原発再稼働差止め仮処分の"仮処分"って何だろう

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photo by onigiri-kun via GATAG

みなさん、こんにちは。弁護士の長谷川千代です。
急に暑くなってきて、すぐに夏になるんでしょうね。春ってこんなに短かったでしたっけ......?

さて、今回は前回の続きで下請法について書こうかと思っていたのですが、先月14日に大きな仮処分決定が出ましたので、それにちなんで「仮処分」についてざっくりですが書いていこうと思います。

4月14日に、高浜原発3・4号機再稼働差止めの仮処分決定がされました。
この「仮処分決定」って何でしょうか。

その名のとおり"仮"の処分です。では、何の"仮"なのでしょうか。本案訴訟と言われる、何らかの請求をする訴訟の判決の"仮"です。ただ、"仮"といってもそうそう簡単に認められるものではありません。"仮"であっても処分を受ける方はその行動等に制約を受けることになるのですから、簡単に認められては困るのです。

裁判には民事事件と刑事事件がありますが、仮処分が出てくるのは民事事件の方です。民事事件で訴えを提起するとき、何らかの内容を求める請求をすることになります。しかし、裁判はなかなか時間がかかります。その時間がかかっている間に望んでいないことが起こってしまった場合、せっかく裁判を行ったのに望んでいない結果になってしまいます。そこで、裁判中に望まない状況が生じないように、本案の訴えを提起する前に、今の状況で止めておくために行うのが仮処分の申立てです。

仮処分の申立てをするには、その趣旨、保全すべき権利、保全の必要性を明らかにしてすることになり、保全すべき権利と保全の必要性は疎明しなければいけません。その申立てに基づいて裁判所は仮処分を認めるかを判断することになります。裁判所は場合によっては担保を立てさせることもできます。"仮"とは言っても、裁判所は疎明に基づいて判断するのです。

よって、高浜原発再稼働の差止決定も裁判所は疎明に基づいて判断しています。今回は、原発の差止めに絡めて説明したので、あまり身近でないことのように思われるかもしれませんが、仮処分というのは実に幅広く使われる制度です。時々、雑誌の出版差し止めなどを聞くことがあるかと思います。自分の権利が侵害されているのに出版されちゃう、というような場合にも仮処分の申し立ては使えるのです。

長谷川千代

Writer 長谷川千代

弁護士
2010年司法試験合格(選択科目:知的財産法)。第二東京弁護士会所属。現在、後藤正志法律事務所に所属しているが、独立採算型をとっておりフリーランスといえる。民事事件から刑事事件まで広く取り扱っている。
・「フリーランスのための法律相談所

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