税理士がアドバイス!「法人化を考え始めるべきタイミング」とは?

みなさん、こんにちは。公認会計士・税理士の矢野裕紀と申します。
リズムーンをご覧のフリーランスの皆さまに、「フリーランスの法人化」について全2回に渡ってお伝えしたいと思います。第1回目は、「法人化を考え始めるべきタイミング」についてです。
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法人化を考え始めるべきタイミング

インターネットで、「法人化 タイミング」や、「法人化 いつから」など、個人事業主の法人化のタイミングについて調べてみると、「利益が500万円を超えたら」「利益が800万円を超えたら」「売上が1,000万円を超えたら」などいろいろな見解が出てきます。
皆さまも、情報収集をされる中でお気付きかもしれませんが、法人化のタイミングについて、これだけ諸説ある理由は、税金面をはじめとしてさまざまな側面のメリット・デメリットがあり、一概に"いつが最適"と言い難い点にあります。

では、結局のところ、法人化の考えどきはいつなのでしょうか?

私の個人的な意見になりますが、個人事業主であれば、「今から」法人化を考えるべきだと思います。
これは、「今すぐ法人化しましょう」という意味ではなく、個人事業主であれば常に法人化をイメージしておいた方が良い、「今から」法人化について考え始めましょう、という意味です。
以下、「今から」法人化について考え始めた方がいい理由を、3つに絞ってお伝えいたします。

「今から」法人化について考え始めるべき理由

 ①「稼ぐために法人化」という選択肢もある

前述のように、法人化のタイミングについて目安として用いられやすいのが"利益"です。「○○万円以上利益があるなら法人化!」というのは、もちろん正しい観点です。日本の税金の仕組みを考えると、個人事業主として利益が1,000万円以上あるような場合には、法人化することで節税できるケースが多いでしょう。

では、利益100万円の人は法人化とは無縁か、というと、必ずしもそうとは言えません。
インターネット上の情報には、節税目線の法人化がたくさんあるので、「稼げるようななったら法人化」というイメージを持ちやすいと思いますが、逆に、利益が100万円であったとしても、「これから稼ぐために法人化」という選択肢もあるのです。

法人化のメリットの一つに"社会的信用力が増す"というものがあります。こちらが法人であれば、取引先を法人に限定しているような企業とも取引ができるようになります。一概には言えませんが、法人相手であれば、高い単価の仕事が取りやすくなる場合もあります。個人事業主である、ということだけで稼ぐ力にフタが乗っかってしまうケースもあるので、今の利益だけを見て「自分に法人化はまだ早い」と思い込まないようにしましょう!

②フリーランスにとって法人化はライフプランの一つにできる

フリーランスの方が、個人事業主から法人化する最大のメリットは、法人化をライフプランの一つとして考えることができる点にあります。

法人化のメリットに関する記事を読むときには、どうしても"節税"ということに目がいきがちですが、節税だけでなく長期的なメリットにも目を向けると、より現実味を持って法人化を考えることができます。

例えば、住居を法人で借りて社宅扱いにする、法人で車を持つ、法人で保険に入る、などは単年の節税というよりは、長期的に見て、しかも、生活にも直結するような活用法です。つまり、フリーランスにとって、法人化は単に目先の節税目的だけで考えるのではなく、ライフプランの一つの方法として考えるべきもので、そう考えると、まさに今が法人化を考え始めるべきタイミング、と言うことができます。

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③"本当のサポーター"はすぐには見つからないから

仮に「来年は利益が800万円くらいになりそうだから、法人化しよう」と決めたとします。 法人を設立するためには、司法書士や行政書士のサポートが必要ですし、設立後には税務署などへの届け出、法人経営や確定申告で税理士のサポートが必要です。

このような専門家は、今やインターネットで簡単に検索できますし、何なら直接会わなくても書類作成や届け出などの代行をしてくれるサービスもあるので、法人化を決意したらすぐにでも見つけることができます。

ただし、この便利さには落とし穴もあります。

法人設立や法人化後の手続については、初めてのことだらけで、ささいなことでも不安になるものです。また、②のように、法人化をライフプランの一つとして考える際に、どんなことを検討しなければいけないか悩ましいことも多いはずです。そんなときに、頼りになるのがその道の専門家ですが、その専門家を単なる代行業者として選んでしまうと、気になることがなかなか相談できず、結局は単に法人という箱を作っただけ、ということになりかねません

法人化で失敗しないためには、単なる代行業者ではなく、信頼できる"サポーター"となるような専門家が必要です。
ただ、そのような自分に合ったサポーターはなかなかすぐには見つからないものです。

今すぐに法人化しないとしても、法人化について相談できるサポーターは今から探し始めましょう!

まとめ

フリーランスの法人化については、様々なメリット・デメリットがあります。これをすべて一人で検討するのは大変なことです。法人化はあくまでもより良い人生のための手段の一つです。今は自分に関係ない、と思っている方も、これを機に、まずは、法人化について情報を集めたり、専門家と知り合ったり、すでに法人化されているフリーランスの方と情報共有することを始めてみてください。

第2回目は、「法人化の前に具体的に準備すべきこと」についてお伝えします。

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矢野 裕紀

Writer 矢野 裕紀

有限責任あずさ監査法人に6年間勤務後、埼玉県の津島会計事務所に勤務。現在は、矢野会計事務所を開設し、主に、個人事業主や一人社長の法人の顧問税理士、経理・確定申告の代行サービスを提供。クライアントの要望に応じ、フットワーク軽く様々なサポートを行っている。特に、クラウド会計ソフトfreee認定アドバイザーとして、日常の事務作業と個人・法人の確定申告をリンクさせた作業の効率化サービスである"経理デザイン"を得意とする。

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