フィンランドのリアルライフー気候・生活編

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フィンランド北部では太陽が昇らない極夜が訪れます。昼間は地平線の彼方に沈んだ夕陽のように黄昏時の薄暗さになります。Photo by Ninara via flickr

やっと朝から太陽が顔を出し、春の足音が聞こえるようになったフィンランド。スキー休暇が終わった学生たちは、早くも2カ月後に控えた夏休みを心待ちにしています。日本は卒業・入学など新生活の季節ですね。ここ最近、旅行をはじめ、留学、転勤そして移住目的でフィンランドへ渡航する方が増えているようです。

そこで、移住3年目を迎えた筆者から見たフィンランドのリアルな暮らしについて2回に渡ってご紹介したいと思います。

湿気がなく快適!

日本と比べて湿気が少なく、とくに夏は快適! 5月から8月は「爽やか」の一言です。白夜が続くこの時期は1日が長く、約2カ月の夏休みに子どもも大人も朝から晩まで遊び倒しています。反対に零下温度の続く冬は寒いというより「痛い」という感覚。零下5度ぐらいはピーンと張りつめた空気が気持ちよく、散歩には絶好です。乳児を外で寝かすのも新鮮な空気でよく眠れるから、というのには納得。

ですが零下20度に達すると、やや呼吸が苦しくなるような感覚と鼻の中のムズムズ感があります。けれどこういう日に布団やマットを干すと害虫が退治できるとか。厳寒には殺菌作用があるからだなんて想像もしませんでした。それに洗濯物もよく乾きます! もちろん室内干しですが、子どもがいるので汚れた洗濯物が増えて......ということがなく、ジャンジャン洗濯機をまわしています。でも肌の乾燥は酷いので、保湿クリームは家中どこにでも置いてあります。

太陽が恋しい北欧生活

ここまでは想定内でしたが、「日照時間の短さ」は想定外でした。太陽がほとんど出ない11月を「魔の11月」と言うほど、朝から晩まで真っ暗。南部の夏季の日照時間を約18時間とすると冬季はたったの6時間。まぁ1カ月ぐらいなら大丈夫、なんて高をくくっていたらとんでもない! 朝起きたら眠くてだるく、なんとなくやる気が出ない。これが悪化すると深刻なうつ病、ひいては自殺*1にまで追い込まれるほど。なのでこの時期は、薬局・スーパーで「うつ病および骨の発達障害を防ぐためにビタミンDを摂取しよう!」キャンペーンが全国展開されます。これを見ると「あ〜また今年もこの季節がやって来たかー」と早くも憂鬱な気分に。

そんな気分にならないようにKirkasValo(キルカスバロ)という脳への刺激を与える代替光ランプを毎朝点けています。これに30分以上当たるとうつ病が回避できるとか。まぁ気晴らしかと思いますが、それでも部屋のランプよりはまし。夏時間へ移行する3月末まで、我が家はこれにお世話になっています。

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我が家にあるKirkasValo

*1: 先進国で自殺率(10万人あたり)が高いのは、韓国、日本に次いでフィンランド。日照時間の短さは自殺の一因にすぎません。Resource via WHO

意外に身近な魚文化

フィンランドの有名な食べ物といえばサーモンでしょうか。あとは豊富な種類のベリーやシナモンロールなどのペストリー。最近ではボレージ(穀類がゆ)も知られているでしょうか。

およそ6万から20万個の湖があり南部はバルト海に面していて魚が獲れるので、日常に魚を食べる習慣があるのはうれしいです。サーモンスープやサーモンサンドウィッチをはじめ、にしん料理など種類は少ないけれど日本にはおなじみの料理があります。白身魚(ほとんどが淡水魚)やイカ・タコなどもお値段は張りますが鮮魚屋で買えるし、大型スーパーではニシンの酢漬けなどが豊富にあります。ですが、日本の干物や海藻類は論外。種類も日本とは比較にならないほど少ないです。それでも欧州大陸に比べると鮮魚が身近にある方だと思います。

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老舗市場にある鮮魚屋さん。ここでサーモンスープなどのランチが食べられます。Photo via suomensaariso

お米は、ボレージを朝と晩(正確には夜食)に。実際のお米を使う場合もあるけれど、一般にはお湯と混ぜてつくるインスタントのものを食べます。そして今、密かに寿司がブームになっていて、ヘルシンキでも寿司レストランが増えています。ホームパーティでは手軽に作れる手巻き寿司が大人気。大型スーパーではお米をはじめ海苔や酢、巻き簀まで売っています。

緑の野菜はどこに?

野菜の種類は日本に比べるとぐっと少ないです。根菜類(里芋、大根、南瓜など)やキュウリ、レタス、キャベツ、ブロッコリーなどはありますが、葉物類(ほうれん草、小松菜、水菜、ニラなど)は普通のスーパーでは売っていません。アジア系の食材店で手に入るときもありますが、もちろんお値段高め。日本へ一時帰国の際には、どっさりと食べるようにしています。

外食文化の発展

基本的に家で家族揃ってご飯を食べる、という習慣が定着しているため、また高税なので外食するよりも家で作った方が経済的。そのため、なかなか外食産業やその文化が栄えてこなかったと聞きます。しかし移民が増えて母国料理のレストランができたり、レストランデーやフードフェスティバルのようなイベントも開催されたり、やっと外食文化が栄えてきたようです。

となると、日本人としてはお店のサービスが気になるところ。もともとシャイで口数少ないフィンランド人だから、ビックスマイルなんて期待する方が間違ってる!なんて思っていたら、観光地のレストランはほとんど日本のサービスと同じぐらいの質でした。けれど、2度に渡り30分近く注文をすっぽかされ、その揚げ句、本人ならびに責任者の謝罪が一言もなかった、なんていう郊外のレストランもありました。こういうところはやはりどこに行っても満足な日本の外食サービスに勝る国はないと実感しています。

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ヘルシンキ発「誰でもどこでも一日だけレストランができるフードカーニバル」が合言葉の「レストランデイ」。日本でも5月21日に東京小金井で開催されるようです。詳細はこちら。Photo by Eetu Ahanen via RESTAURANT DAY

物価の高さに友人たちもびっくり

ドイツに住む友人が訪ねてきたとき、「ねぇ、ここって物価高い?」と開口一番に言われました。空港で水を買おうとして値段を見たら、ドイツより1ユーロぐらい高かったとか。ドイツの消費税19%に対してフィンランドは24%。また香港に住む友人は「香港よりも福祉は充実しているけれど、それって給与の半分ぐらいは税金を払わなければならないということよね。日々働いても税金のためにガッポリ取られてしまうのはちょっとねぇ」と話していました。高税の国に住むのは、今までの働き方はもちろん、生き方の概念までを変えなければ生きていけない。そんな友人たちの話しを聞いて改めて高税の国の特徴を実感しました。

今回は生活全般にわたることをいくつかピックアップしました。次回は、その高税の背景にある医療や教育、そして働き方についてのリアルな部分をお伝えしたいと思います。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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