日常会話でできる「英語で考えられる脳」の鍛え方

こんにちは。フリーランス映像翻訳者のキャッチポール若菜です。
私が昔、英語ブログを始めた2006年頃には、この「"よろしくお願いします"を英語で言うと?」というネタはかなり新しいものだった覚えがあります。今ではネット上でもさまざまな人が話題にしていますが、私は訳としてというよりは、その考え方にフォーカスしたいと思います。

さて、「よろしくお願いします」と言ってペコリと頭を下げているような場面と言ったらやはり挨拶ですね。こんな例はいかがでしょう?

【例1】初めて会う人との挨拶。新居先でのご近所さんへの挨拶、会社で訪問先への挨拶

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"Wisteria Lane Houses 2/3" by C.K. Koay

できるだけ日本語と同じ長さになる英語にしてみました!

A: ○○と申します。 A: Hi, I'm ○○.
B: どうも。○○と申します。 B: Hi. I'm ○○.
A: よろしくお願いします。 A: It's very nice to meet you.
B: こちらこそ。 B: Likewise.




「ほんとに同じなの~?」という感じが残る人もいるかもしれません。
まぁ当然と言えば当然で、「○◯を英語でなんて言うの?」と聞くときには、どうしても単語ごとに英訳が入っていて欲しいと願うものです。そうすると、「よろしくお願いします」は何かをお願いしている、ということなので、単語ごとに訳語を入れようとすると、"(Do something) well, please"(何かをよろしくやって、お願い)みたいになってしまって、言われた方は何のことだかさっぱりわからなくなってしまいます。
ただ、覚えておきたいのは、やはり人として好意を示すために何か言いたい気持ちは英語でも日本語でも一緒だということです。

上の例では、日本語の方は「これから何かとお世話になること」を「お願い」したいのに対して、英語では「出会えたことは良いことですね」だから「この先お互い何かとお世話になるでしょうね」ということを含みたいところなのです。
こうなると、何語の方があいまいだなどと言ってられなくなりますね。

もう一つ例を出しておきましょう。

【例2】まさにこれから一緒に何かをする、気合いの「よろしくお願いします。」 

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"A stage show during PGA 2007" by włodi

まさに今から舞台で歌おうとしているシンガーグループ、今から試合に出るチームメイト、これからプレゼンをするぞという同僚達。

A: はい、次だよー! A: OK, we're next!
OTHERS: よろしくお願いしまーす! OTHERS: Let's have fun!




こちらも「それでいいの~?」と思われる人がいるかもしれません。

この場合、日本語で「お願い」している内容は何でしょうか。
何となく「協力」を促している、と感じるのは私だけでしょうか。
「一緒にいて下さいね」という気持ちは良い結果を望むからですよね。

たまたま上の例ではこの「良い結果」を"fun"と表しましたが、ほかにも色々考えられるかとは思います。
"Let's show them what we got!" とか "Let's go for it!", "Let's do it!", "OK, let's go!" なーんていうのも自然です。

英語でも日本語でもやっぱり人と人とのコミュニケーション。一見、曖昧だなぁと感じる表現でもその言葉の中身を見て、実際には何を伝えたくてこういう言い方が出てきたんだろう?と考えるようにすると、「日本語にしかない」または「英語にしかない」と思われる表現でも何とか伝えられるようになってくると思います。

ちなみに私が英語を学び始めた12~13歳の頃、"red"=「赤」や、"beautiful"=「美しい」など、完全にマッチする表現は別として、"Nice to meet you":「よろしく」のような例文を見るといつも「どうして同じシチュエーションにかかわらず、日本語では『よろしく』と言うのに、英語では『会えてよかった』と言うのだろう。そもそも『よろしく』って何だ?」などいろいろと考えていました。そういうのが、後に「英語で考えられる脳」になるのに大いに貢献したんじゃないかと思います。英語でも日本語でも違和感なく表現できるようになるための大事な一歩かなぁと思います。

ボーダレスマインドでいきましょう。

※この連載のバックナンバーはこちらからご覧ください。

ヘッダー画像:"A meeting" by Kristina Alexanderson

キャッチポール若菜

Writer キャッチポール若菜

映像翻訳者
イースト・カロライナ大学 音楽学部を卒業後、外資系企業のマーケティング業に約8年間携わり、現在ではフリーランスで字幕翻訳、エンターテイメント系通訳業に従事。親族全員で5カ国の国籍が集まるインターナショナルな家族を持つ。リズムーンでは、「英語でつかむボーダレス・マインド」を連載中。
http://www.nlc-jp.com/

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