すべての家庭に行き届くように。17歳まで続くフィンランドの子育て支援制度

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photo by Lara Cores via GATAG

今年の「母の日レポート2015」で「おかあさんにやさしい国」のトップの座をノルウェーに譲り2位になったフィンランドですが、すべてのお母さんを支える国の子育て支援制度は揺るぎないものです。今回は、その主な制度について簡単にご紹介したいと思います。

母親育児休暇 (Äitiysraha)

妊娠がわかるとまず、社会保険庁(KELA)へ妊婦であることを申請し、育児休暇105日間(約4ヶ月間)を取得する手続きを始めます。育児休暇は、出産50日前から取得できますが、少なくとも30日前から全ての妊婦は育児休暇に入ることが義務づけられています。開始時期は、勤務する職場や職種、妊婦の健康状態などによって決まります。育児休暇中は、国から補助金が支給されるため、妊娠前の収入を基にこの支給額が決定(※)します。
※フリーランスの場合は、前年度の年収を基に、失業中の場合は前職の収入か、 または、1日当たり一律24ユーロ(2015年度)の定額を適用すると定められています。

その後、妊娠が154日間(約5カ月間)継続されれば、病院かネウボラより妊娠が継続し出産の予定があるとの証明書をもらい、それをKELAへ提出します。これは、母親支援(Äitiysavustus)を受け取ることが目的です。支援内容は、ご存知の方も多いあの「マタニティーパッケージ」か、140ユーロの現金のどちらかを選ぶことができます

ちなみに我が家はマタニティーパッケージを選びました。初産ということもあり、なんといってもどんなものが支給されるのかが楽しみでした。KELAの調査によると、初産婦の9割方がこのパッケージを選ぶようですが、経産婦になると現金を選ぶ人も出てくるようです。

両親育児休暇(Vanhempainraha)

これは、母親または父親のどちらかが(父母一緒には取得できない)休暇を取得することができます。母親育児休暇が終了した直後から158日間(平日のみ換算)取得でき、生後9カ月の時点で終了します。休暇中に国から支給される補助金の金額は、取得する人の収入を基に決定します。

父親育児休暇(Isyysraha)

父親にも育児制度を取得する権利があり、子どもの母親と同居している父親に適用されます。適用条件は、母親が就業中であること。そして父親はこの休暇を取得中、引き続き勤務先に在籍中か学生であれば学校在籍の人に限ります。父親が失業中の場合はこの休暇制度は取得できません。取得期間は12日間。母親育児休暇と両親育児休暇の間、またはこの両方の休暇が終了後に取得することができます。休暇中に国から支給される補助金の金額は、取得する人の収入を基に決定します。

続いて各種補助金についてご紹介します。

子ども手当 (Lapsilisä)

フィンランドに居住している17歳以下の子どもとその子どもと一緒に住んでいる両親に支払われる補助金です。出産翌月から申請すると毎月支給され、子どもが17歳まで支給され続けます。支給額は毎年見直され、2015年度は以下の金額が支給されています。

1人目:95.75ユーロ
2人目:105.80ユーロ
3人目:135.01ユーロ

4人目:154.64ユーロ

5人目:174.27ユーロ

*シングルマザー・ファーザーの場合は48.55ユーロ追加されます。

3歳未満の家庭保育への補助 (Kotihoidontuki)

両親または親族などが家で子どもを育てる場合に支払われる補助金です。「え?家で保育すると補助が出るの?」と驚かれる方も多いかもしれません。この補助は、各種育児休暇が終了してから3歳になるまでの期間、その家族に対して支払われます。

この支給額も毎年見直され、2015年度は一人当たり342.53ユーロと定められています。3歳未満の子どもがもう一人いる場合は、それぞれに102.55ユーロ追加されます。その他、家庭の経済状況によりさらに追加金が支給されたり、地域補助が支給される場合もあります。

ここまでが国民が受け取る補助金でしたが、母親育児休暇と両親育児休暇が終了する生後9カ月以降、保育園へ通園させる場合は、保育園へ保育料を支払うことになります。

私立保育への補助 (Yksityinen hoidontuki)

共働きの家庭が多いフィンランドでは、生後9カ月以降、母親がすぐに職場へ復帰する家庭も多いため、子どもを私立保育園、または家へ訪問してくる家庭保育士へ保育料を支払って、保育を依頼します。これはその保育料の補助金です。

2015年度は、1カ月当たり174.38ユーロですが、家庭の経済状況によりいくらか上乗せされる場合もあります。また、地域補助が出る場合もあります。

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すべての家庭に育児制度を

この他にも、養子家族、同性家族、シングルマザー・ファーザー、身体障がい児などへの補助金制度もあります。
さらには、妊娠154日間継続しても、もしその後に死産したり、逆に早産や母親の病気などで通常の出産ができない場合は、その状況に配慮した補助金が申請内容通りに支給される場合もあります。

企業で働く人は、育児休暇に入る前の収入や職種によって、休暇中も安定した収入が得られ、且つ職場復帰もある程度確保(保証)されているので、安心して子育てができるということを聞いたことがあります。また、養子家族や同性家族も近年増加傾向にあるため、そのような家族に対する子育て支援制度の整備も昔に較べて充実してきたといいます。

国民一人ひとりの消費税24%の納税がこういう目に見える形で手厚く受理できる制度であるからこそ、実際、私も育児休暇を取得し、経済的な心配をせずにのびのびと子育てが出来ているので、子育て中の親にとっては非常に助かる制度となっています。

私は現在、家庭保育を選択し家で子どもを育てています。日本で馴染みの薄いこの家庭保育について、次回詳しくご紹介しようと思います。

*1ユーロ:134円(2015/5/10)

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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