離婚、再婚は日常茶飯事!? 幸せなパートナーシップを求めるフィンランド人

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国境を越えても人生の伴侶との関係は常に頭を悩ますもの。Photo by etlahti.fi

そろそろ紅葉が終わるフィンランド。朝晩の気温がぐっと下がり、コートやマフラー、手袋が必須の毎日です。今月の最終日曜日を境にサマータイムが終了し、いよいよ日照時間が短い暗闇の季節、北欧の長い冬がやってきます。

さて今月は、フィンランドのカップルのあり方について。離婚率が高いといわれるフィンランドのカップルは、どのような過程を経て結婚に至るのか、事実婚や同性カップルなどのさまざまな形態、そして離婚などインタビューを交えてお伝えします。

同棲は当たり前

フィンランドは18歳で成人し、結婚することができます。しかしすぐに結婚することはなく、フィンランドのカップルは付き合ったらまず一緒に住み始めることが主流です。両親たちも同棲に反対することはなく、18歳の大人が決めて当たり前、という認識があります。

その後、数年して婚約に至ることもあれば、別れてしまうことも。婚約も結婚もせずにそのまま何十年と一緒に暮らし続けるカップルも多いです。知人家族も婚約はしたものの同棲始めて20年近く経ちますが、いまだに結婚していません。

こうした同棲カップルに子どもが産まれた場合、パートナーが赤ちゃんの父親として認証されれば、子どもに父親の姓名をつけることができます。またパートナーの共同親権や、双方が死亡した場合には子どもに相続権が発生します。

ちなみにフィンランド語には、Avioliitto「結婚」とAvoliitto「事実婚」の2つの言葉が存在し、公的機関への各申請書にはこの2つの選択肢があります。

年配層の離婚が増加

さて同棲から婚約、結婚に至ったカップルがどのぐらいいるのでしょうか。2015年の統計によると、24,078組が公式に登録結婚をしました。これは前年に比べて246人増加。一方、登録結婚をしたカップルが離婚した人数は13,939組で、こちらも前年に比べて257人増加。離婚する年代は、ここ近年では45歳から64歳の年齢層で増加。逆に30歳以下の離婚率は減少。長年連れ添ったカップルの熟年離婚が増えているようです。

実際、離婚経験がある40代のフィンランド女性に話を聞いてみました。

Q. なぜ離婚を決意したのですか?

フィンランド国内での遠距離恋愛だったので、知り合って半年も経たずに一緒に暮らし始めたの。その後一児と二児が産まれて、二児が産まれた1年後に正式に結婚。それから12年目の今年、離婚しました。

離婚の主な理由は、私自身が結婚生活に対して全然幸せじゃなかったこと。元夫は暴力もなく、アルコール依存症でもなく、ごくごく普通の男性だったけど、結婚してからお互いに愛情がないことに気がついてしまったの。

離婚を決定する数年前から二人でカウンセラーへ何度も足を運び、なんとか結婚生活が続けられるようにと努力もしたわ。でも、「私は夫から愛されていない」ということがわかって、この状況は離婚しかないと判断したの。

Q. 子どもの親権はどのようにしているのですか?

二人の子どもは私たち二人の共同親権。一週間おきにお互いの家を行き来しています。最初の頃は子どもたちがいない毎日がとても辛かったんだけど、今となっては自分に向き合ったり今までやりたいと思っていたことができる時間が増えたり、かつ子どもたちとも一週間ごとに会えるのでそこそこ満足しています。

子どもたちにとっても両方の家を行き来して、父親と母親に定期的に会えるので、今のところ特に大きな問題はないみたい。中学生と小学生なので、彼らのすべてのことにおいては毎回二人で話し合って決めています。成人したら彼らの意見を尊重するけれど、今は未成年だから私たちの保護が必要なの。

Q. 離婚後、元夫や義家族との関係は?

元夫とは、子どもたちのことがあるので、友人としてこれからも付き合っていかなければならないわ。一方、元夫の両親とは離婚後も今までと変わりなく、ほぼ毎週電話したり会って食事をしたりする仲なの。そのたびに、まだこの家族の一員なんだと実感するわ。まさか自分が離婚後に義家族と付き合い続けるとは思っていなかったし、そんな人間じゃないと思っていたんだけど。不思議よね。

Q. 離婚してよかったと思う?

離婚してから思うことは、すぐにでも結婚の終止符を打つべきだったということ。愛情がないのに長年一緒に暮らしていてはダメ。幸せじゃないと感じたらすぐに行動に移すべきだったわ。その状況に留まっていたために、自分は不健全で人生においてもっと幸せなことや大事なことを見逃してしまった気がするもの。

だからいつでも自分の心に耳を澄ませて、相手を愛し自分は愛されているか、自分はどうしたいのかを一番に考えること。これが自分らしく生きることじゃないかしら。え?新しいボーイ・フレンド?しばらく要らないわ(笑)。

離婚したばかりの知人はこう語ってくれましたが、もちろん再婚する人たちも多いフィンランド。再婚後に子どもを産んで元夫の子どもと一緒に育てる母親・父親もいます。元義家族と元夫の子ども、現在の義家族と今の夫との子ども、すべてみな一緒に顔を合わせる家族までも。日本で生まれ育った私からすると、実際そのような状況に遭遇したら、なかなか受け入れがたいものだと感じます。

現在、登録パートナーシップ法の下で結婚できる同性同士のカップルも、2017年3月に同性婚法が施行される予定で、多様性にまた一つ深化がみられることでしょう。

カップルや家族のあり方はさまざま。人は人、皆違って当たり前。それがフィンランド社会。離婚率が高いのは、より幸せなパートナーシップを求めて自分に正直に生きる。それを多様な社会制度が支援しているからでしょう。そうした社会で暮らす我が家は、国際結婚の家族として自分自身をはじめ、パートナーや子どもとのあり方を考える機会になっています。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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