自分、そして家族との時間も大切。フィンランドのアフター4の過ごし方

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今年は快晴の日が多かったので、ベリーやリンゴが豊作となりました。ベリーはすでに終わり、今はリンゴの収穫時期です。自宅にリンゴの木がある家庭が多く、ジュースやジャムにして、長い冬の到来に向けた保存食の一つにします。Photo by kristinestad.fi

新学期が始まったフィンランド。2か月の夏休みがやっと終わり、親御さんたちは育児から解放されて仕事に復帰しています。あまりの長い夏休みでパソコンの使い方を忘れる人がいる、と冗談半分の話しがあるほど、大人たちは仕事を忘れて夏休みを楽しんでいました。

そんなビジネスマンたちは、日頃どのように仕事の勉強や趣味の時間を取っているのでしょうか。日本では「朝活」という言葉が定着しつつあるようですが、フィンランドではそのような活動はあるのでしょうか。今回はフィンランドの就業後の過ごし方についてお伝えします。

就業時刻は午前8時から午後4時まで

まずフィンランドの一般的なビジネスアワーは、午前8時から午後4時までです。基本的に残業はありません。業界や職種によっては、オフィスで残業または帰宅後に在宅勤務する人も中にはいるようですが、稀なケースです。残業する人は効率が悪いと判断される場合があるため、就業時間内に集中することが求められます。そしてなんと言っても、仕事とは、人生の中でのほんの一部の活動であり、それが終わったら自分自身の時間そして家族や友人知人との時間を大切にすることが一番、と考えられているからでしょう。

アフター4は自分や家族の時間

就業後は、子どものお迎えや習いごと、家の買い物などで忙しい親御さんや、勉強や習いごとのためにカルチャーセンターや図書館、セミナー会場へ足を運ぶ大人が多いです。習いごとは一般的な語学教室から編み物やヨガやジム、北欧ロックやシベリウスの生誕地ということもあって音楽や、国技であるアイスホッケーなど多岐にわたっています。ビジネスセミナーや異業種交流会、そして読書文化の国なので読書会なども充実しています。こうしたイベントは、午後4時または5時ごろから開始され、午後8時ぐらいには終了となるので、その後、帰宅してからもまだ自由な時間があります。

以前紹介したようにDIY文化が根強いので、家の修繕や庭仕事を就業後に行うことも一般的です。ある日の夕方、突然隣の家からドリルで壁に穴を開ける音がして驚いたことも。また夏の夕方に散歩していると、庭の芝を芝刈り機で刈っている家族や庭でBBQを楽しんでいる家族もよく見かけます。

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エクササイズについては、公園や森にこうしたフィットネス器具が置いてあるので、誰でも自由に使うことができます。また夏であれば夕食後に海や湖でボートやヨットや森で散歩やジョギング、冬は一面の銀世界でソリやスケートを楽しむ人々で賑わっています。Photo by liikuntakaavoitus.fi

子どもの余暇時間とのバランスも大切

大人だけでなく、子どもたちも課外活動に勤しんでいます。学校に部活動がないため、習いごとがある子どもは、学校終了後に一旦帰宅してから向かいます。学校は勉強だけを行う場であるため、それ以外の能力の発揮場所を課外活動で見出そうとする親御さんたち。もちろん子ども本人の意志で参加しているけれども、「習いごとの数が多かったり、土日祝日など親御さんが駆り出されることが多くなると、家庭全体のバランスが崩れてしまうことがある。それが悩みだ」と知人家族は話していました。

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国技であるアイスホッケーは女子にも人気。このほか、日本でも有名なキーラ・コルピさんに代表されるアイススケートも人気が高いです。Photo by juniorjokipojat.fi

持続可能なライフスタイルをめざして

日本では「朝活」が浸透してそのメリットを享受する人が増え、普段の余暇時間の使い方を見直す人が増えてきていると思います。日本は長時間労働を改善するためにさまざまな施策を出しているようですが、それでもフィンランドと比べるとまだまだ労働時間は長いです。日本にとってフィンランドの状況は参考にはなるかもしれませんが、決して100%ではないと思います。前述したように、日本とは逆に家族と長時間共にするため、自分の時間、育児、仕事などの家庭全体のバランスが崩れて夫婦の間で喧嘩が絶えず離婚に至ることも多いと聞きます。

私自身は、日本で会社員として長時間労働を長年経験してきたので、どうしても生活の基盤が「仕事モード」のままで移住してきました。移住後は、フリーランスとして育児をしながらのライフスタイルのため、8時から16時の間で仕事をして一日の仕事が終わる、ということはほぼありません。しかしこうした私生活に重きを置いている社会に暮らしていると、仕事と育児の両立をしながら自分らしく生き、家族との生活や人生をどう充実させるかという最も大切なことに気づかされる毎日です。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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