企業とのお仕事では「著作者」は誰になるの?

20141105_hasegawa_1.jpgみなさん こんにちは。弁護士の長谷川千代です。
編集部ブログにも書いたのですが、先日十月花形歌舞伎「GOEMON」を観に行ってきました。そして、せっかくならばと歌舞伎の石川五右衛門の「絶景かな 絶景かな」というシーンで有名な南禅寺の三門まで足を伸ばし、絶景かな~って言ってきました(笑)。紅葉も少し始まっていてきれいでしたよ。

さて、今月は「職務著作」についてです。

フリーランスは会社に所属していないのだから職務著作は関係ないんじゃないの?って思われるかもしれません。しかし、場合によっては職務著作の規定の適用がある場合も考えられますので注意しましょう。

まずは条文を見てみましょう。著作権法15条は以下のように定めています。

1.法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

2.法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

この条文によれば、職務著作にあたる場合は、法人等が著作者となることになります。著作者が法人等ということになれば、著作権だけでなく著作者人格権も法人等に帰属することになります。

この条文から導かれる要件は、

①法人等(法人その他使用者のことをいいます。)の発意に基づき

②法人等の業務に従事する者が

③職務上作成する著作物であること

④法人等の名義で公表されること(プログラムの著作物の場合はこの要件はありません)

⑤作成時に別段の定めがないこと

の5つになります。

この中で、②の要件にあたるか否かがフリーランスでも職務著作の適用があるかいなかの分かれ目となってきます。法人等と雇用契約がない人も②にあたるかについて見解は分かれているのですが、最高裁判所は平成15年4月11日の判決で、以下の基準に従って判断しています。

(ⅰ)法人等の指揮監督下において労務を提供するという実態があるか、

(ⅱ)法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合考慮

これらの基準は、場合によってはフリーランスにもあてはまると思います。あてはまる場合は、上記の①、③、④、⑤の要件も満たす場合は、職務著作と言われうるのです。

著作者をフリーランスの方ご自身にするためには、著作者は自分であるという契約をしておくことで⑤の「別段の定め」になりますので、契約書にその旨を入れて争いを予防しておくようにしましょう。

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長谷川千代

Writer 長谷川千代

弁護士
2010年司法試験合格(選択科目:知的財産法)。第二東京弁護士会所属。現在、後藤正志法律事務所に所属しているが、独立採算型をとっておりフリーランスといえる。民事事件から刑事事件まで広く取り扱っている。
・「フリーランスのための法律相談所

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