共働きが当たり前のフィンランドの食・生活文化:育児編

2017年も残すところあとわずかとなりました。フィンランドは今年独立100周年を迎え、これからの100年について他国とともに成長していく結束を固めた独立記念日(12月6日)となりました。

過去100年間、人口がもともと少なく男女ともに働くことを推進するために、家事や育児に関する考え方や法の規制を整えてきたフィンランド。決してラクな道ではなかったと思います。人口が少ない状況でどうやって仕事と個人の人生のバランスをとっていくか。まだまだ課題はありますが、そんな100年の歴史を振り返りながら、母国日本の共働きについても引き続き考えていきたいと思います。

それでは前回に続いて今回は、保育事情を見ていきたいと思います。

■保育園は朝6時半から17時まで

親の就業時間が朝8時から16時までなので、その前に子どもを送り届けるために、開園時間は日本と比べてかなり早い。迎えはだいたい15時半から16時半の間。遅くとも17時までには迎えに来る。それ以降に保育が必要な場合は、夜間や週末保育に特化した保育所へ事前に申請することになる。

■送迎は徒歩、自転車、自家用車

保育園は、基本的に自宅から歩いていける範囲内に建設することが推奨されている。家の事情が特にない場合は、自宅近くの保育園、また職場近くなどの保育園を希望する場合もある。そのため、徒歩、夏場限定の自転車、逆に冬場限定のソリ、そして保護者が自家用車で送迎するのが一般的である。自家用車を運転するのも夫婦で分担している。我が家は自宅前が保育園なので徒歩で、基本的に送りは夫、迎えは私。友人宅も自家用車で同じような分担状況らしい。たまに朝送りにいくと、9割は男性陣が送りに来ている。当初は見慣れなかったが、今では保育園に男性がいることは日常的な光景となっている。

■朝食は園で食べても食べなくてもよい

保育園では朝食、昼食、おやつが提供される。朝食は前回紹介したプーッロ。昼食は、お米、ジャガイモ、パスタ類を主食とした肉、魚料理にサラダが定番。おやつは、果物やパンケーキ、シナモンロールなどが提供される。和食文化で育った私としては、朝食にはご飯とお味噌汁を食べさせたいところ。しかし朝食を家庭で食べていく場合は、園で食べなくて良い。逆に寝坊して朝食を食べ損ねたりした場合は、園の朝食が食べられるなどの選択肢があるため、共働きの親にとってはとても助かる。

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毎週月曜日に園内に貼り出される1週間のメニュー。これを見ながら我が家の献立を考えています。

■親の負担になることはしない

イベントなど大掛かりな準備をすることはあまりない。保育園とは、親が働いている子どもの世話をするところで、親にとって負担になるようなことを行うのは意味がないという考え方があるから。そのため、誕生日会やクリスマスなどの季節行事は保育園側が準備するので、親たちは何もせず。例えば父の日や独立記念日には、園庭で父親と子どものブートキャンプ(らしき)があったり、独立記念日には、両親揃って参加し国家斉唱や前回紹介したカレリアンピーラッカが振舞われたりと、親と触れ合う機会はあることはある。こうした準備に保護者が関わることは一切ない。

一方、日本で当たり前の例えば入園や運動会もなし。友人によると、卒園式もプレスクール(小学校に入る前の一年間に通学する学校)の入学式もなし。これにはやや寂しい気もしているが、こうしたイベントに加え普段は園から帰宅後、本人が1日の様子を一生懸命話してくれるので、儀式はなくても日々の親子のコミュニケーションが活発に取れてお互いに良いと感じている。

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父の日の前日には、ブートキャンプと題して父親と子どもがエクササイズを通して触れ合う機会が設けられました。夫も参加し、子どもを肩車してエクササイズを楽しんで?いました。

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独立記念日の前日に、全国各地の保育園では保育園児による記念式典が開催。この写真は参加者全員で国家斉唱しているところ。この後みんなで輪になって遊んだり、カレリアンピーラッカとミルクが振舞われました。

■週一の電子連絡帳

では園とのコミュニケーションはどのように取っているかというと、毎週金曜日に送られてくる電子連絡張である。園専用サイトに園児の個人情報とともに、その週の出来事と写真が送られてくる。翌週の予定や諸々の連絡事項、また担任の先生にも直接メールが送れるので、何かあればこのツールを利用してコミュニケーションが図れる。もちろん送迎時にその日の様子を簡単に連絡してくれるが、込み入った話などの相談ごとなどは、このサイトで先生の時間を予約して話し合うことになる。いずれにせよ、子ども本人からの話とこの連絡帳で十分に園の様子が伝わり、夫婦どちらにも同じ情報が伝わるので非常に助かる。

時代の流れとともにすべて「完璧」を求めない社会へ

住環境や食文化が異なるので日本にとって参考になる部分が少ないかもしれませんが、これからはこうした日々の暮らしの中での負担を改善する道も探っていく必要があると思います。フィンランドも戦後復興時に共働きを考えて、水切り棚が開発されたと言います。日本をはじめとする先進国ももちろん家事育児のやりやすさを求めて、家電製品を中心に開発されてきました。では21世紀に入ってからの日本はどうでしょうか。

加えて、長寿化など一人ひとりの生きる時間が長くなり日本の社会全体が変わり始めている中で、仕事・家事・育児・介護などすべてに「完璧」を求めるのではなく、どうやったらよりよく生活できるのか、負担にならない方法をみんなで共有することが必要だと強く感じています。

藤原斗希子

Writer 藤原斗希子

CSR(企業の社会的責任)/Sustainabilityに関するリサーチャー兼アドバイザー。2013年より在住。現在、フィンランド人の夫と育児中。
リズムーンでは、「世界から届く多様な生き方のヒント(フィンランド編)」にて、現地の暮らしぶりやフィンランドからみた日本についてなどを連載中。
ホームページ:「今と未来のあいだ」https://actokin.com/

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