室内温度も定められているフィンランドの住居法

20140108_finland_1.jpg「えー?!フィンランドへ移住?ひぇー寒そうですねー」「なんでまたそんな寒いところへ?」

これは、私が移住すると言った時に寄せられた言葉で、私の人生で「寒い」という言葉を浴びたのは、このときが一番だったと思います。

それほどフィンランドという国のイメージは、寒いのでしょうか。

いや、実際に寒い。確かに、寒いです! 日本より緯度が高いですから、当然ですね。

しかし、普段家の中で過ごしている分には、全く寒くありません。底冷えなんてない。顔だけ暑くて足元が寒い、なんてこともない。なぜなら、家中がセントラルヒーティングで暖められて、四六時中、室内温度が21度に保たれているのです。

21度の快適室内で仕事も育児もラークラク

これは、フィンランドの住居法「Rakennusten sisäilmasto ja ilmanvaihto(室内温度と換気についてのガイドライン)」において、人が住む建物の室内温度は常に21度と定められています。それを下回るもしくは維持できない場合は、人間の住居と見なされず、倉庫などの物置場と同じ建物として扱われることになっています。

この温度を維持するために壁に断熱材を入れ、窓は全て二重または三重窓にします。我が家の全ての窓は二重窓ですし、玄関のドアとは別にもう1枚扉が付いているので、外気温がマイナスの日などにはこのドアを閉めることが多いです。

この窓および窓枠についても先のガイドライン内で定められています。
窓枠は木材で造り、窓の断熱性能を「熱貫流率」という指標で表しています。この数値が小さいほど断熱性能が高いそうです。フィンランドの数値は1.0ですが、日本は残念ながら基準値が存在しないようです。

それもそのはず。東京に住んでいた頃、秋口になると、物理が得意な夫が隙間風テープやら緩衝材(通称プチプチ包装)を大量に買い込むのが我が家の恒例の防寒対策でした。全ての窓枠(レール)にこのテープを貼って隙間風対策。窓には緩衝材を貼って防霜対策。

そう、ご存知の通り現在の日本の窓枠の大半はアルミニウムです。夫が日本で暮らし始めたときにこれは大きなショックだったそうで、ハイテクノロジーの日本がこんなところがローテクだなんて! そんなの人間の住む家じゃない!と発狂していました。

そんな東京の家とうってかわってフィンランドの家は常時21度。出かける際に暖房のタイマーなんて設定しなくても、玄関のドアを開ければそこはもう21度。子どものお風呂上がりだろうと湯冷めなんて全く気にしない。仕事部屋だろうが寝室だろうが、どこでも同じ21度(暖炉やサウナを焚けばさらに2、3度上がります)。

北欧も温暖化!?

このように防寒対策バッチリな北国の建物ですが、突然の猛暑には当然太刀打ちできませんでした。2014年のフィンランドの夏は暑く、30度を超える日が数日間続き、窓が20cmぐらいしか開かない我が家の二重窓には困りました。風通しがなく、換気をしてもほんのわずかに涼しいと感じるぐらいで、断熱材がしっかり入った建物には生温い空気が部屋中に停滞したまま。

これはもう気候温暖化の影響を受けざるを得ない状況であることは、確かですね。
現に先日フィンランドの気象庁から、フィンランドの平均気温が過去166年の間に2度以上上昇したことが発表されました。これは、世界の平均気温の上昇率と比較すると、約2倍もの早さで上昇したとか。

そうなると、もしかしたら数十年後のフィンランドの住居法からは、「室内温度設定21度」という文言が削除され、代わって真夏の暑さに対応できるように「窓の開閉サイズは20cm以上」や「断熱材の厚みは◯◯cm以内」などという文言が追加されているかもしれない。

なんてことを21度の室内でぬくぬくと思いをめぐらせながら、とりあえず長い極寒の冬を過ごすことにします。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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