは、「撮影もライターさんの方でお願いします」「写真素材も込みで入稿してください」といった依頼が増えている、ということ。そう、デジタルカメラの普及によって、いまやライターにも撮影スキルが求められる時代になってきているのです。いい写真が撮れるようになれば、お仕事の依頼が増える可能性だってあるかも!?

プロのフォトグラファーにはもちろんかないませんが、「ちょっとしたコツを押さえれば、記事の魅力がより伝わる写真が撮れるようになれますよ!」と話すのは、出張撮影で授乳フォト・家族写真の撮影のほか、子育て中の女性のための一眼レフカメラレッスンを開催しているバロンフォトワークの多田直子さん
今回は、カメラ初心者向けに、撮影スキルアップのちょっとしたポイントを教えていただきました。もちろん、ライター以外の方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※使用カメラは、コンパクトデジタルカメラ、ミラーレス一眼レフカメラ、一眼レフカメラを想定しています。

【準備について】

Q. 今、デジカメを持っていません......。スマートフォンで撮影してもよいですか?
A. スマートフォンでの撮影は基本NGと考えましょう。
スマートフォン内蔵のカメラの性能はどんどんよくなってきていますが、スマートフォンでの撮影では、取材相手もちょっと拍子抜けしてしまいますよね。"取材させていただくという体"なので、最低でもコンパクトデジタルカメラでの撮影が望ましいです。
Q. 事前に忘れずにチェックしておいた方がよいことはありますか?
A. バッテリーや記録メディアの残容量チェックを。
取材準備がいろいろとあると思いますが、バッテリーと記録メディアの確認だけは忘れずに。「当たり前すぎる!」と思われるかもしれませんが、私が主宰するカメラレッスンでも、「充電忘れた!」「メディアがいっぱいだった」と焦る参加者の方が時々いらっしゃいます(笑)。「大丈夫!」と思っても、念のため確認するようにしましょう。

【撮影について】

Q. 被写体の方が座る場所はどのように決めたらよいですか?
A. 室内撮影では、窓際などなるべく明るい場所を選びましょう。
室内撮影では、自然光が入る窓際の明るい席に座ってもらうと、シャッタースピードが早くなってブレ写真を防ぐことができます。
Q. 背景に何を入れて撮ったらいいのかわかりません。
A. その人の活動を象徴するようなものと一緒に撮影するとよいでしょう。
記事の中で使用する人物写真の場合、プロフィール写真のような人物だけの写真では、ぱっと見、何をしている方なのかが伝わりにくいことがあります。その人の活動内容がわかるものを、例えば、セラピストであれば、カウンセリング時に使用する資料などを手元において、一緒に撮影するとよいでしょう。
Q. 表情がどうしても固くなってしまいます。
A. 手に動きをつけて、撮影してみましょう。
取材に緊張している方も多いので、表情や体がどうしても固くなりがちです。そんなときは、机の上で両手を組んでもらったり、手に少し動きをつけてもらったりするだけで、違った雰囲気になります。わざとらしいくらいがちょうどよいです。
Q. なかなかいい笑顔が引き出せません。
A. 口角を上げるようにお願いしてみましょう。
Webページだと、大きくてもせいぜい長辺10cmくらいのサイズで掲載されるので、微笑む程度では笑っている表情が伝わりにくいことも。わざとらしいくらい笑ってもらうのがちょうどよいのですが、「笑って下さい」とお願いするとかえって表情が引きつってしまう人が多いもの。そんなときは「お口のはしをもう少し上げてもらってもよいですか?」と声をかけてみると◎。「目元のシワが気になる」なんて言われたら、「小さいので目立たないです」と、すかさず切り返しを!

構図について

Q. 最低限押さえておいたほうがよい構図があれば教えてください。
A. 掲載ページの構成案を確認しましょう。
ページのフォーマットが決まっているのであれば、使用する画像が縦位置なのか、横位置なのか、記事本文に対して写真が左右どちらに入るのか、画像上にテキストが配置されるのかなど、あらかじめ確認しておきましょう。
とくに決まりがない場合は、人物に関しては、右向き、左向き両方を押さえておくとよいでしょう。また、人物にフォーカスしたいときは、縦位置で撮影を、店舗の様子やその場の雰囲気を一緒に伝えたい場合は、背景情報を入れて横位置で撮影するとよいでしょう。
Q.建物と人物を一緒に撮る場合のポイントを教えてください。
A. 遠近法をうまく利用してバランスを調整しましょう。
まず、建物全体が入るように撮影場所を決め、その後、適切なサイズで人物が入るように、人物の立ち位置を決めていきます。スマホで自撮りするときには、自然とこの遠近法を使って撮影しているはず! 建物、人物のバランスを見ながら調整しましょう。

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よく撮ってしまいがちな構図。顔が小さくて見えませんね。

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看板よりも数メートル前に立ってもらって撮影。富士山の雄大さと一緒に、顔の表情もよくわかる思い出の一枚に。

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遠近法を使えば、こんなお遊び写真も。

Q. 変わった構図にもチャレンジしてみたいのですが。
A. 斜め撮影をアクセントにしてみては?
斜めの構図にすると、写真にダイナミックさが生まれます。ただ、斜めの写真ばかりが続くと人の目は疲れてしまうので、数あるうちの一枚としてアクセントとして使用しましょう。

基本中の基本のポイントをご紹介しましたが、いかがでしたか? 後編では、さらなるスキルアップポイントをご紹介します。お楽しみに!

今回お話をお聞きした方

tada.jpg多田直子さん フォトグラファー/「出張撮影バロンフォトワーク」代表
『30年後も見たくなる家族写真』をコンセプトに、 子育て中の女性フォトグラファーたちがご自宅へうかがい、 これまでに1500組以上のご家族を撮影している。 中でもバロンフォトワークがはじめた『授乳フォト』は新聞にも取り上げられ、 注目が集まっている。撮影のほか、 個展「Life~30年後も見たくなる家族写真」ホテル日航東京(お台場)(2013年5~6月) 、こどもちゃれんじ(ベネッセ)の撮影 ・筑波大付属小学校「写真」総合学習(2012年 桂聖学級)、ママ向けカメラ教室、幼児向けワークショップ など、各方面で活躍中。8才の男の子、5才の女の子を持つフリーランスマザー。
●リズムーンで掲載した多田直子さんのインタビューはこちらから>>
●「出張撮影バロンフォトワーク」のサイトはこちらから>>

オノリナ

Writer オノリナ

合同会社カレイドスタイル代表
心を動かす価値ある情報やモノをキュレーションして届けたい!という想いのもと、国内外のネットワークを活かして最適なチームを組みながら、企業のメディア運営やサイト制作、ECストア「24rhythm」などのWeb関連事業を手がけています。人生を欲張りに味わい尽くしたい3児の母、リケジョWeb編集者。趣味は卓球。

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