共働きが当たり前のフィンランドの食・生活文化:家事編

3年間の在宅保育を終え、8月から保育園に通い始めた我が家の子ども。それに伴い、仕事時間がやっと増えて、育児との両立もいよいよ本格的になってきました。

フィンランドをはじめとする北欧では家事と育児のバランスは取りやすいと言われますが、実際にそうでしょうか。育児などに関する制度はさておき、今回は日本と異なる食文化や生活文化に焦点をあて、そこからみえてくる家事育児の両立や共働きについて2回にわたって考えてみたいと思います。

海外に住むということは、食文化・生活文化が異なるわけですが、その違いが家事育児に大きく影響することはいうまでもありません。フィンランドでは基本的に、家事は家族で分担するものと言われています。今回はその家事の実態を見ていきたいと思います。

洗濯:フィンランドの洗濯は、洗濯機を回す時間や乾燥場所を選ばないこと。それは、室内が常に21度に保たれているため。例え大雪が降ろうとも、夜中に洗濯機を回して部屋干ししても、翌日の日中には乾いている。それに干す場所は、サウナ、バルコニーと家族の洗濯物を干すだけの十分なスペースがある。おかげで泥だらけで帰ってくる子どもの衣類は翌日には乾いているため、お気に入りの洋服は擦り切れ始めている。夫は自分の洗濯は自分でやる主義なので、その分ラクである。

食洗機と水切り棚:家事で何が一番ラクですか?と聞かれれば即座に「食洗機が一般化されていること」と私は答える。移住してからは、和食器や大型鍋など以外はボンボンと食洗機に入れて、スイッチをまわすだけ。おかげで機械が回っている間は仕事をしたり、子どもと遊べる。食洗機が壊れた時には、もう仕事も育児もお手上げだ。
加えてキッチンには水切り棚がビルトインされているので、洗い終わった食器を取り出して、そのまま棚にしまうだけ。カトラリーなど少し水切りが必要なものは、サッとクロスで拭くぐらい。乾燥に関しては、洗濯同様、乾燥気候のおかげで随分とラクしている。

シャワー室:トイレが別になっている家庭もあるが、シャワー室とトイレが一緒になっているのが一般的。風呂釜はもちろんないのでお風呂掃除はなし。シャワーエリアとトイレとシンクを洗うだけだが、ここで移住当時、不思議に思っていたものがある。それはKäsisuihku(カシスイフク)と呼ばれる小型のシャワー。最初見たとき、ウォシュレットの手動小型版かと思ったほど。でも今では便器やシンク掃除の際に水流しとして大活躍。さらに子どものトイレ・トレーニングの汚れなどもこれでサッと水流しでOK。その後、床などをスクイーザーで水切りしておけば、あとは自然乾燥して完了。
サウナは、集合住宅の各家庭に電気サウナとして設置されている。しかし日本のお風呂のように毎日入るのではないので、サウナ掃除も季節的に夏場か冬場に集中的に入った際に洗うぐらいだ。

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奥に見えるのが電気サウナ。大人2人が座れるぐらいのスペース。乾燥場所として最適なため、ここにロープを張って洗濯物を干してしまいます。その手前がシャワーエリア。ガラスで仕切られて便器と洗面台があります。便器とシンクの間に小型シャワーがあります。Photo by etuovi.com

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小型シャワーを別の角度で見たもの。シンクの蛇口をひねって、小型シャワーの手元レバーを調節しながら水が出るようになっています。Photo by gustavsberg.com

簡素という名の質素な食事:いくつか簡単に食べられるものを紹介すると、プーッロ(ボレージ)と呼ばれる、日本でいうならおかゆにあたるもの。これにジャムや果物などを載せて、朝食と寝る前の夜食に食べるのが一般的。カレリア・ピーラッカは、茹でたじゃがいもや人参、お米などをグラタンのように煮詰めてパイにして焼いたもの。豆スープはその名の通りのスープで、これとパンヌカックと呼ばれるパンケーキと一緒に食べるのは、木曜日。一週間の疲れが出やすく簡単に食事を済ませるアイデアとして、昔から公共施設を中心に提供されている。食文化に関して、個人的にはやはりすべて受け入れられるわけではないが、臨機応変に取り入れバラエティに富んだメニューにしている。
我が家では基本的に自分の朝食は自分で用意。子どもはまだ未就学児なので、子どもが食べたいもの、和食だったら私が、フィンランドメニューだったら夫が用意している。

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写真はKaurapuuro(カウラプーッロ)と呼ばれるオートミールのおかゆ。ベリーを載せて食べるのも代表的。市販されているパウダー状のものに牛乳または水を入れ、レンジで温めてからトッピングして食べます。Photo by menaiset.fi

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右側がピーッラッカ。左にある日本でいう卵サンドの卵(Munavoi=ムナヴォイ)を載せて食べるのが代表的。市販のものをレンジで温めて簡単に食べられます。Photo by Arla.fi

ゴミ出しは年中無休:主に集合住宅では、ゴミ収集箱が設置されているため、いつでもゴミ出しOK。紙、ガラス、生ゴミ、メタルなどの分別があるため、いつ部屋の大掃除をしても大丈夫。また衣類などのリサイクル箱も地域で決められた場所に設置されているため、こちらも衣替えなどの時期を選ばずにボンボンと捨てられる。洗濯同様に何も考えずにゴミ出しできるのはありがたい。

すべて完璧でないことは当たり前

我が家の場合は、夫が日本に在住していたこともあり、食事に関しては和食とフィンランドメニュー(といっても特別な料理はなく、一般的な洋食が中心)が半々ぐらい。夫もキッチンに立ち、今日は作り置き、明日は料理するなど臨機応変に対応しています。他の家事についても同じ。毎日洗濯掃除なんてしていたら、体が持たないだけでなく、家族と過ごす時間なんてありません。家では家族との時間が重要と考えるフィンランド人にとって、家事は二の次三の次。とくに子どもがいる共働きの家族にとって、「家事を完璧にしたところで、完璧にする意味がわからない。毎日仕事もして家事もやってなんてとんでもない。それに子どもがいれば常に汚れるのが当たり前なのに」とフィンランド人は首をかしげます。

家事がほどほどにできるような住環境を整え、共働きや家族みんなで過ごす時間を増やせる方法を探っていける社会が、日本にも定着すると良いと思います。

次回は育児について見ていきたいと思います。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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