ソーラーパネルを「相乗り」して地球を守る!|NPO法人上田市民エネルギー

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。
「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。

第3回目の「未来へ紡ぐストーリー」は、市民が主人公の自然エネルギーを増やすプロジェクト「相乗りくん」事業を進めるNPO法人上田市民エネルギーの藤川まゆみさんにお話を聞きました。

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NPO法人上田市民エネルギーの活動について教えてください。

2007年に鎌仲ひとみ監督によるドキュメンタリー映画『六ヶ所村ラプソディー』を観たのがきっかけで、エネルギーの問題が「自分ごと」になりはじめました。この映画を観て、あらゆる問題を解決するカギの1つはコミュニケーションであると思い、それなら私にもできるかもしれないと、背中を押してもらったんです。その後、東日本大震災があり、意見を言うだけではなく、具体的に自分たちで自然エネルギーを増やしていこうと、2011年からはじめたのが「相乗りくん」という事業です。

「相乗りくん」とはどんな仕組みなのでしょうか。

「相乗りくん」は、信州の屋根や土地を舞台に、全国どこからでもだれでも参加でき、自然エネルギーを増やすことができる太陽光発電オーナー事業プロジェクトです。 信州は日照時間が長く、太陽光発電に適した地域です。そんな信州の中でも南向きで日当たりのよい広い屋根や土地をお借りして、そこに全国のみなさんに「あなたの太陽光パネルを相乗りさせませんか」と呼びかけています。

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相乗りしたい方、つまり、パネルオーナーはパネル設置費用として10万円以上ならいくらでも希望の金額で参加でき、売電収入を得ながら社会に自然エネルギーを増やすことができます。今現在、マンションやアパート、借家にお住まいでも、信州にお住まいでなくても、全国どこからでも太陽光パネルのオーナーとして相乗りできる仕組みとなっています。

10万円からパネルオーナーになれるんですか!?

はい。例えば、相乗りくん1号の上田市内のKさんのお宅の屋根には9.87kWのパネルを設置しましたが、Kさんが設置費用を出されたパネルは5.04kW分、あとの4.83kWは8人の方がそれぞれ10万円、50万円、100万円で参加されているんです。パネルオーナーは10年または13年の参加を選ぶことができ、その契約期間内に得られる売電収入の合計が参加した金額の1~2割増になると見込んでいます。寄付ではなくて、毎月の売電収入を得ながら発電に参加しているという手ごたえを感じていただけるのではないかと思います。

現在、どのような方がパネルオーナーとして参加しているのでしょうか。

そうですね、最初は信州の方が多かったのですが、最近は関東や関西など全国各地からご参加いただいています。「今、自然エネルギーを増やすために自分にできることがあるなら!」と、みなさん、申し込んでくださっていますね。参加時のアンケートには「銀行に預けて運用をおまかせするのではなく自分のお金を自分の意思で活かしたい」「自宅の屋根にパネル設置ができなくて残念に思っていたが、こんな仕組みの相乗りなら気軽に参加できる」などの声も聞かれます。

パネルオーナーさんには毎月の発電量や売電金額をお伝えするだけでなく、屋根や屋根オーナーさんについてもご紹介していますが、遠方から自分が相乗りしている屋根を訪れる方もいらっしゃったり、相乗りくんイベントで交流したり、顔の見えるコミュニティも育ちつつあります。

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養鶏場の屋根に太陽光パネルを設置している様子

屋根オーナーの場合、どんなメリットがあるのでしょうか。

屋根オーナーの方々は、「屋根を貸すことで貢献できるなら、使ってほしい」と言ってくださる方が多く、相乗りで最大限にパネルを設置することで初期投資の軽減や契約期間後のパネルの無償譲渡など経済的メリットも感じていただいていると思います。

活動をして嬉しいこと、反対にちょっと大変なことはありますか

取材をお受けすることも多いのですが、その時には、私だけでなくパネルオーナーや屋根オーナーの方にも一緒に話してもらうようにしています。私が説明するよりも、参加されているみなさんの言葉の方がリアルでパワフルだからです。なぜ参加しようと思ったか、参加してみてどうだったかなど、胸を張って話しているみなさんを横で拝見していて毎回感動しますし、とても嬉しいです。

大変なことと言えば、ビジネスや自然エネルギーに関してなんの経験もスキルもなく始めたので、毎日が大変です(笑)。でも、「わたしはこれをやる」と決めることで必要な人が現れ、必要な出来事が起こる、という体験をいくつもしました。そして、日本ではまだ始まったばかりの自然エネルギーを取り巻く状況のめまぐるしい変化に、日々鍛えられています。

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NPO法人上田市民エネルギーとして、未来に望むこと、未来へ紡いでいきたいことはありますか?

震災後、長野県上田市の私のまわりでは将来に渡ってもっとわたしたちがイキイキ暮らしていける地域を創ろうと分野を超えた人たちがつながり始めています。食、農、教育、雇用、平和、東北支援、エネルギー......。交流していくうちに分野は違っても目指す未来のあり方はとても近いことがわかってきたのです。分野を超えて関心を持ち合い、小さな違いはあっても、前向きな共感の種をみつけては応援しあうことが増えてきました。評論ではなくアクション、批判ではなく共感がお互いを成長させ、世界を変えていく原動力になるのではないかと思います。

読者の方にメッセージがありましたら、お願いします。

自然エネルギーは、これまで奪い合い戦争の原因になっていた化石燃料やお金に振りまわされずに、みんなが笑顔で自分らしく生きられる世界を作るためのツールだと思っています。自然エネルギーをこれからどう増やしていくかは、私たちが未来をどう創っていくかにつながっています。ですので、「自分にもなにかできないかな」と思っている方には、ぜひ「相乗りくん」に参加されませんか。ご自宅にパネル設置ができなくても、信州のよく発電する屋根にご自分の太陽光パネルを相乗りさせて、今使っている電気のいくらかでも、もしかしたら使っている以上に、社会に自然エネルギーを生み出すことができますよ

また、呼ばれれば全国のどこへでも行き、「相乗りくんカフェ」と称してエネルギーのお話会を開いています。私たちにできること、エネルギーのこと、暮らしのこと、もちろん「相乗りくん」の話も。なんでもお話しましょう。ぜひ声かけてください。

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上田市内の屋根オーナーさん宅で持ち寄りランチの交流会「相乗りカフェ」

Take Action!−いま私たちにできること

「エネルギーの話」は、私たちの毎日の生活に深くかかわるにもかかわらず、どこか難しくて、遠い話のように感じてしまうかもしれません。

だけど、一人ひとりが考えなくては、そして、行動しなくては何も変わりません。

自宅の環境やさまざまな条件によって太陽光発電に取り組むことができなくても、「相乗りくん」のように、太陽がさんさんと降り注ぐ場所に設置される太陽光パネルに相乗りという形で協力することで、「自分が使うエネルギーは自分で作る」につながります。

そして、もし、自分たちの作るエネルギーを自分たちですべて作り出すことができたなら、地球の大切な資源を、地球を守ることができるようになります。

地球のために私たちができること、改めて、考えてみませんか。

さあ、このストーリーを未来へ紡いでいこう。

今回ご紹介した団体情報

NPO法人上田市民エネルギー
http://www.dia.janis.or.jp/~nccca/ainorikun/

林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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