成功と失敗のカラクリとは?『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』

みなさん、こんにちは。フォトグラファーの宇野です。今日は話題のこの本をご紹介します。西野亮廣さんの『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』です。

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我ながらミーハーっぽくないか?と迷ったのですが(笑)、読んでみて正直に面白かったので、これにしました。
西野さんのブログでは、発売前に冒頭部分の約10ページが公開されていました。発売されたら立ち読みしよ......くらいに思っていたのですが、それを読んだことで本屋で即買いしてしまいました。まさに術中にはまったわけですね。西野さんは人の動き方を考え、戦略を練って行動されています。どのように考え動いたか、そしてどうなったか。成功も失敗も余すところなく語られているのがこの本です。こんなに手の内を見せていいの?と思ってしまう情報量ですよ。

絵本を広めるための戦略

西野さんはお笑い芸人でありながら、数年前から絵本作家としても活動されています。

元々はご自身ですべての絵を書かれていたそうですが、昨年販売した「えんとつ町のプペル」は分業制で制作。35名のイラストレーターやアートディレクターを外注し、4年半という歳月をかけて作られた大作です。そしてその資金はクラウドファンディングで集めたもの。クラウドファンディングの使い方や、そもそもお金とは何か?という考え方も面白いのですが、私が注目したのは絵本ができてからの戦略です。

①「えんとつ町のプペル」をweb上ですべて無料公開した

理由 → 絵本はネタバレがスタートラインだから
子育て中の女性は立ち読みして面白かったものや、自分が子どもの頃に読んでいた絵本を買う傾向があると知った西野さん。そこで、立ち読みのかわりにweb上で読めるようにしたそうです。

「人が時間やお金を割いてその場に足を運ぶ動機はいつだって『確認作業』。つまりネタバレしているモノにしか反応していない」

という言葉の通り、「まったく知らないものにお金を出すことは少ない」ことに目をつけた作戦です。でも無料公開すると、主に作り手側から批判が起きます。それに対しては、「無料化とは実力の可視化である。それがバレると食いっぱぐれるレベルの人は食いっぱぐれる」とバッサリ。西野さんの場合は、絵のクオリティーが高いのできちんと見たい人もいるでしょう。そして読み聞かせをする母親たちには、絵本という形態が最適なわけです。だから無料公開しても売れたんですね。

②「えんとつ町のプペル」の著作権を放棄した

理由 → すべてが広告になるから
これは厳密に言うと著作権をナアナアにしてみた、ということだそうです。どこかの劇団が演劇化するのも、グッズ化するのもOK。企業以外の場合はお金も一切いただかないとか。本来広告というのは西野さん側がお金を出してつくるものですが、勝手につくってもらえる上に、宣伝もしてもらえるのでむしろありがたい、という発想。ただ著作権については放棄すれば良いというものではなく、時と場合によると書かれています。

③「えんとつ町のプペル」展の権利を売った

理由 → セカンドクリエイターをつくり、宣伝できる範囲を広げるため
原画の展示を行って、会場で「おみやげ」として絵本を売ろうと考えた西野さん。展示をする資金もクラウドファンディングで調達。でも自分だけで展示を企画・運営するには限界があります。なので絵本展の開催権利をリターン(見返り)として付けたそうです。つまりクラウドファンディングでお金を払ってくれた人には絵を貸すから好きに展示していいよ、ということです。展示の入場料を幾らに設定するかも自由で、利益は100%その人のもの(西野さんのトークショーの特典付)。主催者に黒字が出るように設定したことで、さまざまな場所で展示が行われ、見込み通り本も売れたそうです。

他にも、どこよりも早く自分で予約販売を受け付け、発売日までにすでに1万部を売っていた、というのも面白いです(自腹で1万部を買ったかのように言われていますが、そうではない)。これは初版部数を増やすために行ったことだそうです。そしてその1万部には、すべてサインを入れて自分で発送作業を行っているとか。今も売れ続けているので、サインをした数は数万部に達しているようです。これらのことが話題となり、ワイドショーなどで取り上げられることで、自然と広告効果も生み出しています。叩かれることすらも広告と言うんですから、一枚も二枚も上手ですね。

ものづくりをする人はそれを広めたり売ったりということが苦手な人が多いように思いますが、西野さんは

「お客さんの手に届くまでの導線作りも作品制作の1つ。それができていない作品は未完成品」

という考えです。これには唸らされました。

行動することに勇気は必要ない

この本に書かれているのはすべてが西野さんの体験談です。だから説得力があるし、面白いのだと思います。

「行動するには勇気がいると思われがちだけど必要なのは『情報』だ」

という一文があります。子どもの頃に1人で乗れなかった電車に今乗れているのは、勇気ではなく「電車の乗り方」という情報を手に入れたからだ、と。確かに人はわからないことが怖いのだと思います。「わからない」と言っていても始まらないので、考えて情報を集め、行動する。その積み重ねが大きな一歩に繋がるのではないでしょうか。


171106uno02.jpgさて、今回の写真は虹です。大人になっても、何度見てもテンションが上がります。この本を読んでワクワクした気持ちにぴったりなので、選びました。

<この本はこんな人にオススメ>

・ものづくりをしている人
・売りたいものがある人
・どう動いて良いのかわからないという人

西野さんに対して偏見がある方も(笑)、まずは読んでみてください。

宇野 真由子

Writer 宇野 真由子

1979年生まれ。北海道出身。ビジュアルアーツ大阪校写真学科卒業。
写真専門ギャラリーでの勤務を経て、沖縄に移住。撮影会社にてブライダルを中心とした人物撮影や商品撮影等に従事。2015年秋に大阪へ戻り、フリーランスとして活動開始。撮影以外にも、写真教室・ワークショップ等、写真の楽しさを広める活動も開催している。
http://unophotoworks.top/top/

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