持ち込み営業で活動の幅を広げるイラストレーター@香川県

地方で働くってどんな感じ? 地域ならではのフリーランス事情を知りたい!
「地方フリーランス生活」では、自分らしいスタイルで働く地方フリーランサーに、地方で活動することのメリットやデメリットのほか、日頃心がけていることなどを伺います。今回は、香川県を拠点に活動されているイラストレーター、オビカカズミさんにご登場いただきました。

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プロフィール

活動地域 香川県
フリーランス歴 10年
職種 イラストレーター
経歴 香川県出身のイラストレーター。地元の短大卒業後、デザイン会社で経験を積み、イラストレーターとしてフリーランス活動を開始する。2013年と2015年には、HBギャラリーに出展するなど、個展、グループ展、企画展などにも多数参加している。 小豆島にある「真砂喜之助製麺所」のパッケージデザインを担当したのをきっかけに、晶文社刊行『おいでよ、小豆島。』のイラストルポに携わるほか、瀬戸内国際芸術祭2016では公式グッズの手ぬぐい、マスキングテープの図案デザインを手がけるなど多方面で活動中。
オビカカズミさんのサイトはこちらから>>

フリーランスになる前は、どのような仕事をされていましたか?

学生時代から職業としてイラストレーターに憧れていたのですが、イラストレーターでは就職が難しいとわかり、職種の近いデザイナーとしてデザイン会社に就職することにしました。
でも、夢を諦めきれなくて。会社員を続けながら、イラストレーターとして首都圏を中心に売り込み営業を始めたんです。しばらくは、デザイナー兼イラストレーターの両立生活を続けていましたが、ある程度自分の中で目処が立ったところで、フリーランスとして独立することを決意しました。

香川県にお住まいになったきっかけを教えてください。

生まれ育った土地を離れるきっかけを上手く掴めなかっただけです(笑)。悶々としているうちに結婚、妊娠してしまい、それでも夢を諦めきれず、もがいた結果が今です。「人生、もがけばなんとかなるもんだなぁ」と思います。

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オビカさんが暮らす街の風景

営業はどのようにされているのですか?

独立を視野に入れたときから、季節が変わるごとに上京して、持ち込み営業をしていました。全く知らない出版社に電話して「作品を見ていただけないでしょうか?」とアポイントを取って。東京には1週間ほど滞在して3~4つの出版社に作品を見てもらいました。電話をするのがすごく苦手なので、アポイントを取るのは胃が痛くなりそうな作業でしたが、営業先で作品を見てもらったり、担当の方とお話したりするのはすごく楽しみでした。持ち込み営業の頻度は、当時に比べると少し減らしていますが、現在でも続けています。

そして今はどちらかというと、持ち込み営業より展覧会に力を入れています。個展だけでなく、企画展にも積極的に参加していて、会期中は直接ギャラリーに足を運ぶようにしています。偶然、ギャラリーで出会った方と繋がってお仕事をいただくことも。あと、インターネットやSNSはかなり活用している方だと思います。インターネットを利用しつつ、直接の出会いや繋がりも大事にするようにしています。

SNSはどういったときに活用されているのですか?

参加するイベントの告知をする場合は、FacebookやTwitter。「あと何日」系の期日が迫った告知はTwitterやInstagramといった具合に、用途によって使い分けています。さらに、イベント当日は、活用しているSNSを駆使してイベントの実況をしています。

そのほか、FacebookやInstagramでは、「1日一枚」と題していつも使っている画材とは違うもので描いたイラストを投稿しています。その投稿がきっかけで、仕事の依頼がいただけることもあるので、SNSは侮れません。

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展覧会の様子

香川県での仕事をどのように増やしていったのですか?

首都圏に売り込みをしていたので、地元での認知度が全くと言っていいほどありませんでした。その状況から、「知り合いたいな」と思う人と繋がって話をしたり、作品を見せたり。数年かけて少しずつ地道に人脈を広げていきました。なので、軌道に乗ったかな?と思えるようになったのは、つい数年前のこと。随分時間がかかりました。

香川県ならではの慣習がわからず苦労した、失敗したというエピソードがあれば、教えてください。

ずっと住んでいた場所なので、慣習等々で苦労した、失敗したというのはほとんどありません。ただ、逆にわかりすぎてビジネスライクになりきれず「参ったな、しまったな」いうのは時々あります。今でも難しい課題ですね。

地元と地元以外のクライアントの割合をお聞かせください。

首都圏(東京、大阪):四国=5:5です。
独立当初からつい数年前までは、四国内で営業する余裕がなかったこともあり、首都圏(東京、大阪):四国=8:2でしたが、今はいいバランスになっていると思っています。

香川県で働くことを選んで良かったことを教えてください。

自然に触れられることや、いろんな意味でコンパクトな街なので、どんな用事でもあまり移動しなくてもこと足りる点はよかったと思います。
ただ、東京で仲良くしていただいている方の展示会などに、タイミングよく行けないのは残念ですね。

遠方のクライアントとスムーズに仕事をするために心がけていることはありますか。

一度お仕事をした首都圏の方には、なるべくご挨拶に伺うようにしています。上京の時期と、仕事の打ち合わせなどが重なるようであれば、もちろん顔を出しています。地元でお受けした案件についても、現地に足を運び、お客様と顔を合わせることを大事にしています

香川県ならではのリフレッシュ法は?

香川県はとても小さな県なので、車を少し走らせれば山にも海にも行けます。とくに私の住んでいるところは、海に近いので、天気のいい日はお弁当を持って、港のそばまで自転車を走らせます。海をぼーっと見ているとかなりリフレッシュできるんです。ときには、気ままに船に乗って島に行くこともあります。

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オビカさん手づくりのお弁当

現在の課題がございましたらお聞かせください。

軌道に乗るまでは、「イラストの仕事だけを!」と思い、デザインの仕事を一切断っていましたが、お素麺屋さんのパッケージデザインをきっかけに、デザインの仕事も行うようになりました。
地元の伝統産業とのコラボした丸亀うちわ、オリジナルグッズ、手ぬぐい図案など。今では、デザインの仕事もだんだん増えてきました。今までと同じく、今後も小さなことをコツコツとやっていけたらと思っていますが、イラストレーターとしての本業が疎かにならないように、全部の作業割合を見直さなければいけない時期かな、とも考えています。

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オビカさんがデザインした丸亀うちわ

最後に、地方で働くことに興味のあるフリーランサーへ一言お願いします。

焦らずにじっくり目の前にあることをひたすらこなすこと、でしょうか。当たり前のことですが、焦っている時には意外と見失っていたりしますから。地道にやっていると必ず、会いたいヒトにも繋がり、やりたいことも目の前にやってきます。

※この連載のバックナンバーはこちらからご覧ください。
南條祐弥

Writer 南條祐弥

ライター・Rhythmoon編集部メンバー
児童文化や女性のライフスタイルの分野を得意とする、大阪在住のフリーランスライター。コラムやシナリオを執筆するほか、書籍の編集協力、取材レポートの提供なども行なっている。リズムーンでは、地方で働く女性フリーランサーの多様なライフスタイルを発信中。趣味は絵本を読んだり、映画を観たり。ハイキングに出かけるのも好き。
http://ameblo.jp/original-ehon/

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