離職率が高い本当の理由は? 保育士問題の本質に迫る

保育士を取り巻く環境問題がメディアでも話題になっています。「国家資格なのに低賃金」「潜在保育士70万人」「保育士不足と離職の問題」「人間関係のストレス」など課題は山積みです。これに対し、保育園で組織開発コーチを務めた川添香さんは「賃金や働き方の問題は氷山の一角」と話します。保育園のコーチングで痛感した問題の本質。保育士がイキイキと自信を持って働ける未来を創ろうと発足した「保育園の笑顔を育てる会」について、代表の川添香さんをインタービューしました。

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千葉県を拠点に、関東エリアで組織開発を行うプロフェッショナルコーチ、川添香さん

なぜ、保育園の笑顔を育てる会を始められたのですか?

ある保育園の園長から「保育士に情熱がなくて困っており、改善したい」と依頼を受けました。コーチングの手法で傾聴すると、問題が表面的なことから本質へと向かいます。結論からいうと、情熱の問題ではありません。みな、子ども好きでやりがいを持って入って来ていました。なのに、いつの間にか、情熱の火が燃え尽きてしまったのです。理由は情熱が燃え尽きるような組織・システムになっていたからです。自ら情熱の火が燃える組織へと変換させる必要があります。これにはまず、現場で働く保育士の意識のスイッチをオンにし、セルフイメージを変えることです。長い目で継続的に支援したく「保育園の笑顔を育てる会」を発足しました。

私も保育士をしていたことがありますが、二度とやりたいとは思えません。たとえコーチが入ったとしても、ストレスが強すぎて言葉でうまく表現できるかが心配です。

心配はもっともです。時に、言葉は不便です。責めていないのに責められたように感じてしまったり、対立的になってしまったり......。なので、コラージュや絵、歌、物語など、言葉以外の表現も大切にしています。コーチはその組織の性質を見極めて、一番合う方法を選びます。繊細な部分を扱うので、安心して話せる場を作るプロセスが重要で、コーチ自身の感性が問われます。20151216_hoikuen_2.jpg

保育園での活動で苦労したことは何ですか。

時間と人の調整です。毎回10名の保育士さんたちが参加しました。保育士さんたちはギリギリの人数で働いています。保育業務に支障が出てはいけません。1回4時間かけたい内容ですが、実際は2時間が限界でした。

やってみての喜びはありましたか。

ワークショップを通じて、みなさんのつながりが刻々と深まっていったことです。初回はプレッシャーと闘いながら、孤立していた保育士さんが大勢いました。終了時には「保育園を第二の家と感じている」と、安心に満ちた笑顔に......。驚くほど変化と成長を遂げたのです。また、わたしたちコーチとの関わりを通じて、傾聴の素晴らしさを実感した、という声にも喜びでした。

保育園からの変化と感想はどうでしたか。

この園では「失敗してはいけない」「うまくやらなければならない」「お手本にならなければならない」という思い込みが強くありました。人間関係が壊れるのでは、という怖さから言いたいことを抑える傾向があり、壁となっていたのです。ワークショップ後は信頼関係が深まったことで、本音を話せるようになりました。これにより今まで職員間の人間関係に使っていた余分な労力を保育に注げるようになったとのこと。さらに、保育の質の向上につながったと感想をいただきました。

今後の活動ついて教えてください。

今後は保育園の笑顔育てる会として「保育園向け」と「保育士さん個人向け」の両方への取り組みを計画しています。保育士問題を改善するには、保育士さん自身が在り方を変え、セルフイメージをよくすることです。そのためのワークショップ・研修を企画しています。

興味を持った保育士が個人で参加できるものはありますか。

2016年2月6日に「保育士のための、話して、聴いて、元気になるコーアクティブ会話術」を行います。在り方を変えると会話が変わり、人間関係も変わるという体験をできる内容となっています。ぜひ、この機会にご参加ください。

詳細は保育園の笑顔を育てる会フェイスブックページにて

文:鈴木麻代

Rhythmoon編集部

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