ウィンタースポーツとスイーツ!? フィンランドの長い冬の楽しみ方

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辺り一面が白銀の世界になりしーんと静まり返ると、どこか別の惑星にいるような感覚に陥ります。photo via Saariselkä Training

新年が明けて1ヶ月が経ちました。冬休みの生活から普段の生活にやっと慣れてきたところはありますが、フィンランドでは、2月に約1週間の「スキー休暇」があり、またひと息つく時期になります。今シーズンは暖冬と言われていましたが、年明けからどっさりと雪が降り、全国的に零下20〜30度の日が続き、北部では零下40度を記録したところもありました。今回はそんな北国ならではの冬の過ごし方を、甘いお菓子とともにご紹介します。

スキーやそり遊びが手頃にできる生活環境

フィンランド北部は早くて毎年11月ごろから雪が降りますが、筆者が住んでいる南西部辺りはだいたい年明けからちらほらと降り始めます。どんよりと灰色だった景色が白銀の世界になり、そこに眩いばかりの太陽の光が差し込むと、もう外に出たくてうずうずしてしまいます。

一般道路には除雪車がつねに稼働しているので交通事情は全く問題ありませんが、住宅街などの歩道は場所によっては除雪してあったりしてなかったりと統一されていません。それはこの時期ならではのノルディックカントリースキーやそりを楽しむからなんです。

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一般道路もこの通りスキートラックとなり、みんなでスキーが楽しめます。photo via SYDÄN-HÄMEEN LEHTI

スキーヤーは主に森林道を滑走しますが、そこへ辿り着くまでの一般の歩道も滑走していきます。子どもたちに人気のそりはいろいろな種類のものが売っていて、この時期は保育園や幼稚園の送迎時にそりに乗った子どもたちを引っぱりながら滑走するスキーヤーの姿も多く見かけます。スキー休暇の過ごしかたは、近所で楽しむ人、国内や欧州各地のスキーリゾートへ出かける人などまちまちです。

疲れを癒しにサウナへ

スキーやそりで遊んだら、身体をリフレッシュするためにサウナへ入るのも一般的です。そして、サウナとセットで楽しむものがあります。それは、"AvantoUinti"(アヴァントウィンティ)、日本語で言ったら「寒中水泳」です!

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サウナとアヴァントウィンティを交互に楽しむのは、フィンランドはじめロシアや中欧諸国でも親しまれています。photo via Ruissalohaosto

氷が張った海や湖に穴を開けて、そこにサウナ上がりの人たちが飛び込んで火照った身体を冷やします。女性の方ならご存知の通り、毛穴を引き締めるにはサウナと冷水を交互に浴びるのが効果的なんですよね。でも筆者はまだこの寒中水泳を体験したことがありません。これを体験すればフィンランド人と同化できるのでしょうが、氷を見ただけで身震いがするため、いつになることやら......。

運動したあとは甘いものでカロリー補給

そして、運動してサウナへ入りリフレッシュしたところで小腹が空いてくるのはみんな同じ。この時期、フィンランドで食の楽しみといえばデザートです。ちょうど1月下旬から3月上旬ごろにかけて、フィンランドでは2大スイーツが巷に出回ります。

まず一つ目は「ラスキアイスプッラ」というもの。これは簡単に言うと、大きめのプッラと呼ばれるバンズに生クリームホイップとともにアーモンドペーストかお好みのジャムを入れたもの。

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辛党の筆者はもうこれ一つで充分でした。手のひらサイズぐらいのプッラだと2〜3個いけそうですが、調子に乗ってあとで胸焼けしないように注意が必要です。photo via Suklaapossu

「ラスキアイス」"Laskiais"とはキリスト教の四旬節、つまりイエス・キリストが復活する前の40日間の断食期間のことで、「プッラ」"pulla"はお菓子のパンのこと。断食期間に入る直前にカロリーたっぷりの乳製品菓子を食べて断食を乗り切りましょう!というような習わしから始まったそうです。ちなみにこのプッラは断食直前の火曜日に食べると決められていて、フィンランドでは「ラスキアイスティースタイ」"Laskiaistiistai"といって、今年は2月9日でした。英国をはじめとするキリスト教のルター派やいくつかのプロテスタントの宗派では、この日を「パンケーキ・デー」としてパンケーキを食べることが習慣となっているようです。

もう一つのスイーツが、「ルーネベリタルト(またはルネベルゲントルットゥ)」。これはカルダモンやバニラシュガーにジンジャーブレッドなどを砕いて小麦粉などと混ぜて小さな筒状の型に流して焼き、ラムリキュールシロップを染み込ませて、そのトップにラズベリージャムとアイシングでデコレーションを施した焼き菓子です。

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このタルトを自家製で作る家庭は、クリスマスの時にジンジャーブレッドをたくさんつくって、この時期まで残しておくというやり方をしているようです。ラムリキュールが染み込んでいるため、ずっしりとした重めの焼菓子。これも1シーズンに1個で充分です。photo via Martat

こちらのスイーツは、スウェーデン系フィンランドの詩人で国家の作詞者である「ユーハン・ルードヴィーグ・ルーネベリ」"Johan Ludvig Runeberg"の大好物であったタルトを、生誕日である2月5日前後に食べる、というのがフィンランドの国民的な習慣になったようです。

どちらも主にスーパーやパン屋さんで買えますが、ホームメイド文化が根強いフィンランド家庭では手作りを楽しむ家庭も多いです。

そしてどちらのお菓子も、恐ろしくてカロリーを計ったことはありませんが、相当な量の乳製品やカロリーの高い糖分が含まれているのは間違いなし! ですので、これを食べたあとはまたスキーやソリ遊びをしてカロリーを消費するよう子どもたちを外に連れ出す親御さんも多いとか。それもそのはず。この「ラスキアイスプッラ」の語源である「ラスケア」"Laskea"には「そり遊び」"Laskea kelkalla"という意味もあるため、フィンランド人は健康のためにも?これにかけてウィンタースポーツとスイーツを楽しんでいるかのように見えるのは、筆者だけでしょうか。

こうして季節行事とともに暗くて長い冬に終わりを告げ、春がやってくるのを今か今かと待ち詫びて過ごす北欧フィンランド。約40日後は、イースターですから人々の心はもうウキウキしているのが手に取るようにわかります。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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