グローバル時代に生きるとはどういうことか

20150326_catchpole_1.jpg

photo by TungPB via GATAG

もうすぐ4月。新社会人となる人たちは、すでに研修が始まっているのではないでしょうか。
国際化の意識の高まりとともに、英語ができる人、海外生活を経験した人を積極的に採用する企業が増えています(日経産業新聞2015年2月20日)。

そして毎年必ず、いわゆる「常識はずれな新入社員」をネタにする記事やコメントがどこかでフィーチャーされるのですが、最近ではここに、帰国子女や留学経験者に関する困ったネタが見られます(『「留学経験者はポンコツばかり」グローバル人材採用担当の嘆き』日刊SPA!2015年1月22日)(『「英語ができて、仕事ができない」若手社員たち』現代ビジネス2014年4月30日)。こういう記事が出ると、決まって「わかるわかる!」と同調する声と、「そんなことを言っているから国際化が進まない」と批判する声の両方が聞かれます。

社会人になる直前までアメリカに暮らし、国際結婚を経て帰国したあと、逆カルチャーショックを経験した私にとっては、後者のような意見を持つ人がいてくれることはありがたいのですが、最近、とくにフリーランスになってからは「それではダメだな」と思い始めました。「ダメだな」と言うのは、味方になってくれる人たちの中だけで満足することが、です。とくに新社会人の場合はなおさらで、この先さまざまな人と出会い、さまざまな仕事を経験する身として、自分が一番楽でいられる人たちとだけしか仕事をしていけないようでは困るからです。

海外で生活を始めたとき、自分の国とは違う文化を受け入れ、周りにある程度合わせながら、自分にとって心地いい環境(comfortable zoneと呼びます)を作り上げていったはずです。そんな時、個人個人の異文化を学ぼうと努力しようとする姿勢や、優しい性格や明るい性格はプラスに働いたのではないでしょうか。「留学経験者」と呼ばれる人が、日本の社会に出た時に違和感を感じたのなら、海外文化を自分のものにしたように、日本の文化も自分のものにし、新しいcomfortable zoneを作り上げることができるはずです。

世の中は多様性であふれている

上記で挙げたような記事を読んでいつも違和感を感じるのが、ちょっと違う感覚を持った人に対して「使えない」とか「~かぶれ」だとか、はたまた「ポンコツ」だとか、必要以上にネガティブな形容をしているところです。留学経験者だけにとどまらず、世の中にはいろいろな考え方を持った人たちが多くいることを、もうそろそろわかっても良い時代に来ているように思います。多様性を認め、しっかりと誠実に、習慣の違い(国の、会社の、個人の)を伝える時間を設けるべきです。

最近、「外国人の部下に"机をきれいにして帰れ"と言ったのに、何もなされず、"机の上にはパソコン以外は置かないこと"と指示を出したら机の上がたちまち片付いた」といった内容の記事を読みました(『「何で言ったことを実行しないんだ!」外国人部下の扱いに困る日本人上司の苦悩』DIAMOND ONLINE)。これこそコミュニケーション力が試されるところです。多くの人が「きれいにしてと言ったのに......。あいつはダメだ」と切り捨てているのではないかと思います。切り捨てられた方としては、半信半疑のまま「あの人はなぜか自分のことが好きではないらしい」と感じ、距離を置くしかありません。

私がもったいないと感じるのは、本当は才気あふれる若い人が、ゲームのルールを知らなかったせいで即退場になること。一度苦労して、ルールを知りそこでのマナーを身につけてしまえば、そこから「自分らしさ」をアピールしていくことができ、好きな働き方、生き方をしていくことができると思うのです。

まずは観察し、知ることからはじめてみる

先日、翻訳業界のフォーラムに参加する機会があり、ベテランの翻訳者さん達が気を使っていること、クライアントとしてフリーの人に期待することなどについて聞く機会がありました。基本的な翻訳能力はもちろんですが、その人の人柄(謙虚である)、対応力(誠実・丁寧など)、その人らしさからくる部分が仕事を支えていることがわかりました。

グローバル時代に生きるということは、どこの国に住もうと、生きていかなければならないということだと思います。
新しい環境に身をおいたら、すぐに「なにそれ、バカみたい」と切り捨てず、そういう習慣が必要とされるのにはそれなりの理由があることを覚え、まずは「そういうもんか」と観察し、知ることからはじめてみましょう。

そして受け入れる側も、自分とは違う人に出会ったときに粗探しの目線はやめ、多様性を認め、相手に知ってほしいことがあるなら知ってほしいと伝えてください。

ボーダレス・マインドで行きましょう。

【お知らせ】

4月5日(日)14:00~16:00、日本映像翻訳アカデミー東京校主催の『翻訳者としてのこれからを考えるセミナー』に、キャッチポール若菜がパネリストとして登壇します。映像翻訳に興味のある方、既に翻訳者としてフリーランスをされている方、今後の学習方法についての悩みや、あなたの翻訳者としての将来像を描くのにも有効です。ぜひ、ご参加ください

※このコラムの感想や英語に関する質問なども随時受け付けています。こちらからぜひお寄せ下さい♪
※この連載のバックナンバーはこちらからご覧ください。

トップサムネイル画像:"The Travel-House" by Shena Tschofen

キャッチポール若菜

Writer キャッチポール若菜

映像翻訳者
イースト・カロライナ大学 音楽学部を卒業後、外資系企業のマーケティング業に約8年間携わり、現在ではフリーランスで字幕翻訳、エンターテイメント系通訳業に従事。親族全員で5カ国の国籍が集まるインターナショナルな家族を持つ。リズムーンでは、「英語でつかむボーダレス・マインド」を連載中。
http://www.nlc-jp.com/

キャッチポール若菜さんの記事一覧はこちら