子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会に。訪問病児保育サービスを提供│認定NPO法人ノーベル

誰かの大切な想いを知ること。
そして、その想いを未来へ紡いでいくこと。
それは、今を生きる私たちひとりひとりの役割なのかもしれません。

「未来へ紡ぐストーリー」では、誰かのために、社会のために、地球のために活動するみなさんをご紹介していきます。第28 回目は認定NPO法人ノーベルの広報担当野末奈穂さんにお話を聞きました。

ノーベルの活動を教えてください。

「子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会」をビジョンに掲げ、関西初・共済型の訪問病児保育を2010年にサービス開始しました。当日朝の予約にも100%お預かりを約束し、働く親御さんの代わりに発熱などで保育園に登園できないお子さまをお預かりする保育スタッフを自宅に派遣しています。

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なぜ、このような活動をされようと思ったのか、きっかけを教えてください。

民間企業に勤めていた代表の高亜希が、同僚や友人が出産や子育てを理由に退職をしたことに疑問を持ったことがきっかけでした。辞める理由を聞くと「子どもが熱を出すと保育園は預かってくれない」「子どもの病気で仕事を休むと周りの目が気になる、仕事を任せてもらえなくなった」という声が聞かれ、保育園に預けたら何とかなると思っていたのに「子育てと仕事の両立ができない」という現実に衝撃を受け、これでは女性が働くことができない、何とかしたいと色々と調べているうちに「病児保育」と出会い、ノーベルを立ち上げました。

病児保育とはどのようなものですか?

保育園は集団生活なので37.5℃以上の発熱では預かってもらうことができません。お子さまの発熱や体調不良で、保育園に預けられない場合に、働く親御さまの代わりにお子さまをお預かりし、ケアするのが病児保育です。ニーズの高い子育て支援の一つですが、訪問型を運営する事業者はまだまだ少なく行政の委託を受けて運営している施設型も24区ある大阪市で、市内に14施設しかありません。

病児保育の中でも、ノーベルではなぜ訪問型なのでしょうか。

ご自宅での保育となるので、体調が悪い我が子を移動させる必要もなく、慣れた環境でお子さまが一日過ごすことができます。ご自宅という安心感だけでなく、施設型のようにお預かりしたお子さん同士で感染症をうつすリスクがないため、感染症でも制限なく(感染力が強く重篤化しやすい「はしか」は除く)お預かりすることができます。

病気の子どもを病院に連れて行ってもらうこともお願いできますか。

ご希望によっては受診代行も行います。親御さまがお子さまを朝受診させてから病児保育を利用すると、出勤は午後からとなるので半日も出勤できない事態になりますよね。

お子さまの急な発熱でも仕事を休めない時だからこそ、ノーベルが受診代行を行うことで親御さまは遅刻することなく出勤できます。感染症によるお休みの後の登園許可書を受診時にいただいて、保育園へお子さまをお送りすることも対応しています。

また、朝8時以降はスタッフに余剰があるときに限りますが保育所や小学校での発熱で連絡がくるいわゆる「お迎えコール」にも対応すべく、親御さまに変わって保育所へのお迎えをし、小児科受診・ご自宅での保育もお受けしています。

病児保育をお願いするときはどうすればいいのでしょうか。

突然起こるのが、子どもの病気。そんな親御さんの困った...の力になるべく、前日15時から当日朝8時まで会員専用Webページよりご予約を受け付けています。前日20時までにご予約いただくと、翌朝8時からの利用が可能で20時以降のご予約もスタッフの手配作業を朝7時からはじめて120分以内に保育スタッフが駆けつける、100%対応をお約束しています。

夕方に微熱があって明日は登園できるかな?と不安な時はご予約いただき、翌朝お子様の様子をみて実際に利用するか判断できる、朝6時までは無料キャンセルもご用意しています。

プロジェクトの中で「ひとりおかんっ子応援団プロジェクト」というのがありますが、これはどういうものでしょうか。

働く親御さんをサポートしたいと始めた病児保育ですが、一方で、「利用したいが今の収入では難しい」というひとり親の方々の声も聞くようになりました。大阪のひとり親家庭の数は全国一です。その9割は母子家庭で、その半分が非正規雇用。子どもの病気で仕事を休むと、その日の給料がなくなり、仕事も失い生活の基盤が立てられないという現実を知りました。

そこで2013年に立ち上げたのが「ひとりおかんっ子応援団プロジェクト」です。
1世帯に約8,000円/月の運営費がかかる病児保育を、寄付を募ることでひとり親家庭の負担は月1,000円で病児保育を提供することができる仕組みです。年収300万円以下のひとり親世帯にこのような形で病児保育を提供し、100名以上の子どもたちを支援してきました。

ひとり親家庭にはありがたい制度だと思うのですが、どのような仕組みで成り立っているのでしょうか。

まず、「ひとりおかんっ子応援団員」を募っています。団員は月々1,000円から継続的な寄付をすることで支援することができます。その他、ノーベルは大阪マラソンの公式寄付先団体に選んでいただいていて、一人7万円以上の寄付を集めることで大阪マラソンに必ず出走できるチャリティランナー制度や、チャリティランナーに応援寄付をするという仕組みもあります。単発寄付も随時受け付けています。

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本などを寄付することもできるとお聞きしたのですが。

現金で継続的な寄付はできないけれど、「ひとりおかんっ子応援団プロジェクトは応援したい」と考えている方が気軽に参加してもらえるのが「チャリボン」です。

古本のリユースを事業としている株式会社バリューブックスが主体となって、家庭や職場で不要な書籍やDVDがあれば、バリューブックスが買取り相当額をノーベルに寄付するという仕組みです。電話またはWEBから申し込むことで自宅に宅配業者が集荷に来てくれ、着払いで発送しますので寄付をしたい方の負担なく、ひとりおかんっ子の支援をいただくことができます。

私も今年は引越しを機に、断捨離と意気込んで本を整理したのですが段ボール2箱いっぱいになりました。自分で古本屋に持ち込むのは大変ですが、自宅に取りに来てもらえるので気軽にできましたよ。

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活動をしてうれしいことや大変なことはありますか。

ノーベルを利用することで子どもの病気も乗りきって職場や家庭で上手くいっている話を聞くと素直に嬉しいですね。お仕事だけでなく、通学を理由にノーベルを利用される方も無事卒業できたと、報告をくださる方もいらっしゃいます。

親御さんで背負いがちな子どもの病気ですが、抱え込まずにもっと頼ってもらえる存在でありたいですね。

大変なことは、病児保育の利用に関するお問合わせは連日いただいておりますが、お子さまをお預かりする保育スタッフの採用・育成がお問い合わせの数に追いつかないことです。保育施設は待機児童解消でどんどん増えるので、必然的に病児保育の利用希望者も増えています。

創業以来、「病児保育を誰でも利用したい時に、利用できるセーフティネットにしたい」との思いで取り組んでいますが、来年の4月の一斉入所に向けて入会制限になりかねない厳しい状態です。ノーベルの保育スタッフは保育士資格がなくても子育て経験を生かして働くスタッフが活躍しているので、ご応募やご紹介いただけると嬉しいです。

今後の展望や、どんな社会にしていきたいかなどございましたら、教えてください。

ノーベルの病児保育でサポートできているご家庭はまだほんの一部でしかなく、大阪市外への更なるエリア拡大はもちろん、個人での負担となっている利用料を行政や法人と提携することで軽減し、障がいをお持ちのお子さまも制限なく受け入れていきたいです。

子どもを育てるということは、未来をつくるということ。社会全体で、人と人がつながることで、子どもたちを安心して育てられる環境をつくり私たちのビジョンである「子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会」を実現させたいと思っています。

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Take Action! 〜いま私たちにできること〜

働くお母さんにとって、病児保育は大切な支援。またひとり親の方にとって、こういったサービスが安価で利用できるのは、非常に助かりますね。しかも、ノーベルさんでは自宅で保育をしてくれるので、月齢の小さなお子さんなどは安心できそうです。こういったサービスが子育て支援としてもっと充実すれば、お母さんたちも働きやすくなり、ノーベルさんの目指す社会に近づくことができるのではないでしょうか。

認定NPO法人ノーベル
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団体ブログ:http://nponobel.jp/blog/

林 美由紀

Writer 林 美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子は男の子2人。

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