共働き家庭にうれしい「木曜日は豆スープの日」

「木曜日は"Hernekeitto"(ヘルネケイット=豆スープ)だよ」と移住前に義父から出されたスープ。「え? なぜ木曜日は豆スープなの?」。そんな疑問を持ちながらフィンランドに移住してきましたが、今ではたまに我が家の食卓にも並びます。今回は、この「木曜日は豆スープ」にまつわる話をご紹介したいと思います。

豆スープの歴史とは?

いろんな説があるようですが、端的に言ってしまえば、カトリック教時代の断食日が金曜日であったため、その前日の木曜日に、断食を乗り越えられるほどの栄養価が高いメニューを食べるということで、豆スープが国民の間に根付いたようです。

しかし豆ばかりでは、いくら栄養価が高いといっても素っ気ないもの。そこで、これに少量の豚肉を入れたものがフィンランドの豆スープとなりました。

豆は"Herne"(ヘルネ)と呼ばれ、見た目は日本のさやえんどうのようで、味はやや甘め。ちょうど今の季節、6月から8月ごろまでスーパーなどの店頭に出回り、日本の枝豆のように手軽に食べることができます。

nelikkoさん(@nelikko)が投稿した写真 -

スナック感覚で食べられる"Herne"(ヘルネ)

ちなみに隣国スウェーデンでは、黄色くて乾燥したエンドウ豆を使った豆スープ"Ärtsoppa"と呼ばれていて、同じように木曜日に食べることが習慣のようです。

公的機関や軍隊でも豆スープ

各家庭で作ることはもちろんのこと、現在では病院や学校などの公的機関に民間企業の食堂や街中のレストラン、そして、徴兵制があるフィンランドならではの軍隊でのランチメニューでも、毎週木曜日は決まって豆スープだそうです。

余談ですが、我が夫が昔、軍隊に入っていたときの思い出がこの豆スープ一色だったようで、徴兵が終わった瞬間にこの豆スープとおさらばできることがうれしかったというぐらい、きつい訓練中の豆スープほどイヤなものはなかったようです(一日の唯一の楽しみが食事、というのは世界中どこでも同じようです)。

現代の手抜きメニューのひとつ

「木曜日は豆スープ」の習慣は、私のような外国人からみると、日々の家事などを要領良く行う一つのアイディアだと感じます。だって、毎日三食、ないしは四食のメニューを考える手間が一つ省けるのですから!

実際、フィンランドは共働き家庭が多く、男性も女性も仕事から帰ってきて家事や育児をしなければならない時に「木曜日は豆スープ」と決まっていれば、簡単に準備して食べることができ、また少し大きくなった子どもに手伝ってもらったり彼ら自身が作ったりすることもできます。

とくに曜日を決めなくても、メニューをスープにしなくても、一週間に一度、何か決まったメニューがあると、食事を準備する人(大半は女性だと思いますが)はラクですよね。

+αのデザートもあり

しかし和食が主流の日本人からみると、これだけの食事では質素すぎて食べた気がせず、しかも、夕食の主食だなんてあまりにも寂しすぎる!なんて思うかもしれませんね。

同じようにフィンランドでもそう思ったのかどうか真相はわかりませんが、実はこの豆スープと一緒に"Pannukakku"(パンケーキ)をセットで食べるのが「木曜日は豆スープ」のメインメニューなのです。

「豆スープだけじゃつまんないよね」
「だったらデザートをつけちゃおうよ!」
「そうだね。もう断食の文化もないしね」

そんな会話が昔のフィンランド人から聞こえてきそうです。

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手作りも良いですがトコトン手抜きをするなら、スーパーなどで100円ぐらいで売っている豆スープの缶詰もあります。photo via MinttuKoo

最後に簡単なレシピをご紹介します。

フィンランドの豆スープのつくりかた

<用意するもの>
乾燥した豆 500g
水 21/2L
豚肉またはブロックベーコンやスモークハムなど 500g
塩 1テーブルスプーン
お好みで人参やタマネギ、胡椒などの調味料を少し入れても美味しいと思います。


<作り方>

1. 豆を洗ったらレシピの半分の水を大鍋に入れて豆を一晩浸します。
2. 残りの水を追加して沸騰させ、アクを取ります。
3. 肉とお塩を入れて2時間弱煮込みます。お好みでニンジンやタマネギをこのタイミングで入れます。
4. 肉が柔らかくなり、最後に味を整えたら完成です。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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